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異宙の戦士  作者: たけすぃ
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プロローグ

初投稿です。

遥か昔に趣味で小説書いてました。

読んでいただけると感謝しかありません。

#00

 最初から全て与えられていたので、何も求めなかった。

 最初から全て足りていたので、何も生み出さなかった。

 最初から全てそろっていたので、何も残さなかった。

 故に僕の人生は、何もなく、何の意味も無かった。


 思えば恵まれた人生だったと理解できる。

 両親は資産家で、優しく寛容で、僕自身も五体満足どころか人並み以上の顔立ちに、人並み以上の頭脳を持って生まれた。

 当たり前のように進学校に通い、高学歴と言われるような大学に合格し、さて就職。

 という所で僕は躓いた。

 就職活動に失敗したというわけではない、むしろ成功したと言って良かった。

 誰でも知っている大企業への内定をいくつも貰っていたのだから。

 だが僕は、それらを蹴ってヒキコモリになる事を選んだ。

 ヒキコモリになった理由が何かあるとすれば、それは予想がつきすぎる人生に飽いた、というのが当時の僕の思いだが、これはまぁ人生経験の未熟な人間の話なので笑って捨て置こう。

 もちろんそんな僕を優しく寛容な両親は咎めなかった。咎めなかったどころか思う存分休みなさいと言い、更には好きに遊んで暮らしてくれても問題は無いとすら言ってくれた。

 だが、そんな優しい言葉をかけられた僕は、あろう事かヒキコモリという状態にも早々に飽き、なんとも中途半端な事にヒキコモリ開始数ヶ月後には親の仕事を手伝う事となっていた。

 親から任されたのは、数棟のマンションと貸しビルだった。

 会社を立ち上げ、社員を雇い、せっかくヒキコモリになったのだからと変な所でヒキコモリに立ち返り、自分も社員も全員在宅で仕事が出来るような会社にしようかとか資格者雇う必要があるのならどうせなら社員みんなで取れるような仕組みを作ろうかとか。

 そんな事を数年やってるうちに気がつけば会社が大きくなっていた。

 ちなみにこれは別に人に自慢できる事でもなんでもない。

 単に親の多大な援助があったからだ。

 両親や僕より真っ当で優秀な弟は、大いに褒めてくれたが、僕自身は何も思うところはなかった、達成感も充足感も。

 あったのはこれだけ揃っていれば出来て当たり前だろう、という諦めだけだった。

 僕は終生この諦めから抜け出すことは出来なかった。

 恵まれた人間の贅沢で傲慢な言葉だと自分でも思うし、こんな僕の胸の内を知れば世の人々から叩かれるだろうとは理解もしていた。

 だがどうしても充足も誇ることも出来なかった。

 弟が素直な賞賛と誇らしさを顔に浮かべながら「俺の兄貴は凄いだろ?」と弟の嫁と子供に自慢している姿を見てさへ。

 僕は、ずっと、飽いていた。

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