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15. ❷ 二日目・うさぎの島とおされカフェ

弟一行が来て二日目。

子供達が行きたがっていたうさぎの島へ、出陣する。

天気快晴、波穏やか、レジャー日和な1日のスタートだ。

弟達が来訪して二日目。


早朝、一行は海辺の小さな港にいる。


寿喜「あの島がうさぎ島か?」


文乃「うん、そう。船で20分くらいで着いたと思うよ。」


ひな「うさぎさんいっぱいおっとよね♪」


文乃「ああ、そうだよ。お野菜もいっぱい持ってきたから、島中のうさぎにご飯あげちゃおう♪」


そうた「僕にもお野菜ちょうだいね」


文乃「大丈夫だよ、みんなの分たっぷりあるからね♪」


朝日がようやく顔を出したという頃、一行は他愛のない話をしながら船を待つ。


文乃「さすがにこの時間は人も少ないね。読み通り!作戦勝ちなり!」


寿喜「普段はどんなん?」


文乃「10時くらいになったらもうすごいよ?大行列だよ、わたしは絶対並びたくないね。」


寿喜「はぁー、そんなんなるのね。お、あれ乗るフェリーかね?」


文乃「たぶんそう。よし、ものども、いざ、討ち入りじゃ〜!」


そうた、ひな「おーー!」


寿喜「(・∀・)q」


波は煌めき、ちみっこどもも、目を輝かせる。

朝日が海を照らし、サンロードを作り出す。

水面をかけてくる風は、冷たいが柔らかく、寒さは感じない。


フェリーの通路側、文乃は柵に体をもたれかけ、缶コーヒーを口に運ぶ。

環境効果だろうか、いつもより美味しく感じる。


この島には、昔一人で来たことがある。

ゆったりと島を探索し、楽しい思い出となった。

その時と違うのは、今回は同伴者がありだ。

なんだろう、楽しみを共有できると思うと心が躍る。

文乃は微笑みながら、はしゃぐ甥姪を眺めつつ、自身も内心はしゃいでいた。


島への期待を高めながら、束の間の海の旅を楽しんだ。


...


〜うさぎ島到着〜


文乃「かなり歩くから、トイレ済ませておいてね。」


一行は荷物準備や整理、トイレを済ませ、準備完了、いざ出発する。


順路と思われる舗装路を歩いていくと、さっそく第一うさぎを発見する、と思いきや、うさぎの方がこちらを視認し、徒党を組んで、めっちゃ駆け寄ってくる!


