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勇者

今回は少しずつ書いて早めに投稿できました。


でもテストで英語が……orz

気にしないほうがいいですね。

勇者SIDE



俺は『田中(たなか)直樹(なおき)』。特に人と比べて優れているところのないラノベ好きな高校2年生だった。



それが今ではなぜかは知らないが異世界で勇者をやってます。



別にラノベみたいに、〔なんか交通事故にあって気づいたら…〕とか、〔神様が現れて転生を…〕なんてことはなかった。

ただ授業中に居眠りをしていて気がついたら魔法陣の中に現れてた。

いきなり「あなたは勇者様ですね」とか言われて、あれよあれよという間に玉座の間に連れて行かれて「この国を魔人どもからお救いください」なんてラノベ的展開が訪れたんだ。



当然俺は喜びまくったよ。学生やってたときには50メートルを8秒くらいでしか走れなかった普通の俺が、召還されてから4秒で走れるようになってたんだから。

魔力ってやつも体の中にあって、しかも魔道書を呼んでイメージするだけですぐに使えるようになったから。

しかも、大体こういう展開だと〔勇者は魔王を倒し、姫と幸せに暮らしました〕っていうのが王道だろ。


平凡だった俺が誰にも負けない力ときれいな姫を嫁にもらえるなんて喜ぶしかない状況じゃないか。


でも、現実はそううまくいくものじゃなかったんだ。




初めて、姫君と会うことになった日に俺は心を弾ませて支給された中でも一番かっこいい服を着て玉座の間に行ったんだよ。






でも……






姫君はデブでした。







姫君が出てきたときにふかふかのカーペットに両腕をついた俺は悪くないはずだ。

どんなにきれいな姫が出てくるかと思っていたらきれいでもなんでもない中年のおばさんのような姫だったんだから。

しかもその姫は、婚約者がいてその婚約者もデブだったんだよ。何か王家に近い貴族の息子らしいんだがかっこよくなかった。


そういうことがあったが、何とか自分を鼓舞して今まで魔人たちを倒すためにがんばってきたんだ。


そうして今日、魔国のひとつでもあるサラビエラ王国へと進軍し何とか激闘の末、魔王を倒すことができたんだ。






AM 2:20 同盟軍野営地 医療所



俺は額に冷たいものを乗せられるのを感じた。

おそらくぬらした布か何かだろう。

ゆっくりと目を開く。




「あ、起きられましたね『直輝』様」





先ほどまで俺の額に乗っていたであろう布を洗いながらうれしそうに俺の顔を覗き込みながら声をかけてきた人物。


その人物の名前は『ミラン・ユークリスト』という。

首のところでそろえられた茶色の髪におしとやかなイメージがする子顔。顔と同じで身長は154センチと小さく、体の線はガリガリというまでではないがかなり細い。


今までに列挙した特長からすれば大体の人は女の子をイメージするだろう。



だが、ミランは『男』である。



いわゆる男の娘というやつらしい。


デブな姫といいこの陣営には女性成分がかなり足りていない。

女性はいることにはいるのだが筋肉隆々で人の身長もありそうな斧を振り回す人や、すでに既婚の人しかいない。

城のメイドにしたってそうだ。彼氏持ちか夫持ちしかいない。


ミランは勇者である俺の身の回りの世話や部隊の指揮をするために名門貴族である『ユークリスト』家から派遣されてきた。


あのころの俺は姫がデブだったことに落ち込んでいたときに女と見まごうほどの容姿だったので本当に心のそこから喜んだ。だが、とあるハプニングで彼が風呂に入っているのを見てしてしまったときに、股に……何があったかは想像にお任せしよう。


