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職員の出番

人間世界から、来た時と同じようにして戻ってきた私たちは、まず牧野婦人に千尋のことを話した。


「そう。元気な子なのね。それにあなたのご主人様とお友達だなんて不思議ね。」


「うん。じゃあ私たちもう行くね。」


「ありがとう。また今度ね。」


「牧野さん。これから何度もお邪魔することになると思いますがよろしくお願いします。」


「はい。いつでもどうぞ。」


「「お邪魔しました。」」




牧野宅を後にした私たちは今度はコインタワーに向かった。



「牧野さん、すごく嬉しそうだったね。」


「そうですね。それにしても、この世界と人間世界には不思議なことがたくさんありますね。これから忙しくなりそうです。」


「世界間の違いを調べるのね。」


「はい。知佳さんの初めての大仕事です。」


「今まで書類の整理やら、お茶出しやら、雑用ばっかりだったもんね。楽しみー。」


「仕事なんですから遊び気分ではいけませんよ。好奇心を持つことは良いことですが。」


「わかってるって。」




コインタワーに着くと入口に職員の大半が待ちかまえていた。



「皆さん、どうしたんですか?仕事は。」


「酒井さん。人間世界はどうでした?私たち、もう気になって気になっていてもたってもいられなかったですよ。」


「あはは。みんな子どもみたい。仕事ほっぽりだすなんていけないんだー。」


「知佳に言われたくないな。」


「しょうがないでしょ。大人になってからこんな重大なことが起きたんだから。」



私が小さい頃から知っているコインタワーの職員たちだ。

両親ともここで働いているから忙しい2人に代わってみんなが幼い私の遊び相手になってくれていたんだ。

私は昔から生意気だったから苦労したってみんな口をそろえて言うんだ。全く、失礼しちゃう。



「仕方がありませんね。では早速会議室に行きましょう。」


「それはだめよ!!雅人くん。」


「はい?なぜです?」


「だって会議室じゃみんな入らないじゃない。」


「みんなって、ここにいる皆さん全員で会議をするわけないではありませんか。いつも通り班の代表だけで会議を行いますよ。」


「でもみんな楽しみに待っていたんだからみんな一緒に聞きたいわ。広間で話して。」


「、、、仕方ありません。そうします。」




この、酒井さんを“雅人くん”と下の名前で呼んだ女の人は酒井さんの幼なじみの花村さん。口では男の人でも負かしちゃう凄い人。年上の酒井さんもたじたじになっちゃうんだ。


そして班っていうのは、職員を役割ごとに分けた班のこと。大体3人1組だ。で、酒井さんだけ1人で番人として一番権威のあるんだ。今は補佐で私がついてるから2人1組ってなっているけど。



こうして林さんの抗議のすえ、いつもは会議室で行う会議を広間ですることになった。

「まず、人間世界での私たちは実体がなく宙に浮き、人間に姿も見られず声も聞かれないようです。私たち同士でも声は聞こえますが姿はみえません。更に、私たちには壁などの障害物も関係ありません。」


「あと、すっごいスピードで移動できるんだよ。」


「すっごいスピード?」


「うん。千尋が自転車をものすごいスピードで漕いでいたんだけど、私たちは飛んでいる感じでサーと移動できちゃったの。」


「待って、知佳。千尋様に会ったのよね。その話の方を詳しく聞かせて。」



会議は、最初の30分で人間世界の報告をし、残りの30分で今後の活動について話し合った。



「では、今後の活動を確認します。1つは千尋を中心に人間の生活を観察すること。そして様子をみて千尋に接触し、協力を求めましょう。もう1つは絶対指導者への対抗策をこの世界又は人間世界で考える。人間世界に行けば何かヒントがあるかもしれないし、この世界にもまだ隠されていることがあるかもしれません。」




タワーの職員を3つのグループに分けた。

私と酒井さん、安藤さん、花村さんは人間の生活を調べる。絶対指導者対抗策を考えるのは宇野さん(大人の女性って感じで落ち着いた性格の人)、水沢さん(花村さんと同期の無口な男の人)林さん(職員の中で1番年が近いお兄さん)、紀美香さん(林さんのお姉さん)だ。私の両親と他の職員の人たちはタワーの仕事を分担してやることに決まった。


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