EX.広島最後の会食
友とのひとときの、そして今の生活において最後の邂逅。
文乃はこころより楽しむ。
文乃「準備良しっと。」
会社に忘れ物を取りに行った私は、親友の横川依子と久しぶりに会い、ディナーをすることになった。
文乃「あそこのイタリアン美味しかったんだよね〜♪よりちゃんとも久しぶりのお出かけだし、楽しみ〜♪」
私は支度を済ませると、よりちゃんの家へと迎えに行く。
依子「ありがとうございます五ヶ瀬さん。..本来こちらが送り出す立場なのに、迎えにきてもらって申し訳ない。」
文乃「大丈夫よ〜♪うちが迎えにきた方が、早いからね。さっ行こ行こ♪」
...
そして、イタリアンレストランへと着く...
...
かんぱーい♪
カチン♪
二人はワインの注がれたグラスを持ち乾杯する。
依子「...それにしても、いまだに五ヶ瀬さんが居なくなるなんて現実とは思えないです...。」
文乃「うむ。私もまだ、なんだかふわふわした感覚だよー。あれだけ根詰めて仕事してたのに、今はこんなにフリーダム♪不思議不思議♪」
依子「すっかり血色もよくなって、元気になりましたよね。昔の一緒に遊びに行っていた頃の五ヶ瀬さんのようです。」
文乃「そう?昔はツーリング行ったり、スノボ行ったり、海や山、釣り、外食や、一晩中カラオケで歌いまくったりとか。いっぱい遊んだよね〜。」
依子「あの頃はまだまだ遊び盛りでしたね。20もとうに越えてたというのにwでも、私の中にはあの頃の、全力で仕事もお遊びにも取り組んでいた五ヶ瀬さんが居て、すごく良い思い出として今でも鮮明に思い起こせます。」
文乃「そんなに熱意あったかね?私wうん、まぁ、子供時代にはあんまし遊べなかったからかな。反動が出ちゃってたのかなwあの頃は本当に、心の底から笑えて楽しめてたと思うよ。笑いすぎて後頭部痛くなったりしたもんね♪」
文乃「まぁそれも、よりちゃんが入社して友達になってくれたからなんだよね。よりちゃんいなかったら、私どうなっていたか、正直わからないなぁ。だからね、ありがとう♪よりちゃん♪」
依子「こちらこそ。趣味や話題のぴったり合う方に出会ったのは、私は初めてでした。出会えた事に感謝しています。」
依子「それにしても、記憶や思い出というものは不思議なものですよね。もう何年も過ぎ去った今という時代に、その思い出を楽しむことができる。」
文乃「だねぇ。今にして思うと、ほんと遊びまくって良かったと思うよ。それにしても、大笑いしてるよりちゃんの顔って、あの頃しか見た事ない気がするねぇ。」
依子「それをいうなら五ヶ瀬さんもですよ。いつの間にか担当部署も変わって、どんどん忙しくなっていって...。たまに一緒に出かけたりもしましたが、前ほどには全力で笑うことも、お互い無くなりましたね。」
文乃「だねー。それが大人になるって事なのかな?だとしたら、まったくカッコ良くもないし、なんて面白みの無い世界なんだろうね。」
依子「仕事に使命感は持ってはいます。が、実際ここまで私生活を押し潰す価値のある事なのかと、時折りは思う事がありますね。」
文乃「分かる。ゲシュタルト崩壊的なやつね?」
依子「そんな感じですかねぇ。突き詰めて行けば、人間社会のほぼ全ての営みには意味がなくなりますからね。」
文乃「意味のない事に意味を与えて、そして文化というものが出来上がるのよねぇ。」
依子「その結果が今の文明社会というものですね。生きるという事や世界、宇宙を知る事に意味を欲しがる、人間のサガというものの集大成ですね。」
文乃「人間って体力も免疫力も弱くなって、自由な時間も犠牲にして、なんか退化しているような気さえするわ。」
依子「そうですね。テクノロジーそのものは進化しても、人間そのものは貧弱で、自身の得意な特定分野以外は、殆ど何も出来ませんからね。AIの台頭で、なお考える力も失いそうですしね。」
文乃「将来的には進化の一つとして、機械と量子融合みたいな未来が来るのかねぇ?例えば◯◯のヴェーダみたいに。」
依子「AIが一般化して、あの作品のヴェーダのバックアップ支援っていう意味が実感しやすくなった気はしますね。AIも量子コンピューターも実装された今、あとは脳量子波だけ。現実味は帯びてきましたね。まぁ、それまでにAIにヒトが駆逐されてなければですが。」
文乃「人間は自身の足元を崩すのが大好きだからねぇ。破滅してない事を祈ろうか。」
依子「それにしても...。うーん、このワイン、美味しいですね。」
文乃「うん。ワインの違いはわからないけど、いつもの安ワインとはなんか違うね。口当たりが柔らかいというか、まろやっていうか。そして、このステーキに合う合う♪」
依子「五ヶ瀬さんが次にこっちに来る時も、ここで飲みましょう?」
文乃「うんうん♪そうしよう♪」
....
.....
こうして、友との広島最後の会合は過ぎてゆく。
思い出話に花を咲かせながら、お互いのこの先に思いを馳せ、名残惜しい時を楽しんだ...。
過ぎ去る時を惜しみながら、未来へと進んでゆく。
またいつか、元気に再会できる事を新たな糧として。




