千尋サイド
サブタイトル思いつかなかったので、先に言っちゃいました。はい、千尋サイドですヽ(^^)
今、この状況を整理してみる。目の前には親友の知佳、現代社会の酒井先生、さらには英語の林先生がいる。けどみんな私が知ってる人たちとは別人。場所も私が過ごしている町なのに私が知ってる場所ではない。おまけに今現在いるのは全く知らない塔の中。
救世主って、いきなり言われて、いろいろ説明もしてもらったけどやっぱりピンとこない。それにあまりにも現実離れした話でイマイチ乗り切れない。
この親友の影だという知佳。知佳とは別人だけど彼女は信用できる。ものすごく怪しいけど彼女が言うんなら協力しよう。その話が本当なら世界が大変だ。って世界を守るヒーロー気取ってみたけど、良いんだよね。この状態。
「どうやら決めてくれたみたいですね。」
「えっ!?さ、酒井先生。」
「この世界では酒井とお呼びくださいませ。」
「酒井、、、さん。どうして決めたってわかったの?」
「千尋さまの表情を見ればわかります。千尋さまも知佳さんと同様わかりやすい方ですね。」
「う、ごめんなさい。」
「いえ、謝ることではありませんよ。それでは今日のところはこれで解散です。千尋さまは放課後なにも用事がありませんよね。」
「まあ、暇人ですけど。」
「それでは放課後すぐに私たちと合流して絶対指導者を探しましょう。」
「合流っていっても霧が深くならないと千尋には私たちは見えないじゃん。どうするの?」
「いえ、千尋さまにはいつでも私たちが見えていますよね。」
「そうなんですか!?」
「うーん、もしかして妖精の正体があなたたち?」
「その通りです。」
うわー。あれだ。2週間前から近くに現れるようになった妖精。最初の頃は光が浮かんでるようにしか見えなかったけど、最近では結構はっきりと人型に見えるようになっていた。
「でも声は?声は聞こえないですよ。、、、あっ!ここに連れて来られる直前に聞こえたかも。でもそれは頭に直接聞こえてくる感じだった。」
「そうですか。おそらくそれです!!」
「わ、いきなり大きい声出さないでくださいよ。それで、なにがどうしたんですか?」
「千尋さまには私たちの声を耳からではなく頭で感じ取ることができるのです。」
「、、、すごい。」
「では解決したところで戻りましょうか。」
「はい。」
そのあと、林先生とさよならして知佳と酒井さんと私の家に向かった。そこで待っていたのは、お母さんだった。何故だか涙目で。
「お、お母さん、、、どうして?」
「あなたが千尋なのね。嬉しい。会いたかった。」
あ、そういえばこの世界に私の影はいないって言ってたよね。じゃあお母さんに子供がいないんだ。あれ?そもそも私たちと影が同じ人生を歩んでいるわけじゃないから誰と誰が結婚するかも別だし、しかも子供が誰の子供になるかも、、、。あれ?よくわかんなくなってきちゃった。て、わわっ!!お母さんがいきなり抱きついてきちゃった。
「本当に嬉しい。こんな日がくるなんて思わなかったもの。」
「ま、今は良っか。」
「ん?どうしたの?あ、そうね。あなたは救世主だものね。馴れ馴れしかったのね、ごめんなさい、すみません。救世主さま。」
「え、いや、良いよ、千尋で。お母さんだもん。」
「本当ですか?」
「敬語もいらないって。」
「それじゃあ、、、。あ、入って?人間世界に戻るんでしょ。」
「うん。お邪魔します。って変な感じー。」
続いて知佳と酒井さんも入り、私の部屋に行った。
「それにしてもここには2階建ての家がないの?地下室がある普通の家なんてそうないよ。」
「そうですか?私たちには2階建ての方が珍しいですよ。主に物置に使うんですか?」
「それは地下室よ、主に。」
なんだか不思議な会話だな。そして私の部屋で電気を消して、え、何!?私と両親の写真を酒井さんが取り出した。
「なんで私が去年お父さんとお母さんと旅行に行った時の写真を持ってるんですか!?」
「ああ、旅行の写真だったんですか?これを使って行き来するんです。」
「なんでここにあるんだろう、、、。」
「さあ早く戻らなければ。」
「あ、そうですね。」
この世界ではみんなが私のことを救世主なんて言ってるけど、本当に私にできることなんかあるのかな?
疑問点がいくつかできてモヤモヤが晴れない私だったけど、この日はこのまま、人間世界(って言うのも変な感じだけど)に戻った。