テレパシー?
ピンポーン―――
「はーい。あ、千尋。入ってー。」
「うん。お邪魔しまーす。」
知佳の家はモノトーンでまとめられていて、物がきれいに収納されているからすっきりした感じなんだ。知佳もきれい好きだし。私の家はお母さんがきれい好きなんだけど私が散らかし放題だから基本、散らかってる。たまにお母さんが早く帰った時に片付けするんだけどその日のうちに私が散らかしちゃうんだ。
リビングにおじさんがいた。
「おじさん、お邪魔します。」
――!?
――え、知佳?どうしたの?
「ああ、千尋ちゃん。いらっしゃい。」
――千尋。この人が?
――知佳のお父さんだよ。
――私のお父さんです。
――だからそうだって。
――いえ、私たちの世界での私のお父さんです。
――同じってこと?
――はい。びっくりです。ところで千尋?
――なに?
――今私たち、会話してます?
――あれ?そういえば私、喋ってないのに知佳とやりとりしてた?
――私はずっと喋ってますが、千尋の声がこの家に来てから耳からではなく頭に響いてくるようにきこえます。
――私と一緒じゃない。でもこれってテレパシーってやつ?他の人とでも?
――はい。私も聞こえます。知佳さんの声は普通に聞こえますが千尋さまの声は知佳さんの言うように聞こえます。
――この、知佳の家が原因?
――わかりません。一度出てみないとなんとも。
――じゃあ一回出てみよっ。
「あら、千尋ちゃん。夕食出来たわよ。冷めないうちに食べちゃいましょ。」
「あ、はーい。」
――ごめん、後で。、、、知佳?今度はなに?
――お母さんですっ。
――お母さんも一緒なの!?
――驚きですね。両親とも同じなんて。
――運命?
――運命と言って良いのでしょうか?色々な意味で興味があります。
――はい?
――酒井さんは私の両親と同期なんです。年は酒井さんの方が上ですが。2人の恋のキューピットでもあるんですよ。
――キ、キューピット!?酒井さんが!?
――なんですか?
――雅人くん、昔はかっこよかったんですよ。
――そうなんですか!?でも、かっこよかったとしてもキューピットってのはなあ、、、。
――ただ和宏くんと仲が良かったので知世さんとの仲を取り持ってあげただけです。
――それのことを言うんじゃないんですかね。、、、でも気になる!!
良いことを思いついた私は食卓についた。
「今日はお嬢さま方が好きな唐揚げよ。」
「なによ、お母さん。嫌み?」
「太るけど美味しいんだからしょうがないよね。」
「ふふふ。さ、食べましょう。」
4人「いただきまーす」
「うん、美味しいです。ところでおばさんとおじさんはどうして結婚したんですか?」
「ん!?」
「どうしたの、千尋ちゃん。急に。」
「お母さんとお父さんの馴初めかー。そう言えば聞いたことなかった。」
「気になるよね。ね、教えてくださいよー。」
「コホン。ごちそうさま。」
「ちょっとあなた。早すぎよ。そうねー、そんなに気になる?」
「はい!!」
「うん!!」
「じゃ、教えてあげる!!あなたもいるのよ。」
「あ、ああ。」
やった。、、、おじさんめっちゃ嫌そうだけど。
「でもあんまり期待しないでちょいだいね。」
そうして知佳の両親の馴初め物語は始まった。