ノエルの秘密
2時間後、魔王の城から東へ400キロほどの森の上空
離陸から二時間が経過し、太陽は地平線に沈もうとしていた。眼下に広がる森は城の周りにあったものとは違いベトナムのジャングルを連想させるようなうっそうとしたものに変わっていた。途中、いくつか町の近くを飛んだのだが人々がこちらを確認して逃げ惑っていたので着陸はしなかった。近くに着陸して徒歩で町へ行くことも考えたのだが、
「すぅ・・・すぅ。」
ノエルとシャルが寝てしまったのでやめた。普通はこの騒がしいローター音のせいでなれるまでは眠れないのだが、気にならないほどに疲れていたようだった。戦場になる城にいたらしいし、精神的に疲れがたまったのだろう。
二人はより添うように眠っていた。何とも癒される光景である。
しかし、夜間に飛び続けると少なからず危険だし、きちんと休めないからそろそろどこかに着陸しないとな。
と、20分ほど前から考えてはいるのだが、ヘリが着陸できるほどひろい場所がない。
だが、前方に湖らしきものが見えてきた。直径5キロはありそうなくらい広い。それに周りには着陸できるスペースがありそうだった。
ほどなくして湖上空に到達。ホバリングをして二人を起こさないよう慎重に着陸させる。努力の結果、着陸の衝撃はあまりなく今までで最高の着陸ができた。
エンジンを切りると、ローターがゆっくりと止まる。といっても時間が少しかかったが。
湖は美しく、夕陽に照らされてオレンジ色に染まっていた。周りの森とは違い湖の周りは過ごしやすそうな感じだ。
ほんの少し見とれてしまったがすぐに目をそらした。
オレンジ色が炎を思い出させる。
「すぅ・・・すぅ。」
二人はまだ安らかな寝息を立てている。起こすのが悪いような気もするがノエルの肩をつかんでゆすった。
「ノエル、起きろ。着陸したぞ。」
声をかけつつ肩を揺らしているのだが、反応が薄い。
「うん・・・もうそんなに・・・。食材が・・無駄になってしまいます・・・。」
何か、食べている夢でも見ているのだろうか。
反応が薄いのでノエルは後にしてシャルを先に起こすことにする。
「シャル、起きてくれ。もう地上だそ。」
ノエルと同じように肩をゆする。
すると、瞼が震えて開いた。
「ほぇ・・・。あっユート。おはよう。」
まだ、寝ぼけているようで、何度も瞬きを繰り返すシャル。
「おはよう。っていっても今は夕方だけどな。」
俺の言葉を聞いてシャルが外を見る。
「ほら、シャルも起きたんだから起きろ。ノエル、起きてくれ。」
ノエルの肩をまたゆするが、全然起きる気配がない。
「あっ、任せて。お姉ちゃんを起こすのはちょっとコツがいるんだよ。」
シャルがシートベルトを自分ではずして横から話しかけてきた。
もう寝ぼけてはいないようだった。
「じゃあ、頼むよ。」
少し下がってシャルに場所を譲る。
シャルはノエルの前に行くと、彼女の耳に顔を近づけた。
「お姉ちゃん。また、おもらししてる!早く隠さないと、怒られちゃうよ!」
思いもしないセリフだったので、思わず目を見開く。
こんなことを言っても起きるわけがないだろうし、これじゃあノエルがまだおもらししてるみたいじゃないか。
「ふえぇぇ!そんなぁ、昨日はちゃんと済ませたはずなのに。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
様子を見る限り、まだしているようだった。
「あ・・・。」
幼い子供を見るような目でノエルを見ているとようやく目があった。
先ほどまではパニックになっていて少し顔が赤かったが、目があった瞬間にトマトのように真っ赤になってしまった。
なんといっていいのか分からずに動けずにいると、視界の端でシャルが笑いをこらえている姿が見えた。
「・・・・・・・まあ、そういうのは個人差があるから気にしないほうがいいとおもうぞ。気を落とすことないさ。」
慰めるために言葉を選んだのだがノエルの目元には涙が滲んでくる。
女性に泣かれることなどあまりなかったので戸惑ってしまう。
「あははは!」
そんな俺たちを見てシャルが大きな声を上げて笑う。
湖の周りには彼女の声だけが響き渡っていた。
昨日、更新するつもりが書いている途中で寝てました。
なので朝になりました。
すみません。