表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/22

*最終日* 愛着を「持っていた」家とのお別れ、新たな巣立ち。

そして広島生活最終日となった。

荷物は三日間かけて少しずつ荷物を乗せて行き、最終日は朝から余裕がある状態だ。

広島生活最終日...


とうとう住み慣れた家を離れる日が来た。


この日は朝からゴミの片付けと、残りの家具や布団などの荷物を積み込んでいた。


寿喜「コレで全部かな?」


文乃「うーんと、...そうだね、終わりみたい。」


最後の荷物を乗せ終え、トラックの荷台を閉める。


寿喜「じゃ、出るかい?」


文乃「...、うん....。出ようか...。」


寿喜「少し待とうか?」


文乃「いや、..、いいよ。行こう。」


そうして寿喜の駆る大型ウイングトラックと、文乃のミニバンが走り出す。


車を走らせながら、文乃の目からは訳もわからずに涙が溢れ、後にした家での思い出が溢れ出す......。


...

....

.....


好みの物件を探し当て、初めて家を見にきた時、ワクワクしてたあの感覚。


引っ越しの際に仲間に手伝ってもらって、苦労しながら冷蔵庫や洗濯機を運び込んだこと。


電気の手続きが済み、初めて灯りが付いて明るくなった時の感動。


大家さんに招かれて、近所の人達とお酒を飲みながら晩御飯を食べたこと。


夏祭り、地域でカラオケの代表になり、ステージでほろ酔いで歌を歌ったこと。


友達を呼んで、自宅庭でBBQをやり、酔いに身を任せて楽しんだこと...。


お正月過ぎ、子供のためのイベントの「とんど」におじいちゃん達しかいなくて、それでもみんなで一生懸命に楽しく支度して、お酒を飲みながら談笑したこと....。


猫と一緒に眺めの良い記念碑によく座っていた。

目と肌で四季の彩りを感じていた。

夕陽に照らされた箱庭のような田園風景が好きだった...。

そして、それらをなだらかに見下ろせる坂道...。

全てがお気に入りだった、

まさに、ふるさとの風景だった...。


.....

....

...


忙しい日々に埋もれちゃってたかな...。

やっぱり私、あそこでの暮らしが大好きだったんだね..。

やっと...、思い出せたよ...。


本当は、すごく良いところだったんだよね。

 

私、.....あの家でもっと、暮らしていたかったんだな...。


集落の人たちはお年寄りばかりだったけど、いつも良くしてくれて、とても可愛がってくれていた。


ちょうど良い位置にあるちょうど良いサイズのとても気に入っていた家だった...。


それでもそこを出る選択をした。

もう、戻れない。


だからこそ、この先後悔のないように、しっかりと地に足をつけて生きていこう。


この家で生まれた思い出達を糧に、明日からも一生懸命に生きていこう...。


落ち着いたら必ずまた来よう。


......

....

...


♪〜♪〜♪♪〜


寿喜から着信だ。

文乃はハンズフリーで応対する。


文乃「ぐすっ......、ピッ、はい、どうした?」


寿喜「もみじ饅頭買いてーから宮島パーキング寄っていい? あと昼飯、美東のちゃんぽんで良いべ?」


文乃「...プッ...w、うん、わかった。それで大丈夫だよ。」


寿喜「...、おっけ〜、んじゃ、ご安全に〜」


文乃「うん、ご安全に〜♪」


ピッ、通話を切る。


文乃「...なんか、ノスタルジックな気分もどっか行っちゃったよw やっぱ、食い気が一番やねぇ...w」


文乃は目に涙を溜めたまま吹き出し、

センチだった気分も少し和む。


文乃の視界にいつもと変わらない、何の変哲もない風景が流れてゆく。

仕事でも、プライベートでも、この高速道路をよく使っていた。

普段から良く使う、何でもないありふれた道だ。


そんな何でもない道が..、今では愛おしく感じる。


この見慣れた景色も、次第に懐かしい過去になっていくだろう。だからこそ、しっかりと目に焼き付けておこう。


ここで生きた記憶を。

ここに息づく暮らしを、時代を。


時を重ねた先でまた、ここに来る時、

新しい驚きと、変わらない懐かしさを楽しむために........。


こうして文乃の重ねた時に、一つの終止符をうった。


思い出は巡り、まだ見ぬ未来への不安と綯交ぜとなり、心を揺さぶり続ける...。


この先どうなるかはわからないけど、

生きている限りに、行けるところまでいってみよう。

立ち止まらずに歩き続けよう。


ここからが未来へのスタート地点だ...。


......


いつかの風は吹き抜けて、小さな歴史は紡がれる。

私の今は文となり、未来はいつかの風になる。


私は...、文を綴り続ける。


.......


walking into the future、complete!

The introduction is over.


Thank you best regards.

住み慣れた地と習慣の全てに別れを告げ、文乃は懐かしい故郷へと帰っていった...。

不安や期待、喜び、淋しさ。

それら全てを呑み込んで、新しい生活は始まる。

いつかの風に背を押され、

これからも、

新たな未来へと歩み続けてゆく...。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