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引き続き続き、ローザの母イーリス回です。
両親と話し合った結果イーリスは学園を卒業した後、婿を迎えてマクナメン領主になる事に決定した。
それをマクナメン領を管理しているトゥーナ侯爵に両親が報告に行ってくれた。
報告から数日後、イーリスは両親に呼ばれ父の執務室を訪れた。
いつもにこやかな父親が険しい表情で一通の手紙を睨んでいた。
イーリスは領のどこかで事故でも起こったのかと心配したが、その手紙の内容はもっと残酷なものだった。
「イーリス、君に婚約の話が来たよ。残念ながら私達では止めることができなかった。トゥーナ候も必死に反発してくださったらしいが、もっと上位貴族の方で話の折り合いがついたそうだ。」
「お父様、お相手はどなたですか?」
既に執務室のソファーに座り出されたお茶を一口飲んだ後、イーリスは尋ねた。
「・・・。シュテイラー候のご次男のイザーク・シュテイラー様だ」
「シュテイラー候ってご長男はアマリアの婚約者のルードルフ様の?」
「ああ、そうだ。お相手がどうしてもイーリスが良いとおっしゃっているらしい」
イーリスは持っていたティーカップを見るとそこには無表情の自分が映っていた。
「お父様、分かりました。この婚約を受け入れます。しかし、このマクナメン領はどうなさるのですか?」
イーリスの言葉に父親は小さく溜息をつくと
「イーリスに二人目の子どもが出来た時にその子がここを継ぐことになる契約だ」
「そうなりますよね」
「私達がもう一人子どもを作ることができれば良かったのだが・・・」
父親が表情を歪ませながら話した。
「いいえ、お母様は昔からお体があまり強くありません。仕方が無いですよ」
そうよ、私が頑張ればマクナメン領はこのまま維持することができるわ。
そして、シュテイラー領と一緒に盛り上げていければいいのよね。
「さて、せっかくイーリスの祝福すべき婚約なのだから、暗い話はここまでにしよう!既に、イザーク様からは君に会いたいとの連絡がきているんだ。これからマクナメンは忙しくなりそうだな」
父親はは、自分を奮い立たせるように両手で腿をポンと叩いた後立ち上がり
「この話は以上だ、イザーク様との面談は二日後で彼がこちらに来てくださる。イーリスも色々と準備をしておくように」
「はい、分かりました。お父様」
イーリスは既に飲み終えたティーカップを机に置き答えた。
二日後、イザークがマクナメンを訪れた。
応接室で待機してもらっているイザークと父親に合流するためにイーリスはその部屋に向かい到着すると、専属の侍女に入室の許可をかけてもらった。
「入りなさい」
父親の言葉と同時に侍女にドアを開けてもらい、父の隣に近づいた。
「こんにちは」
婚約者になるであろう相手の胸元に視線をよせていたので彼の表情を見ることはなかった。
「イーリス、ご挨拶をしなさい」
父親に促されたイーリスは
「マクナメン家第一子のイーリス・マクナメンです。今日は用こそお越しくださいました」
といいながらカーテシーをした。
「私は、シュテイラー家第二子のイザーク・シュテイラーです。今日はイーリス嬢に会えてとてもうれしいです」
イザークの声はとても優しかった。
「もしよろしければもう少しお顔を上げてもらえませんか?」
イザークのお願いに、イーリスは素直に答え表をあげた。
そこには、ルードルフを少し優しい雰囲気にしたイザークが嬉しそうに佇んでいた。
「ああ、やっとこちらを見てくれたね」
イザークは嬉しそうにイーリスに話しかけるとイーリスの隣で父親が声をかける。
「それでは、私は一度部屋を出ますので。イザーク様とゆっくりお話しするように」
と居心地が悪そうな表情をしたイーリスの父親はすぐに部屋を出ていった。
次回で本当にイーリス回は終了です。
最後までお読みいただきありがとうございました。




