エピソード1 どうしてこうなった。
「あのね…。違うんだよ…。こうじゃないんだよ…」
と、私は星に訴える。
訳がわからないと思う。なぜ星なんだ?と思う人もいると思う。でも、安心してほしい。私もよく分からない。
だって目の前にいるマスコットキャラみたいな星がハムボな上に、こんなことを言ったのだ。
「ご要望どおり転生先はcreate wordのニヒルにしといたよ。」と。
簡単に説明するとcreate wordは私がハマっているオンラインのゲームで、ニヒルとは私の好みをすべて詰めた操作キャラである。
そう。つまり私は推しに転生することになったのだ。
いや、つまりって何?!え?混乱した私は星の肩…らへんをガシっと掴んで揺さぶる。
「普通違うじゃん!推しの彼女になれるポジションとかさぁ、そういうとこじゃん?!なんで本人なんだよ!!」
しかし星はキョトンとしながらこう話す。
「だって君…」
推しと同じ生活がしたいって言ったじゃん?
ー遡ること少し前ー
「やっば日付変わってるじゃん」
ゲームに集中しすぎて日付が変わってたことに気づかなかった私は慌ててゲームを閉じ、ヘッドフォンを外す。
「はぁ。明日…じゃない…。今日仕事なのに…。」
早く寝ないとな。と思いベットにダイブする。
今は午前5時。あと2時間には起きて、3時間後は出社。
そう考えると嫌になってくる。いっそゲームの世界に入れりたい…。そう思ったらいつの間にか口から漏れていた。
「アニメとか小説みたいに推しと一緒に生活ができたらいいのに。」と。
そう言って私は眠りについた。
で、今に至る。
「僕、流れ星の仕事忘れててみんな先に行っちゃったから遅れて流れ星の仕事したら君の願いが一番強く聞こえて、叶えに来たんだよ〜。」
と言い、陽気な星は光りながら1回転する。
流れ星って仕事の一種だったんだ…。ってそこじゃない!!
現実逃避しに行った頭を現実に引き戻し
「推しと一緒に生活したいって、推しになりたいんじゃなくて、推しと結婚したいって意味!」
と。訂正すると星は目を物理的に丸くし水色になって震え出した。まるでガーンという効果音がついた漫画キャラのように。
ちょっと心配になった私は声をかける
「あのー…星さーん?」
しかし星は私の声を無視し(物理的に)青くなったまま後ろを向き無言で壁にあったスイッチを押した。
その瞬間毎日みてるモニターに映るゲームの世界が広がっていた。つまり奴(星野郎)は都合が悪くなったから転生ボタン的なやつを押しやがったのだ。
そして私はわけもわからないまま転生するはめになったのであった。