表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見習い女神、ただ今職場体験実施中  作者: 鈴木 澪人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/22

18

ローザの母イーリス回です。

 ローザの母イーリスは、ローザの侍女からエメリアの初めての活動の報告を聞いた。

侍女の前では平然と振る舞っていたが心の中では苛立たせていた。


報告をし終えた侍女が「失礼します」と言いながら部屋を退出した後、専属の侍女が素早くお茶の用意をした。


それを一口飲むと、重いため息をついた。

紅茶に映る自分の表情に年齢が重なり、かつて社交界で呼ばれていた薔薇姫の面影は消えつつあった。


 イーリス・シュテイラーとエメリアの母親のアマリア・シュテイラーは元々は同じ子爵家の出身で幼馴染の関係だった。

おっとりとした性格のアマリアを勝気なイーリスが手をひいて連れているというのが周囲の持っているイメージだった。


 どちらかというとお転婆だったイーリスは男勝りだと言われ、アマリアにちょっかいをかけてくる男子達を払いのけていた。


そんなイーリスにも憧れている人が学園の先輩で同じ乗馬倶楽部のルードルフだった。

勝気なイーリスもルードルフの前では少し萎れてしまう。

普段の姿を見ているアマリアはそれが面白くて時々イーリスを揶揄っていた。


 しかし、甘い恋心を患うことができる期間は貴族令嬢にはあって無いものだった。

クラスメイト達も例外ではなく婚約者が決まっていった。もう少し高位の貴族達は幼少の時に決まっている場合が多いが、イーリスとアマリアは子爵だった為そこまで急いで婚約者を決める必要はなかった。


 そんなある日、アマリアが難しい表情をしながらイーリスに話しかける。


「イーリス、私、婚約者が決まったみたいなの」


普段はおっとりしているアマリアが珍しくフワフワとした雰囲気を出さずにイーリスに報告した。


「えっ?良かったじゃない!! どうして、そんなに浮かない表情をしているのよ?さては、私より先にお相手ができたからって遠慮しているの?そんなの気にしなくてもいいのよ!結婚しても私達は友達でしょ!」


イーリスは友達の慶次を心から祝福した。


「実は、そのお相手が・・・」


「アマリア嬢!!」


アマリアに向かって走ってきたその男性は


「シュテイラー様・・・」


イーリスが心に思っていたルードルフ・シュテイラーだった。

アマリアの隣にいたイーリスをルードフルが確認すると


「ああ、マクナメン嬢(イーリス)もいたのかい?そういえば二人はとても仲がいいと言われているんだったな」


ルードルフはアマリアを見つめながら嬉しそうに話しかけていた。

乗馬倶楽部では妹のように可愛がってくれていた時のルードフルの表情ではないことにイーリスはショックを隠せなかった。


「ごめんなさい、私ちょっと教室に忘れ物があったの。アマリア、先に馬車で帰ってくれる?」


動揺しているアマリアの表情を確認することができずそのまま二人に背をむけ歩き出すと


「ちょうど良かった、私がアマリア嬢を送ってあげよう」


ルードルフの言葉に惑っているアマリアの声を聞き流しながらそのまま走って教室までいった。

息を切らしながら無人の教室に入ると、イーリスの瞳から涙が溢れ出した。

こんなみっともないところを他の生徒に見せるわけにはいかない。そう心の中で理解はしているが、悲しくて、悲しくて感情を制御することができなかった。


 しばらく涙を流した後、一応本当に忘れ物がないか確認をした。

それから、そのまま屋敷に戻る気にもなれず中庭を彷徨うように歩いていた。


 せっかくだから愛馬にでも会いに行こうかなと考えていると一本の木を下から眺めオロオロとしている男子学生がいた。タイの色を確認すると上の学年らしいが、ルードルフよりは下の学年だった。


「いけないわ。これから少しずつあの人を忘れていかないといけないのに」


なんとなくルードルフに雰囲気が似ている男子学生を見ながらイーリスは思わず独り言を呟きながらそのオロオロしている男子生徒の後ろを通りかかった。


「どうしよう。今日中に提出しなければいけないのに」


その男子生徒がブツブツ呟いていたのでその視線を追うと、木の上に一枚の用紙が引っ掛かっていた。


「どうして急に風なんか吹くんだよぉ〜」


あまりに情けない姿にイーリスは苛立ちを感じながらその木の近くに行った。

手前に小さな枝があるのでそこに足を掛ければ届くかなとイーリスは自分が登るイメージをそのまま実行する。


「うわっ、君!危ないよ!」


声まで情けないのね。とイーリスは思いながらトントンっと木に登り目当てのプリントを取るとそのまま木から飛び降りて綺麗に着地した。


「はい、これですよね。先輩?それでは失礼します」


イーリスはプリントをその男子生徒に渡した後、思い出したようにカーテシーをした。

そして男子生徒の話も聞かずにそのままその場を立ち去った。

早く愛馬に慰めてもらおうと思ったからだ。



イーリスの颯爽と移動する姿をみながら

「何て素敵な女性なんだ・・・」 

男子生徒の呟きはイーリスには届かなかった。


次もイーリス回です。


最後までお読みいただきありがとうございました。


パソコン治したぜ!やったぜ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