再会?&コインタワー
あべこべの世界が私がいた世界と違うことは3つ。
辺り一面青白い霧に囲まれていること。
物事の意味が逆であること。
それと多分だけど、、、
電柱が歪んでいること。
え。霧は普通にある?
いや、そういう霧ではなくてもっと怪しげな。
って誰と話してるんだ?
今声が聞こえたような。
私が周りを見渡すといつの間にかよく知っている人がすぐ側にいた。
「知佳!!」
そこにはさっきまで一緒に学校にいた知佳が立っていた。
「あれ?知佳もこの世界に迷い込んじゃったの?そういえば家に送ってくれたのは知佳?ありがとう。」
「千尋さま。私は貴方とお会いするのはこれが初めててございます。」
、、、?
知佳がおかしくなっちゃった。私が親友を見間違えるわけがないし。
でも知佳はものすごく敬語が苦手だ。
敬語というか日本語というか言葉が苦手なんだ。
どんなに和風美人でも話す言葉は的外れなものばかりだ。
面白いっちゃ面白いんだけど。
とにかく、只今発展途上中!!
でも目の前にいるのは確かに知佳だ。
私が知佳についてあれこれ考えていると、
「確かに私の名前は知佳と申します。失礼ながら急いでおりますので説明は後で、まず私についてきてもらえませんか?」
「え?ああ、はい。」
私はこの知佳に調子が狂う思いがしたがとりあえず返事をした。
「ねえ。敬語じゃなくて普通に話してよ。」
「それは出来ません。千尋さまは大切な“救世主”なのですから。」
き、救世主!?
ますますわけがわからなくなった。
知佳は歩きだした。
「ちょっと待って。ここはかっこよく瞬間移動じゃないの?」
「そんな技術はありません。すぐそこですので歩いて行きましょう。」
なんだ。めちゃくちゃな世界だから何でもありなのかと思った。
そういえば今の会話、至って普通だったよね。さっきの親子と話した時にはあべこべだったのに。
んー、わけがわからない。
私が混乱していると前を歩いていた知佳が振り向いて言った。
「あれが私たちの本拠地、コインタワーでございます。」知佳が指差す方向には屋根が巨大なコインでできた名前そのままの少しさびれた塔がそびえ立っていた。
わー。霧で全く見えなかった。ここはただの空き地で、こんな建物なかったはずなのに。
「それでは千尋さま。こちらへ。」
私はコインに興味をそそられ知佳に聞いてみた。が、
「それは後で説明します。さあ。」
この世界のことよりも救世主のことよりも目の前のコインに惹かれていたが、ここは我慢だ。
私は知佳について、塔の中に入っていった。