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「なんで僕がここにいるんだよ!・・・です」
いつもより小奇麗な服を着たデールが周囲をキョロキョロしながらエメリアに訴えた。
「こらっ!お嬢様に対してそのような口の聞き方があるか!」
「礼儀知らずで申し訳ございません」
リックがデールの頭を片手で押さえて頭を下げさせた。
もちろん父親のリックも同じタイミングで頭をさげる。
「大丈夫ですよ。・・・急でしたものね。準備が大変だったでしょ?」
今回のお茶会のメンバーになぜかデールも含まれていた。
きっとライラが気を利かせてくれたのだろう。
リックは首を横に振りながら
「今回の息子のお茶会の準備は全てライラ様に用意してもらっています。こちらは本当になにもしていないです」
とかしこまりながら答えた。
「だったら良かったです!私は今回デールがお茶会に来てくれて本当に嬉しいですよ!」
エメリアはニコリと笑うとデールは頬を少し赤くして
「エメリアお嬢様がせっかく呼んでくれたしね・・・。」
とぼそっと呟いた。
リックは呆れながら、付け焼刃でももう少し礼儀を学ばせれば良かったとぼやいていると
「彼がエメリアのお友達のデール君ね?」
とそこに楽しそうに声を掛けてきたのはエメリアの母親のアマリアだった。
「という事はあなたがリックさんか?」
アマリアの隣に立っていたルードルフも声を掛けた。
デールとリックは領主夫妻に会うとは思っていなかったので驚きながら
再び頭を下げる。
「オーロム地区で診療所を営んでいます。リックとその息子のデールが領主夫妻にご挨拶を申し上げます」
頭を下げたままリックが挨拶をする。
「リックの息子デールです。今日はエメリアお嬢様のお茶会に参加させていただきます!」
デールは昨日の夜猛特訓した挨拶をきちんと言えたことに安心した。
「まあまあ、きちんとご挨拶できてすばらしいわね」
「頭を上げてください。ようこそいらした。私はシュテイラー領主のルードルフ・シュテイラーだ。そして彼女が」
「エメリアの母アマリア・シュテイラーですわ。今日は緊張するかもしれないけどお茶会を楽しんでね」
エメリアの両親はにこやかにデール親子に挨拶をした。
そして、リックを見たルードルフは少し考えた後
「リック殿はこの後少し時間はあるかな?」
「はい、今日はライラ様より診療所には臨時で人を呼んでいただいているので大丈夫です」
「そうか、では私の執務室でお茶でもどうかな?」
「はい、よろこんで!」
二人の会話を聞いたアマリアは
「では、私はお茶の準備をするように伝えてくるわ。誰かデール君をお茶会の会場に案内してあげて」
そう言うと、近くにいた使用人が「かしこまりました」と言いながらデールをお茶会の会場に連れていった。
「エメリアも、準備が整い次第早く会場に向かいなさい。あっ、テオ君が応接室で待機しているわよ。あまり紳士を待たせるのもよくないわよ」
とエメリアに向かってアマリアはウインクをした後フフフと笑いながらその場を去った。
いつもよりテンションが高い母親を見て固まっているエメリアを後方から見ていたライラが
「お嬢様、すみませんがもう少しお召し物を整えたいので一度お部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」
「えっ、うん。はい。そうね。じゃあ部屋に戻ろう」
エメリアが部屋に戻るとライラは喜々としながらエメリアを着飾った。
さすがにライラ一人で支度をしていると時間が間に合わないらしく珍しくライラの母親のアグネスも参戦していた。
「ライラ、ここはこの色でいいの?」
「はい、お母様。テオバルト様の色になっていますので少しだけ強調させてください」
「・・・フフフ。分かったわ」
アグネスがライラの仕事を見るのが久しぶりだったらしく随分しっかりとした自分の娘を眩しそうに眺めながら作業をしていた。
二人の関係をみているとエメリアまでも心が温かくなっていくような気がした。
しばらくそんな二人を眺めているとどうやら準備が整ったみたいだった。
満足のいく仕上がりだったらしく腕を組みながらライラが満足そうに頷いていた。
「フンス」と聞こえそうだったのでエメリアは可笑しくなって笑みを零した。
「エメリアお嬢様、何か不快なところがございましたか?」
エメリアの表情に不安になったライラが声をかけてきた。
「いいえ。ライラの嬉しそうな表情に私までつられただけよ。さっ、テオ様をいつまでも待たせてはいけないわ。早く行きましょう!」
とエメリアが立ち上がるとちょうどそのタイミングでノックが聞こえた。
ライラはしばらくお待ちくださいとエメリアに言うとそのままドアに近づいた。
そして、何度か頷いた後ドアを開くと
「エメリア様、テオバルト様がいらっしゃいました」
エメリアがライラの方を向くとそこにはいつもよりは少し正装のテオバルトが立っていた。
もちろんテオバルトの後ろにはタカーギも控えている。
テオバルトはエメリアを見るとニコリと笑う。
「今日は、お茶会に呼んでくれてありがとう。そしてとってもかわいいよ」
「こちらこそ、お茶会に参加していただいてありがとうございます!テオ様もとっても素敵ですよ」
二人ともお互いの言葉をもう一度思い出すと顔を真っ赤にした。
そんな二人をライラ・アグネス・タカーギは温かい視線で見守っていた。
テオバルトはすぐにエメリアに近づき手を差し伸べると
「さて、お互い照れている時間も恥ずかしくなってくるのでそろそろ会場に向かいましょうか?お姫様」
「そうですね。私も皆に会いたいですしエスコートをよろしくお願いします。テオ様」
エメリアはテオバルトの手を取ってそのままお茶会の会場へ向かった。
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