喜ぶ魚
ここは、とある研究所。
休憩中、今日も今日とて、博士さんと助手君の無駄話が始まるのです。
「あれ? 博士さんどうしたんですか? 耳に手を当てて。僕の嫌いな映画のタイトル思い出しそうでトラウマなんですけど」
「三年前から、聞こえるようになりました」
「いつも聞こえてるでしょ! というか、某元議員の真似しながら、聞こえない振りしてゴーストライターに曲作らせてた人の名言は止めて下さいよ!」
「領収書は、あります!」
「無かったでしょ!? そしてその台詞言ってた人も今のとこまだあるかわからないでしょ!? 人選に悪意しか感じられないッ!?」
「裏流行語大賞とかなら確実にノミネートされてるわよね!」
「悪目立ちというヤツですね、テレビって恐い。今の世の中、ネットで半永久的に残っちゃいますからね」
「ヴォエハハハァン!! 誰がねぇ! 実験をやったってねえッ!! おんなじやおんなじやと思っでェッ!!」
「不思議ですね、元議員が博士を弁護してるように聞こえます」
「領収書は、ありますッ!」
「何故二回言った!? いや大事なとこですけど。何だろう、同じグレーな人達がお互いを庇い合っているようにしか聞こえないんですが」
「あの議員が温泉に行ったのって、もしかして…?」
「それ以上いけない」
「三年前から…」
「なんか色々想像を膨らませているとこ悪いんですけど、その台詞の人は思いきりブラックですけどね」
「ありのォ~ままのォ~、姿見せるのよ~♪」
「DVD出たからといって、そいつはマズいですよ博士さんッ!?」
「ハハッ♪」
「その笑い声トラウマなんですが。まあ、ありのまま見せた結果がご覧の有り様なんですけど」
「少しも(世間の眼が)寒くないわ♪」
「いやもうキンッキンッに冷えてますから。沸いたと思ったら何かの手違いで全然沸いてなかったお風呂ぐらい冷めてますから!!」
「キンキンに冷えてやがるっ…!」
「その台詞負けフラグじゃないですかー!?」
「私、個人的にグレーより白か黒の下着の方が好きよ」
「何の話ですか!? 今日はまた下着の話でもするんですか?」
「いいえ、今日はキスの話よ」
「鱚は、スズキ目スズキ亜目キス科に所属する魚類の総称で、多くは食用に利用されるほか、釣りの対象としても人気が高い…」
「え? 助手君、魚もいけるの? ロリの魚って、シラスとか?」
「ロリの魚…、想像してちょっとありかなと思った自分が悔しいッ!」
「ポトコリヌス・スピニケプスとでもやってみれば?」
「一番小さな魚じゃないですか!?」
「助手君一匹=ポトコリヌス・スピニケプス45匹だからね」
「ポトコリヌス・スピニケプス体長6㎜なんですけど…って、27㎝の方と比べてやがるじゃないですか!?」
「ポトコリヌス・スピニケプス一匹=助手君ズ100匹」
「なんで僕の精●の数になってるんですか!? それにちょっとそれ、どこかのネ●型ロボットの映画のタイトルみたいじゃないですか!」
「ザ・ド●えもんズ(10億)」
「カッコの数は精●の数でしょ!? ド●えもんズは七人ですから! それに、10億とか卑怯!! 正義の味方が敵に対してやっていい数の暴力じゃないですからッ!」
「ならいつも、卵●は数億もの精●にまわされてるってことに…」
「まわすとか言っちゃダメ!?」
「やっぱりド●えもんは総受けだと思うわ。ド●・ザ・キッドは誘い受けで決まりよ」
「いえ、やはり誘い受けと言ったらエ●・マタドーラだと思いますが」
「さすが名前にエロってつくぐらいね!」
「エロじゃねえ!? まったく、伏字にしてるからってやりたい放題ですね」
「ヤりたい放題? ザ・助手えもんズ(3匹)が?」
「そのタイトルで、どうしてカッコの中を3匹にしたぁッ!?」
「さあ、助手君の性のお悩み相談はまた今度にして、今日はキスの話をするわよ助手君!」
「僕の心はもうキスよりキズだらけなんですが。魚のことでないとすると、接吻を意味するところのキスの話ですね。キスの起源は、昔なかなか塩分を取ることが出来ない貧困層が、塩分を摂取するために互いの頬を舐め合うことで必要な塩分を取ったとする説があります」
「そうなんだ。ねえ助手君、キスする場所によっても意味は違うって知ってた? たとえば髪の毛だったら『思慕』ね。恋しいと思うとき、髪にキスするのよ」
「絶対僕なら思いっきり髪の匂いも同時に嗅ぎますね」
「ハゲのおっさんの?」
「それ思いっきりただの頭皮の匂いでホモでしょ!? おっさんですらアウトなのに、髪ですらないッ!」
「キスする場所でオーソドックスなのだと、おでこは『友情』、頬は『親愛』、唇は『愛情』、手の甲は『敬愛』、胸は『所有』、背中は『確認』、腰は『束縛』、すねは『服従』、足の甲は『隷属』を意味するわ」
「おかしいな、途中から博士さんの言う『オーソドックス』がガンマ崩壊を起こしているんですが…」
「首筋は『執着』の意味ね。少女マンガで嫉妬にかられた男がヒロインを襲うときに真っ先におたくまっしぐらしてたりするわ」
「直接口にキスするよりも生々しい感じがして僕は好きですね。ですが胸とか背中とか腰とか、もう絶対そういうことをしてる時以外は無理ですね」
「あら、そうでもないわよ?」
「あれ、そうですか? 例えば?」
「柔道とかレスリングとか」
「色気もムードもへっちゃくれもないッ!?」
「噛んじゃダメでしょ。噛むなら別の場所にしないと」
「ゲス顔で何言ってるんですか!?」
「キスをする場所だけでなく、キスの種類にも色々あるわね。唇を軽く合わせるだけのキスはライトキス。フレンチキスは舌をからめ合うキスね。ディープキスの一つとも言えるわ」
「よく知ってるキスの仕方ですね。変わったキスの仕方は無いんですか?」
「少しマニアックなのだと、チョコキスとかキャンディキスとかアイスキスとかかしら。簡単に言えば何かを口写しさせながらのキスね。助手君は経験ある?」
「ないですね」
「え、意外」
「何故ですか?」
「男と精●キスしたことないの!?」
「ないですから!? ヤメロォッ!? そこに至るまでの過程を想像しちゃうからヤメロォッ!」
「最終的に、出せば良かろうなのだァーッ!!」
「考えることを止めたい…」
「あと変わったキスとしては、スパ●ダーマンキスとかかしら?」
「映画のワンシーンであったキスですかね。男性が逆立ちの状態で、女性がその唇にキスをする場面ですね。体勢的にかなり辛いでしょうけど」
「別の意味で男性の方が顔真っ赤になるわね。あとは、エレクトリックキスなんてものもあるわよ」
「エレクトリック? 電気、ですよね? それってもしかして…」
「ええ。冬場、セーターなどで互いに静電気を帯びやすい状態にしてから、セーターを脱いで唇を近づけると、唇と唇の間にパチっとくるキスね」
「その時、電流走るっ…!ってレベルじゃないですね。実際電気通しちゃうわけですか」
「痺れるでしょ?」
「どういう意味かはわからないですけど、サッ●ーワールドカップで現地入りする前の日本選手の根拠のない自信によるドヤ顔のような顔は止めて下さい」
「ねえねえ助手君」
「? 何ですか博士さん?」
「助手君はどーしてキスをする相手もいないのー?」
「…アナタニハワカラナイデショウネェ」