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異世界で俺はスライム、嫁はネコ ~転生しても妊活します~  作者: 明桜ちけ
第一部 転生して初めての子を産む話
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第七話 擬態と念話

「ヒロ……アキ…………ヒロアキ!!」


 まさか再び前世の名前を呼ばれるなんて……。

 それにスズネは、寿々音……本当に寿々音なのか!?


「私、だよ。スズネ……カワヅ、スズネ!」


 本当に……本当に本当に本当に寿々音なんだ!

 俺は思わずケモ少女に飛びついた。

 最初から、ずっと一緒だったなんて。全然気が付かなかったよ。

 それにしても、なんで俺のことがわかったんだろう? そもそも口が無いから、話すこともできないのに……。


「あのね、ヒロアキ。実は――」


 嬉しそうな、少し照れた顔でスズネは言った。


「ヒロアキが考えてること、念話で全部聞こえてたミュッ!」


 ……………………ぇ?


「転生した直後に寂しくて、出会った猫に私の名前を付けたのも」


 ……………………


「魔物と戦うときに、守ってくれようとしたのも」


 ……………………


「私とじゃれて甘えられるように、ポイズンスライムの進化を避けたのも」


 ……………………


「鳥の魔物と戦ったあと、前世で鎌倉に行ったときのこと思い出して泣いちゃったのも」


 ……………………


「全部、聞こえてたミュッ!」


 ……………………


「ヒロアキ?」


 うわあああぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!?!?!?

 そ、そ、そんな恥ずかしいことになってたの!?

 念話スキルなんて全然知らなかったよ!?


《ユニークスキル 念話

 常時効果発動》


 そういうことはもっと早く教えてよ、天の声さん!!

 はぁ……もうだめ……心臓無いのに鼓動がバクバクしてる感覚で、倒れそうだ……。


「そんなに恥ずかしがることないミュ。妻のことが大好きって妻に伝えてただけのことミュ。もっと堂々とするミュッ!」


 そ、そうなの? そう、かなぁ?

 俺達夫婦だし好きってもう何百回も伝えてるし隠すようなこともないんだけどそれはそれとして恥ずかしいものは恥ずかしいし好きって言うのにもそれなりに心の準備がいるというか確かに毎日好きって言ってたけどっていうか今のこの考えてる事もスズネにはダダ漏れってことなのか?

 ……とりあえず、念話でちゃんと会話出来るようにしたい。せっかくスズネに再会できたんだし。あと俺の精神がもたない……。


⦅――と、いうことで。どうだろう? 思考が漏れてるんじゃなくて、ちゃんと会話できてる?⦆

「うん、大丈夫ミュッ!」


 念話のスキルを自覚して、こちらの意志を会話のように調整する。練習しているうちに、気持ちもようやく落ち着いてきた。


⦅急に人型になったのは、進化なのか?⦆

「ううん、これは擬態のスキルだミュ。本当の姿は、猫――ミューアのままミュ」


 そういうと、猫の姿に戻ってミュアっと鳴いてみせる。結構、簡単に変化するんだな。


⦅どうして今になって、擬態のスキルを覚えたんだ? その……もっと早く覚えて、話しかけてくれてもよかったじゃないか……⦆


 正直、すごく心細かったんだからな。一緒にいるなら、もっと早く教えて欲しかったよ。


「ごめんミュ。擬態のスキルを覚えられるポイントが貯まったときには、すっかりスライムと猫の関係に落ち着いてたミュ。普通に意思疎通してたし、話しかけるタイミングを逃してたミュ」


 再び擬態して、スズネが答える。まぁ、確かに俺たち通じあってたよな。俺の意思がダダ漏れだっただけだけど。


「あと黄泉送りのとき、この女性がお願いごとしてたミュ」

⦅願いごと? 俺には聞こえなかったよ⦆

「そうミュ? 私にだけ、聞こえたミュ?」


 女性だった剣――竜姫の剣を、スズネは手にした。


「……恋人を救って欲しい……家族に会って謝りたい……そう、願ってるミュ……」


 悲しそうな目で、剣を見つめているスズネ。そんなにはっきり、あの女性の意思が感じ取れたのか。

 スズネは俺よりも魔力が高いし、魔法の感度が良かったのかな。


⦅恋人は、祭壇の前に一緒にいた人のことだよな。それに家族か……これは探すのが大変そうだ⦆

「うん……でも、叶えてあげたいミュ……。だから、剣が持てるように擬態スキルを上げたミュ」

⦅そうだったのか⦆


 あんな最期を迎えた上に、無念や後悔を抱えていた。それもずっと一人きりで……。

 それに、こうしてスズネと話すきっかけになったのも何かの縁だ。

 恋人や家族を探して、彼女を会わせに行こう!


⦅それじゃ、早くここから外に出ないとな⦆

「ミュアッ!」


 彼女の笑顔の返事に、気持ちが穏やかになる。

 それにしても、転生しても同じ世界で出会えるなんて。こんなこと言うの恥ずかしいけど……本当に嬉しい。

 スズネと一緒なら、きっとどんなことだって乗り越えられる……。


「そんなに一緒にいたいなんて照れるミュア〜。ヒロアキは、私がいないと本当に駄目ミュ〜」

⦅……ね、念話で必要なことだけ伝わってるんだよな?⦆

「だーいじょーぶミュ〜」


 ……本当に?

本日、夜にもう一話更新します。

よろしくお願いします!


■■■■


ヒロアキ

⦅うぅ……今までの脳内の言葉が全部漏れてたなんて……⦆


スズネ

「スライムって涙が出るんだな……ミュ」


ヒロアキ

⦅グッ……⦆


スズネ

「生まれ変わっても一緒になれるなんて、自惚れ過ぎか……ミュ」


ヒロアキ

⦅は、恥ずかしい……あれ、でも地震のとき、スズネが落ち着きなかったのって……⦆


スズネ

「余計なこと気づかなくていいミュ」


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