ひな「うはーっ!自分から寄ってくるよ〜、おりこうさん〜♪」


ひなもそうたも次々に駆け寄ってくるうさぎに夢中だ、寿喜も目を輝かせながら、子供達とうさぎを見やっている。


文乃もその様子を微笑ましく愛でながら、バックパックから野菜を取り出しみんなに配るりつつ、傍らに佇む旧日本軍の廃墟を興味深く観察する。


文乃「ふふーん♪かわゆきものに、歴史ある物、両手に花とはこう言うことですわね♪」


一人では感じ得ることができない、いつもとは違った風味の楽しい気分を、文乃は堪能する。


道中、

次から次へと襲い掛かるうさぎたちをお野菜で懐柔しながら、一行は小高い丘の頂上へと辿り着く。

そこには展望台があり、周辺を見渡せるようになっている。


寿喜「ふぃー、マジでうさぎ無双だな、なんでこんなにいんの?」


文乃「あー、なんでも昔、毒ガスの効果の実験体として持ち込まれたらしいよ。」


寿喜「まじかよ、残酷だな。」


文乃「...ていうのは、たぷんうそ。それは都市伝説みたいなやつで、本当はこの島にあった小学校で、飼育されてたうさぎが逃げ出して繁殖しただけみたいだよ。」


寿喜「まじかよ、パネーな。」


文乃「まあ、今は天敵もいないし、人間がある程度安定した餌くれるから、うさぎの楽園だね。」


寿喜「ふーん。楽園ね。まあ、うさぎに危機感はあんま感じねえよな。」


文乃「次はあの鉄塔に向けて行こうか。」


一行は移動を開始し、道中のうさぎ達と戯れながら、特に景色も無い木立ちの舗装路を歩いていく。


すると、ある程度進んだところで古いブロック組みの石垣が現れる。


文乃「お、遺跡エリア到達かな♪」


文乃は旧軍遺跡が好きで、いろんな場所に赴いている。

広島にはたくさんの遺跡が残っており、ここうさぎ島もその一つであり、メッカともいえる。


寿喜「古い石組みだな、また旧軍遺跡関係?」


文乃「うむ、たしかこの先くらいに、レンガ作りの遺構があったはずだよー♪」


そこから少し歩くと、立派なレンガ作りの遺跡が現れる。

まるで天空の城のような威容は、見るものを圧倒する。

この精巧な芸術品のような建築物が、100年ほどもの昔、機械もまともに発達していない時代に作られたというのだから驚く。


寿喜達家族はうさぎと戯れながら、遺跡と共に写真を撮って楽しんでいる。

その様子を私は写真におさめ、思い出の一コマとして切り取る。


文乃「うん、楽しい♪一人も良いんだけど、やっぱ気心知れた仲間が一緒だと、なんか安心するなぁ。」


文乃「それにしても、綺麗なレンガ作り♪それにこのなんとも見るに古めかしいコンクリート!目の保養になるわぁ」


ひとしきり見学し、視界に入り込んでくる鉄塔へと向かう。そして巨大な鉄塔を間近にし、一同、空を仰ぎ見る。


そうた、ひな「でっけー!www」


文乃「ここの鉄塔は、日本一の高さらしいよ。船とかに接触しないように、安全の為に高くしなきゃならなかったみたい。」


寿喜「それにしても高すぎね?昭和の37年だってよ、よく耐えれるよな、海も近かとに。ぱねぇ」


文乃「ほんと、昔の日本の技術力の賜物やねー。思っている以上に、昔の人達って凄かったんだよねー。」


鉄塔を見上げながら、感慨に耽る。


先人に敬意を表し、歴史に思いを馳せその場を後にし、見通しの良いデッキ通路へと出る。

高台からの景色を楽しみながら通り抜け、海沿いの道へと降りる。


寿喜「わ!なんだこりゃ!」


激しく燃えた後のような、煤に塗れた大きな廃墟施設に寿喜が面食らう。


文乃「ここ、毒ガスの貯蔵庫だったんだって。説明だと火炎放射器で焼き燃やしたみたいだよ。」


寿喜「毒ガスって火で分解できるもんなのか?」


文乃「知らん。えーと...、びらん性ガス?っていうのを作って貯蔵してたんと。」


文乃「...う〜ん、燃やすとやばいガスが出るみたいよ。燃やした人達、だいぶダメージ受けたみたいね。」


寿喜「こっわ。そういう仕事は受けたくなかね。」


文乃「こんな恐ろしいもんを作るって、そんな発想に至るまで追い込まれてたんやね。やっぱ戦争はしたくないねー。」


寿喜「そうだな。あいつらをそんな目には、合わせたくねーよな..。」

そう言い寿喜は、うさぎに野菜をあげながら戯れる、子供達に目をやる。


文乃「...この島のうさぎって、すごく重要な存在なのかも、知れないな。」


寿喜「急にどうしたん?」


文乃「戦争との対比、かな。昔、確かにあった戦争の痕跡と、人に笑顔をくれる、このうさぎ達の平和との対比?」


文乃「私、今日みんなと遊びにこれて、楽しくて幸せだよ。今のこの時間、すごく大事に思えてこない?この戦争と平和の二面性を認識しちゃうと、戦争なんか無くなっちゃえって、すごく思うよ。」


寿喜「ああ、そういうことね。確かにそう思うよ...。」


珍しく感傷的な感じになってる姉に、少し面食らった寿喜は、無難なことしか言えなかった。


気を取り直し、残りの道を進めてゆく。

そろそろ子供達にも疲れが見えてきたようで、ビジターセンターを横に通り過ぎ、そのまま港へと向かうことにした。


そして船を待つ。


文乃「二人とも、今日はどう?楽しめた?」


ひな「うん、うさぎさんいっぱいお野菜食べてくれたよ、かわいかったぁ♡」


そうた「めっちゃいっぱいおったねぇ、びっくりしたよ、きてよかった!」


文乃は満足そうに笑顔で返し、海を見つめる。


水面にはフェリーが浮かび、こちらへと向かっている。


今日この島での思い出は、なんでも無い一つの記憶でしかないが、それでも文乃やみんなにとっては大切な思い出、楽しい記憶として永遠に残っていくだろう。


...などと、文乃は、一人頭の中で脳内テロップを流しながら、近づいてくるフェリーを見つめていた。


乗船、のち、対岸到着。


寿喜「ふぅぅぅ〜、さすがに島一周したら疲るっねぇ。船乗ったらドッと疲れが出たわ。」


文乃「だねぇ。お昼これから行くからね、行きつけのカフェに連れてくよ。」


寿喜「カフェとか行き着けてんの?おされやん♪」


文乃「瀬戸内は、おされなカフェがたくさんあるけね♪」


みんなを車に乗せ、走らせる。


港町を抜け走る。

大きなカーブを曲がると海沿いの道となり、美しい海が広がる。


寿喜、そうた、ひな「おおおー!ここいいじゃぁーん♪」


一同は先ほどとは趣きの違う海の美しさに、感嘆の声をあげながら進んでいく。


このエリアは、通称エデンと呼ばれて親しまれている。

白砂があることで水を透き通らせて、海を青く輝かせる。

同地区の他の場所に比べても格段に美しい。


そして、そんな立地に目的地のカフェはあった。


寿喜「おいおいおいおいおいおいい〜、マジでええやんけ!」


文乃「マジでええんよ♪今時間、丁度いい高さに太陽があるから、時間的にも最高よ♪」


お昼をある程度過ぎた時間帯、快晴の日、黄金の色合いとなる太陽の光は海の波を輝かせ、海上が光の海のようになる。


窓辺の席を取れた一行は、ひと通り注文した後、皆一様に言葉を紡ぐことを忘れて、景色に没頭した。


文乃「うん、これこそ、ここの最高のメニューだね♪」


今日という日を充分に堪能した一同は、それぞれに物思いに耽りながら、カフェメニューを楽しみ、ゆったりとした時間を過ごした...。

程よい疲れと、光の海が作り出す綺麗な景色。

それらが作り出すゆったりとした時間。

皆は午後の穏やかな時間を贅沢に使い、今日の思い出に浸る...。

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