脱出
ちょっと書き方変えました。
数分後
300メートルほど南東に歩くと森を抜けた。
どうやらあの自称オペレーターが言っていた城は窪地の中心にある小さな丘の上に建てられていたらしい。ちなみにこの森は窪地の周りにある高台の一つにあった。300メートルしか進んでいないので距離はまだ遠いがある程度は肉眼でも確認できた。
城を囲むように黒いものがうごめいている。
「どうやらあいつは本当のことを言っていたようだな。」
望遠鏡をウエストポーチから取出し城をうかがう。
なんというか、予想通りだった。城があり、人が群がっている時点であいつが言っていた異世界云々の話は一応信じた。じゃなきゃ、銃を使わずに剣で殺しあっている場面なんかに出会うはずない。
「かなりの数だな。軽く見積もっても15万人は下らない。」
とはいっても両軍合わせた数だ。どうやら、城を攻めているほうが有利らしい。
双眼鏡から目を話し、戦場の全体を見る。これ以上情報は集められないだろう。そう思い双眼鏡をウエストポーチに入れようとすると
戦場に光があふれ、次の瞬間轟音が鳴り響き地面が揺れた。
「なっ!?」
思わず声が漏れてしまう。城の中核部分、すなわち王の間がありそうな部分が吹き飛んでいた。
あれは……いったい?
同時刻、城から北北西へ約1970メートル地点、脱出路出口付近
ノエルSIDE
「そろそろ出口付近です。足元に注意してください、姫様。」
「はい。お気づかいありがとうございます。」
私と妹のシャルロットはお父様の用意してくださった40人ほどの近衛兵たちとともに地下にある迷路のような城からの脱出路をひたすらに歩き続けてきました。
どうやらそれももうそろそろ終わりのようで、道の先にかすかな光が見えてきました。
「あ!光が見えてきたよ、お姉ちゃん。」
妹のシャルロットが私の服の裾を引っ張りながら、出口のほうを指さしています。
先ほどまでは元気がなかったのに出口が近いとわかって元気を取り戻したようです。
「ええ、そうね。もうすぐ外に出られるわ。」
「もうくたくただよ~。明かりは松明の光しかないし、じめじめしてるし、歩きづらいし。」
一気に不満を言い始めたシャルロットの言葉を聞いて、私も周りの兵士たちも皆苦笑しました。
少しして、私たちは日の光を浴びることができました。どうやら少し離れたところにある森の開けた場所のようでした。
「これから私たちはどうするのでしょうか?」
私の質問に近くにいたこの小隊の隊長さんが答えてくれました。
「はっ!我々はここから北にあるモルティスの町へ行き体勢を立て直すことになっています。ですが距離がありますし、敵の目から逃れねばなりませんので1日ほどはかかるかと。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「今、何人か周囲の偵察をさせているのでもう少しした―――」
「ぐああああぁぁあぁぁぁぁあぁ」
突然大きな悲鳴、というより断末魔が響き渡りました。
それを聞いた瞬間、隊長さんの顔に焦りが浮かんだような気がしました。
「まずい!もしかしたら敵に囲まれたのかもしれん。総員、姫様の周りに―――」
ドサッ。
何かが投げられたような音が聞こえ、私たちはそちらを見ました。其処には先ほど偵察に行った兵士たちの死骸が複数置かれていました。
そして、その隣には身長が2.5メートルはありそうな巨漢が立っていました。
「ふう。やっとお出ましだ。退屈しちまったぜ。」
主人公の視点はでの話は書きやすいのに、ほかの登場人物での視点は難しいです。