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16年振りの再会

――ピンポーン


「あ、酒井先生だよ!!」


時刻は8時ちょうど。酒井先生は授業も一度も遅れたことないもんね。代わりに忘れ物して生徒をパシリにするけど。




知佳が出迎えに行った。



「もう待ってたよー!!お母さーん、お父さーん。」


「そんな大きな声で叫ばなくても聞こえるわよ。」



「、、、知世ちゃん!!」


「まっちゃん!!待ってたわよ。久しぶり!!」


「変わらないなー。」


「本当に?もう、まっちゃんだって相変わらずね。」


「、、、よっ。」


「和宏ー!!元気だったか?あはは。」


「あははじゃねーよ。いきなりいなくなって教師になってびっくりだよ。」


「なんだ?寂しかったのか?」


「そんなんじゃねーよ。」




驚いた。おじさんのキャラが違う、、、。知佳もそう思ってるみたい。目も口開きっぱなし。だって、おじさんがこんな、若者みたいな口調でめちゃくちゃ喋ってるなんて、、、。



「ま、とりあえず飲もうぜ。」


「あら、ご飯は?一緒に食べるかと思って待ってたのよ?」


「軽く食べてきたけど。」


「なら良かった。食べてってよ。千尋ちゃんも。」


「え、私食べてきちゃいましたよ。」


「えー。なんでよ。」


「だってさすがに2日続けてっていうのはちょっと、、、。」


「もう。そんなこと気にしなくて良いのに。」


「いえいえ。」


「お、じゃあ牧野も飲むか?」


「未成年ですよ。教師が何言ってるんですか?」


「あはは。そうだな。あー。知世ちゃんの手料理、久しぶりだなー。」


「は?いつ食べたんだよ!!」


「そう怒るなって。あれだよ。会社でよくクッキー作ってきてくれてたじゃん。」


「それお菓子じゃない。」


「立派な手料理だろ。」


「ったく、紛らわしいんだよ。」


「で、だからなんで教師になってるの?」


「まあ、そう急ぐな。美味しいご飯を食べてからな。、、、ん?美味しい!!」


「時間がもったいないわ。」


「じゃあなんでお前たちがこんな所に住んでるのかを聞かせてもらうよ。」


「それは、単に私の実家が近くだからよ。結婚式の2ヵ月くらい後にお母さんが倒れちゃって。すぐによくなったし私の兄夫婦も一緒に住んでるんだけど心配で。」


「会社までは1時間もすれば着ける距離だから引っ越したんだ。」


「へー。1時間か。俺もだな。」


「なにが?」


「通勤時間。」


「あら、そんなに遠くに住んでるのね。家族で?」


「いや、1人で。」


「なんだ。結婚してないのか?」


「そうなんだよね。でも1人は楽だぞー。」


「あ、結婚しないで、まだチャラチャラしてるんでしょ。」


「まだって、、、。酷いなー。俺は今も昔もチャラチャラしてたわけじゃないだろ。見た目くらいなもので。」


「はいはい。それで、予定もないの?」


「ああ。付き合った人は何人かいたんだけど、俺にはやらなきゃいけないことがあるって思ったっていうか。」


「なにかっこつけたこと言ってんだよ。要するに結婚で縛られるのが面倒だっただけだろ。」


「いーや。使命なんだよ。そういう夢を見た。」


「「はあ?」」


「あはは。さすが夫婦。ハモっちゃって。」


「呆れてんだよ。なにが夢だよ。」


「そうよ。もしかして教師になったのも夢のお告げだとか言うんじゃないわよね。」


「いや、教師は違う。って、どっちも本気だって。」


「どうだか。」


「いや、まず教師になったのはな、、、」

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