千尋との出会い
「あれ?酒井さん、なんだか私たち浮いてない?」
「そうですね。私も浮いていると思います。」
「、、、なんで?」
「さあ?」
「役立たず!!」
「そう言われても、、、しっ!静かにっっ!」
「えっ!?」
ドタドタ――
え、誰か来た!!
「――忘れ物、忘れ物っと」
「あっ!!」
私は目の前に写真の女の子が現れて思わず声を出してしまった。
ヤバいっ!
「あった。危ない、危ない。約束してから3日も経っちゃったもんね。さすがの知佳もキレちゃうよ。」
わ、私?っていうか声に気付かれてないの?
女の子は手にCDを持って部屋を出て行った。
「今の子って写真の女の子だよね?私の声にも気付かなかったみたいだけど?」
「どうやらこの世界の人には私たちの姿が見えないし、声も聞こえないみたいですね。」
「うん。で、どうして私の名前――」
「とりあえず今はあの子のあとについて行ってみましょう!!」
「あ、待って!、、、て待ってるかどうかもわからないや。」
けど女の子を追ってるのは一緒なんだからあの子を見失わなければ良いんだよね。
私は女の子のあとについて部屋を出た。
あれ、今の部屋が2階?私たちの世界のでは1階に子供部屋があったのに。
「知佳さん、ついてきていますか?」
「、、、今追いついた。」
「なにしてるんです?はぐれないでくださいよ。」
「だってこの家、おかしいよ?」
「それはあとできちんと整理しますよ。、、、あっ!!」
「なに?、、、えっ!?牧野婦人だ!!」
「お母さんっ、行ってきまーす!!」
「行ってらっしゃい。千尋、今日お母さんもお父さんも帰り遅くなるからね。鍵持った!?」
「はいはーい!!」
千尋と呼ばれた女の子は勢いよくドアを開けて外に出て行った。
あ、危ないっ!私が通る直前にドアが閉まってしまう!!
「ひゃあー!!」
、、、あれ?外?
「知佳さん、早く!!」
え?ドアを通り抜けちゃった。、、、焦ったー。て言ってる場合じゃない。自転車で行っちゃう。急いでついて行かなきゃ。あれ?自転車の速度に追いついてる。しかも空中に浮いてるから飛んでるみたいだし、普通に走るより断然速く移動できるや。
「それにしても彼女、凄まじいスピードで漕いでますね。」
「ホントに。」
そうしてしばらくすると私たちは学校と思われる場所に辿り着いた。