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お茶会に呼ばれているテイヨ・グリント視点です。
俺の名前はテイヨ・グリント。小さいけれど昔からずっとグリント地域を管理しているんだ。グリントって聞いたことない?う〜んそうだな・・・。ほら、今日はお茶会に参加されているドナード様っているだろ?その領とシュテイラー領の境目あたりにあるんだ。
領と領の境目だから物流っていうの?物の流れがとっても盛んでそれを利用して宿屋とか場所っていうか倉庫を貸したりして地域の経済ってやつを潤しているんだ。
ってこの前親父が言ってた。だんだん眠くなってきて半目で頷いていたらげんこつをもらってしまったぜ。イテテ。
でも、頭にげんこつをくらって涙目になっている姿をみてお母様は涙ぐんでるんだ。
「こんなに元気になって、本当に良かったわ」だって
そうだよな・・・。少し前までの俺はベッドから出ることもできなかったんだもんな。
こう見えて俺は昔からとても体が弱かったんだ。
色んな医者や薬師に見てもらったけど原因が分からないって言われ続けたんだ。
だから、そんなに長く生きることはできないだろうって・・・。
それは、俺自身も感じることがあった。体が本当に重くて、腕を上げる事すらしんどくて最後の方では体を動かしたいって思う気力すら無くなったんだ。
そんな時に、親父がシュテイラー領の聖女様の話を取引先の商人から聞いてきたらしい。
どうやら、癒しの魔法で体の不調を治してくれるって有名だったんだ。
有名って言っても領を跨ぐほどではなかったから商人からこの話を聞けたのは本当に偶然だったみたい。
その商人が怪我をして困っている時に、教会でそのような活動をしているって噂を聞いてとりあえず行ってみるか〜というぐらいの気持ちだったって親父も教えてもらったぐらいだ。
んで、その商人の怪我ぐらいだったら簡単に治せたらしい。
感動した商人は教会に寄付をすると、すごく感謝されて『貴族枠』の話をこっそり教えてくれたって言ってた。
さすがに、商人は貴族じゃないからその枠を使用することはできないけど(でも、領民の時間帯に行けば治してくれるって)もし誰か困っている貴族がいればこの話をしてみるといいって言われたんだって。
で、俺にその話が回ってきたわけ。親父はすごく悩んだらしい。
領の境目に住んでいるって言ってもシュテイラーの領都はやっぱり距離があるから体力がもつか自信がなかったんだって。
最終的には、このままここで儚くなるぐらいだったら行ってしまえ!の精神で領都に仮住まいの小さな家を借りてそこへ移動したんだ。
この時の俺はもう意識が朦朧としていてハッキリ覚えていない。
初めての旅だったのにな!チキショウ。
無事にシュテイラーの領都に着いたのは良かったんだけど、今度はそのシュテイラーの教会の『貴族枠』ってヤツに問題が発生したんだって。
だから、少しだけお待ちくださいって教会の偉い人に頭を下げられたって親父が焦ってたな。
しばらくすると、それも落ち着いてすぐに聖女様に見てもらうことができたんだ。
で!で!何が凄かったって言うと、本当は俺が教会に行かなきゃ駄目なのに聖女様がわざわざ俺の仮住まいに足を運んでくれたんだ。
さすがに、親父も俺も使用人達も驚いたよな!
俺も聖女様に挨拶をしようと体を起こそうとした、両肩をそっと押さえると
「体を動かしてはいけないことは、貴方が一番理解しているはずでしょう」
と静かに怒られたんだよな。
そして、聖女様がそっと頭に手を乗せると温かい何かが体中を巡ったんだ。
一瞬だけ体が軽くなったのを覚えている。
でも、聖女様は厳しい表情のまま俺を見た後、親父と別の部屋に行ったんだ。
ああ、やっぱり聖女様でも俺の体は治せないんだな・・・。
希望を持ってきたから、気持ちの落ち込み方が半端なかった。
それから少しだけ泣いたんだ。男だけど仕方ないだろ!
引き続きもう一話投稿します。
最後までお読みいただきありがとうございました。




