石の力
「知佳のお父さんとお母さんってどんな人?」
「えーと、どんな、と言われても。でも、どうしたんですか?」
「そう言うと思った。そっちとこっちじゃ違う人なんだろうなって。」
「あっ!!」
「え、どうしたの?」
「そうなんですかっ!?」
「違うの?」
「いえ、合っているでしょう。確かに違うと思います。」
「なんで?」
「まったく、どうして気づかないのよ。人間世界と私たちの世界で同じ人間が同じように生活してるわけではないでしょ。当然結婚する相手が同じとも限らない。人間世界で生まれた子供は私たちの世界にやってきてコインタワーに到着したら自然と親の元へ導かれるの。人間世界の母親や父親の所に行くとは限らないのよ。」
「、、、そっか!!よくわかりましたね、千尋!!」
「うーん、普通に考えてそうなんじゃないかな?」
「まあまあ、でも興味がありますね。知佳さまのご両親。」
「ちょうど良かったです。私、今日知佳の家で晩御飯ご馳走になるんです。7時なんですけど時間大丈夫ですか?」
「ええ、それは良いですね。時間も大丈夫です。」
「じゃあそういうことで。」
「わー。どんな人が私のお母さんとお父さんなんだろう。楽しみ!」
「うん、楽しみにしててね。ではまずどこに行きますか?」
「まずコインタワーの場所に、こちらではただの空き地ですが、そこに行ってみたいと思います。」
「はい。ところでコインタワーってずっとあの場所にあるんですか?」
「コインタワーは5千年前からあります。その時から影の世界を異空間の中で存在するのを維持しています。もっとも、コインタワー自体がそうしているのではなく最上階にある石の力です。100年前からはその力に導かれて影がやってくるという役割もあります。」
「ふーん。あ、ここの空き地だね。」
「それで、どうしてそんなことをお聞きになるのです?」
「ああ、ごめんなさい。ここってずっと空き地だったわけじゃないんじゃないかって思って。」
「そうなんですか!?」
「わかんないけど、何かしら建てるんじゃないかな?そうだとしたらコインタワーみたいにずっとある建物がこっちでは普通の家では少しおかしい気がして。みんなの世界の建物の配置とかこっちの世界とだいたい同じだもん。」
じ、自分で言っててよくわかんなくなってきた。
「なるほど。建物の配置がだいたい同じであることは私も初めて人間世界に来た時に知って驚きました。私たちの世界で建物の配置を把握するのは不可能ですので。人間世界と影の世界では極力対応するように力が働いているのではないかと思います。こちらにも職人がいるのでこちらはこちらの判断で家も建てるし道路の工事もするものだとばかり思っていましたが。」
「全部、そのコインタワーの石の力っていうことね。」
「はい。子供ができる兆候の子供部屋ができるのも石の力です。」
「私、その石見たことないんですよ。」
「そうなの?むやみに見ちゃいけないものなの?」
「そうではありませんが、非常に、非常に大切なものなので管理は厳重なんです。」
「あ、そりゃそうですよね。世界を維持する石ですもんね。強調するほど大切だってこと、よくわかります。」
「それで、コインタワーが以前から同じ場所にあるのかということですが、申し訳ありません。今すぐにはお答えできません。明日までに調べておきます。至らなくてすみません。」
「あ、良いんですよ。じゃあ、こっちはずっと空き地なのかどうかを調べましょう。図書館はこっちです。」
ふふふ。酒井さんには悪いけど、酒井先生に勝った感じで気分良いな。
図書館に行けば資料で昔の町の様子がわかるよね。
ということで私たちは図書館に来た。
「図書館とか公共の施設は同じ場所なの?あ、公共とか関係ないか、、、。ん?どうしたの、知佳。」
「この場所、私の家です。」
「やっぱ関係ないか。そうなんだー。でかいねー。」
「え、いえ。大きさは全然違いますよ。その分庭が広いですが。」
「あはは、わかってるよ。」
さてと、調べるぞ。