牧野さん
「牧野さーん。酒井です。」
「はーい。」
家の中から50歳くらいの女の人が出てきた。すごく疲れている顔をしてるけどきれい好きみたいだ。ドアの隙間から見えた玄関も、着ている洋服もオシャレな感じだし。
「そういえば、この人絶対指導者主義者なんでしょ?なんて説明したの?」
私はふいに思ったことを酒井さんに小声で聞いてみた。
「正直に話したよ。それよりも子供ができるはずだったのにできなかったことに動揺していたよ。」
「そうなんだ。そうだよね。この世界で子供ができない人はいるけど、人間世界の自分たちの主人たちには子供がいるなんて知ったら悲しい。というか過去に例がないことだから驚くよ。」
私たちは牧野宅に入った。やっぱりすごくきれいにしてる。
「きれいにしてるんだね。あ、このオブジェかわいー。」
「こらっ、知佳さん。敬語!!」
「えっ、敬語!?えーと、急には無理!!」
「大丈夫ですよ。ありがとう。実は結婚して5年くらいまでは本当にどうして子供ができないんだろうって悩んでたんだけどね。それからは、他にも子供ができない人がたくさんいるって思って割り切ったの。だから夫婦2人の生活を楽しもうって思ったのよ。安藤さんにも相談というか、知人の紹介で知って、子供がいたらこんなことをするって話をしていただけなの。でも16年前に部屋の内装ができたって話をしたら驚かれてね。
普通は結婚してから1年以内で子供ができるんだけど、私たちにはいつまで経っても子供ができなかった。だから結婚3年目の今から16年前、兆候が現れた時はとっても嬉しかったのね。でもそれからまた何も起こらなかったの。てっきり、子供ができる、しかも女の子だ、わーいって思ったのに。不思議だったんだけど周りの人たちはもう親になってて、今更相談するのも遅いって思ったらそのままにするしかなかったの。
安藤さんはコインタワーで働いている人だから子供の出生には詳しいの。評判も良い人だから思い切って他人に初めて、今まで誰にも言わなかったこのことを話したの。そしたら安藤さんが反絶対指導者主義者だとかいって、そのことにも驚いたわ。そんな人がこの世界にいるなんて全然知らなかったから。で、私たちも何がどうなってるのか知りたかったから調べることに協力したのよ。」
牧野婦人が喋っている間にリビングに着き、出された紅茶を1杯飲み干してしまった。
この話もう終わったよね、、、。
「それでねっ!!」
ビクッ
「ああ、ではお話はそんなところで。そろそろ、、、。」
「そうでした!!すみませんねー。話すのが好きで好きで。」
あー良かった。また続くところだったよ。酒井さん、ナイス!!
話がなんとか終わったところでようやく私たちは例の部屋に向かった。
ずっとサブタイトルが数字ですが、話が一段落したらちゃんと考えて直します。といっても大したタイトルにはならないと思いますが(/_・、)