【序章】暗殺者に転生しました
俺はようは一般人。
普通の大学から卒業して、月給22万円の普通の仕事につく。
残業が普通な毎日。
彼女は普通にいない。
合コンには行くけど、普通に出会わない。
25歳、暴走した通りかかりのトラックに轢かれて普通に死んだ。
死に際に俺は案外冷静だった。
そうか、死ぬって何も感じないのか。てっきり、もっと痛かったり苦しかったりするのではないかと。まぁあのサイズの車に轢かれたから痛みもくそもないか。
ふっと気づいたら目の前に机があって、全身光ったおじさん(神でしょ多分)が座っていた。なんか面接現場みたいな状況。
神らしき人物は嘆いた
「ハァー、貴様はなんという惨めな…」
手に履歴書っぽい何かを持てめくりながら言う
「いや、別に普通じゃないですか」
「人は普通に25歳で死なないね」
「いや車に轢かれたら普通に死ぬでしょ」
「普通は車に轢かれません」
「いや…」
「なぜ貴様はいつも否定から入ってんの?」
「すみません」
神はまた嘆いた。
何なんだこの神は、こいつこそ俺の言論に対していつも否定から入ってるくせによ。
「人は様々だからしょうがないけど、お前はもう少しやる気を出さんかね。」
「なくはないけど…」
「あるわけでもないじゃろ」
神はどうも疲れた様子。
「もういい、貴様に一つ恩恵をやろう。せいぜいこれを活かして幸せな人生を送れ。」
オンケイ?ちょっと待て、
死んだら恩恵もらえんの?
「じゃ俺の死んだ爺さんとばあさんは」
「普通はもらえんな。お前はあまりにもひどいからな。天に昇る魂の平均幸福度が下がりすぎるとわいのノルマがやばいんじゃよ。ったく何なんなんよ、ここ最近の人間は、ろくな死に方しねぇからよぉ」
神もノルマあるん?てか神って定年いくつなんだよ。
めっちゃブラックやん。
俺なんかよりお前自身になんか恩恵授かってよ。
「くそ余計なことまで話っておったわい。」
神様?
「さっさと選べ。こんなかから。」
いい加減俺もツッコミに疲れた。
これ動画取って流出したら全世界神に幻滅するよな。
それはさておき、俺の目の前に光りの玉がいくつ浮かんでいた。視線を置くだけでそこに存在する概念が分かる。
さすが神というべきか、どれも普通じゃないみたいだ。ただ正直俺はあまり目立つのはやだなので、暗殺者は良いかもしれない。
スキルは色々あるけど、ステータスめっちゃ低いな、素早さ以外ははっきり言ってゴミ。
ただスキルの中で唯一エクストラ(略してEX)がついているスキルがあって、『パワーバランサー』というらしい。
効果は攻撃力と素早さは、高い方に数値を揃う。
ってことはまぁ、攻撃力と素早さ以外はダメってことか。
そもそも俺はそれほど戦闘したいわけでもないから、別にいいがね。
「これにします。」
俺は暗殺者の玉にふれる。
「おお、よかろう。では転生させよう。せいぜい幸せな人生送って、幸せに死んでくれたまえ。」
なんだ、なんだかんだ言っていい神様じゃないか。
「あそうそう、」
視界がほとんど白い光りに埋まれ、神様は何か思い出したことがあるようだ。
「わいのノルマはマジでやばいからなぁ。おめえ、次に死んでここに来て、もしまたこんなんだったら、地獄に落とすぞ」
…神様?
いやだって、俺は別に自分が超絶不幸な人生送ったと思っていないし、そもそも何で俺の幸せが他の人に定義されてんのさ。
目の前の白い光りは消え、広がる草原に居た。
そうかこれは異世界か。転生したばっかりの俺はそのまま草原に座りこんだ。
「幸せって…なんなんだろう」




