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異世界で俺はスライム、嫁はネコ ~転生しても妊活します~  作者: 明桜ちけ
第一部 転生して初めての子を産む話
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第九話 一緒に魔素だまり

「ミュッ! 魔素だまりがあるミュ~」


 しばらく抱きかかえられて進んでいたら、上から声をかけられた。進行方向を見ると、赤い魔素だまりがあった。


⦅どうする? スズネが入るか?⦆

「みゅぁ~……」


 何か悩んでいるのか、難しそうな顔をしている。

 現状は剣の性能でスズネの方が強いので、俺が入って進化してしまうというのもある。もしくはこれだけ頻繁に魔素だまりがあるなら、進化ポイントを貯めるためにスズネが入るのもありだな。

 でも、スズネが考えていたのはそういうことではなかった。

 

「これって、一緒に入ったらどうなるミュ?」

⦅さぁ? 前に一緒に入ろうとしたときは、ちょっとの差で俺がポイント貰っちゃったからな⦆


 そもそも魔素だまりって、複数体で入ることは可能なのか? 正直、触れただけで効果が発動してる気がするんだが。

 変わった事やって、片方が消滅とかしたら怖い。スズネが居なくなったら、俺死んじゃう……。

 

「一緒に入ってみるミュ!」

⦅どうやって一緒に――ぐぁっ⦆


 スズネが俺を力強く抱きしめ――というか、締め上げた。スライムの体は上下に伸び、両端ははち切れんばかりに膨らんでいる。

 正直、身体がちぎれそう。


⦅ぐ……ぐるしぃ……⦆

「行くミュッ!!」

⦅うあぁぁぁっ!?⦆


 その状態でスズネは走りだし、魔素の中に飛び込んだ。

 苦しさと振動で、意識が飛びそうだよ……酷い乗り物酔いみたいになってる……。


《個体名 スズネ と 魔素を共有しました》


 魔素を共有? 初めて聞くワードだな。

 俺たちは赤い霧の中に立っていた。以前のように、急速に魔素が吸収される様子はない。

 とりあえず苦しいので、俺はスズネの腕からすり抜けて地面に降りた。はぁ……生き返るぅ……。


《個体名 スズネ と スキルポイント を 分配しますか?》

《個体名 スズネ と 進化ポイント を 分配しますか?》

《個体名 スズネ と 魔素交配しますか?》


 天の声が、続々と聞こえてくる。

 一緒に入ったことで、魔素を分配できるのか。割合も好きに選べるみたいだな。

 それに新しい単語も出て来たぞ。


「魔素交配ミュ?」

⦅お、スズネも気になったか?⦆


 単体で魔素に入ったときは、出てこなかったワードだ。それに交配ということは、お互いの能力が影響するのだろう。

 お互いのスキルや能力をかけあわせるとか、そういうことかな?


《魔素交配

 魔素 を 媒体に 子を作ること》


 今回は説明詳しいじゃん。天の声さん、ありがとう。

 なるほどね、魔素を通して子どもを――子ども!?


「妊娠出来るってことミュ!?」

⦅いやいやいやいやいや!?⦆


 すごい勢いで食いついてるけど、俺たちスライムと猫型モンスターよ?

 異種族交配って、そんな簡単なことなのか?


「妊娠するミュ!!」

⦅待って――!!⦆

 

《個体名 スズネ が 

 幼体のため 魔素交配できません》


 お……おう。それはよかった……。

 頭上から響く天の声に、ほっと胸をなでおろす。


⦅スズネ……こんなどこかもわからない洞窟の中で妊娠とか、危険すぎるだろ⦆

「ミュァァ……ご…ごめんミュ……」


 しょんぼりとしながら、スズネは謝った。猫の耳や尻尾があるせいで、落ち込んでいるのが一際よくわかる。

 そんな姿をされると、胸が痛い。

 子どもが欲しいというのは、俺たち夫婦の長年の夢だったからだ。


⦅ここは、スキルポイントと進化ポイントをもらって終わろう。それぞれ半分ずつでいいか?⦆

「……ミュ……いいミュ……」


《スキルポイント を 分配します》

《進化ポイント を 分配します》


 天の声と共に、赤い光が俺とスズネの中に入っていく。ポイントが……しっかり加算されてるな。

 さて、と。次は……


⦅その……大丈夫か?⦆

「ミュ……大丈夫ミュ……」

⦅そのうち、できるようになるさ……その……子ども⦆

「ミュ……大人になったら、できるミュ」

⦅そうそう、気楽にいこうぜ⦆

 

 なんとかスズネが元気を出してくれた。まだちょっと泣くのを我慢してる声だけど、もう大丈夫そうだな。


⦅あと、こういうのはちゃんと相談してくれよな。すごく大事なことなんだぞ!⦆

「ご、ごめんミュッ」


 今度はちゃんと反省してるゴメンだな。

 耳や尻尾がピンと立ってるのが、なんか可愛い。


「ミュ……」


 一通り話が終わると、またスズネが俺を抱き上げた。そのままギュッと、スライムボディに顔をうずめてくる。


⦅なんだよ?⦆

「……好きミュ……」

⦅……俺も⦆


 て、照れるな。誰も見てないけど。

 しっかりしてる割には、こういう甘えん坊なところがあってスズネ大好き。

 これから、冒険も子作りもがんばろうな!


「ミュアァッ!?」

⦅また地震か!?⦆


 ラブラブしてたら、また地面が揺れ始めた。今回の地震、結構大きいぞ!

 俺たちはその場にしゃがみ込み、揺れが収まるのを待つ。すると通路の奥から強い風が吹き込み、低い呻き声が響いてきた。

 この揺れ、もしかして――地震じゃない……!?


本日、夜にもう一話更新する予定です。

よろしくお願いいたします!


■■■■


ヒロアキ

⦅新しく、光のブレスを覚えたぜ! ここはアンデッドが多いからな⦆


スズネ

「おおーっミュ!」


ヒロアキ

⦅試しに吹いてみるから、見てくれよ! いくぞっ⦆


スズネ

「……ミュ、ミュウ……」


ヒロアキ

⦅なっなっ? どうだ? カッコイイ!?⦆


スズネ

「ミュ……最近のテレビ演出の影響で、ゲロぶちまけてるみたいに見えるミュ……」


ヒロアキ

⦅な、なんだってー!?⦆



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