そんなこともあってトラウマになりかけたのだが、何とか彼とはうまくやっている。


そんな女に恵まれなかった俺にも希望があった。


「状況はどうなってるの?」


ミランに尋ねるとうれしそうな笑顔を浮かべ、元気いっぱいに返事をしてくれた。


「はい!魔王は死に、王城もすでに同盟軍が占拠しました。同盟軍の被害は予想よりも少なく、幸先のいい勝利となりました」


どうやら、うまくことが運んだらしい。城内の魔人の数が少なかったのも関係しているだろうけど。


そんなことよりも、だ。




「魔王の娘は?確か、どっかの国の将軍が確保に向かったって聞いたんだけど?」





そう、自分の陣営に女性成分が足りないのならば、敵陣営から補給してしまえばいい。それがこの世界に来た俺の出した答えだ。


魔王の娘たちと最初に会ったのは国境に入るときに一回だけあった迎撃戦の時だ。





数週間前 サラビエラ王国国境近く






地平線が所々に見える平地に二つの軍勢が向かい合っていた。

1つは同盟軍。

もう1つは魔王率いるサラビエラ国軍。


兵の数は同盟軍12万。

サラビエラ国軍3万。

4倍もの兵力差があるにもかかわらず、3万の軍勢の先頭にいる男はおびえすらしていなかった。

精悍な顔つきに体からにじみ出る膨大な魔力。

そして、距離があるにもかかわらずここからでも見える紫の瞳。





「汝らはいかなる大義をもってわが国を(おびや)かそうとするのか?正当な大義がないのであれば即刻ここより立ち去れ!」





魔王だった。


しかし、女性成分に飢えていた俺の目は魔王を見てはいなかった。


その傍らに立つ二人のきれいな女の子へと目を奪われていたのだ。







AM 2:30 同盟軍野営地 医療所






結局、そのときの戦いでは魔王とともに突撃してきた1万の軍勢に引っ掻き回され、こちらは死傷者3万人を出してしまった。






が、そんなことはどうでもよかった。







後であの二人は魔王の娘であることを知った俺は軍議で情報がほしいとかもっともらしい事を言って、二人を生け捕りにすることを承知させた。


そしてその二人がもうすぐ手に入るのだから待ち遠しくないはずがない。








「それが……魔王の娘を確保しに向かわれたクラドギア将軍は何者かによって殺され、魔王の娘たちも行方が分からないとのことです」






目を伏せて申し訳なさそうにこちらの顔色をうかがってくるミラン。



そ、そんな。俺の、魔王の娘たちと一緒にキャッキャウフフな異世界生活計画はいったいどうなってしまうというんだ!!!



「しかも、無詠唱魔法を扱う魔人とも人間とも分からない男だったそうです」


「無詠唱魔法…だと?」


無詠唱魔法とは確か、神やそれに通ずる特別なものか、よほど強力な力を持っていない限りできない芸当だったはずだ。


魔王でさえも使えなかったというのに、それを使えるやつがまだサラビエラ王国にはいたのだろうか。


「はい。それに、一部の兵の話では奇怪な鳴き声をあげて飛ぶ黒い魔物を見たそうです」


「魔物っ!?」


魔物はこの世界に存在する強力な力を持つモンスターのことだ。

が、数百年前に行われた魔物掃討作戦によって魔物はその数を大きく減らしており、いなくなってこそいないが大半は雑魚で地上を走るものばかり。まれに強いものも生き残っていたりするがたいていの場合、森の奥などの人があまり立ち入らない場所に住んでいるものだ。

魔物掃討作戦時において最も優先された事項が、飛行できる魔物の殲滅だ。

そしてそれはある程度成功し、まさに秘境と呼ばれるところにしか飛行できる魔物は存在してはいない。

それにもかかわらず、目撃されたということは由々しき事態である。


魔王の娘たちのことは惜しいけど、今は魔物のほうを優先しなくてはいけない。

二人のほうにも一個大隊(500人ほど)振り分けておけばいいだろうし。


「ミラン。すぐに将軍たちを集めて軍議の準備を!」


「はい!」


ミランはすぐさま部屋を出て行った。


俺も準備をしないと。 


寝かされていたベッドから立ち上がろうとすると腹部に痛みが走った。

そこを見ると、包帯が巻かれており少し血がにじんでいた。




「そういえば俺、けが人だった」


今回のお話は勇者の直輝君のお話でした。

そして、登場させちゃいました。

男の娘。

まあ、どうなっていくのかはお楽しみということで。



あと、感想を下さったお二方ありがとうございます。

感想をもらえると作者に生きる希望(執筆意欲)がわいてきますので何か思ったことがあったら遠慮なく書き込んでくださいね。





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