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異世界で俺はスライム、嫁はネコ ~転生しても妊活します~  作者: 明桜ちけ
第一部 転生して初めての子を産む話
18/42

第十八話 人間の町

⦅あれが町かぁ~⦆

「おおーっ!」


 魔獣の谷を抜けて、三日ほど。ようやく町が見えてきた。確か、ハポーンって名前の町。

 想像していたほど大きなものではなくて、大き目のショッピングモールぐらいの広さかな?


「そろそろ、例の擬態になったほうが良いかもしれません」

⦅ああ、わかった⦆


 俺はプラムさんに促されて、スズネの頭に乗った。そしてそのまま、フード付きのマントに擬態する。

 こうすれば俺は擬態しても不自然じゃなく、スズネは猫耳が隠せる。準亜人のスズネは、念のため耳や尻尾を隠した方がいいという話になったのだ。


⦅スズネ、大丈夫? 重くないか?⦆

「うん! 普通のコートと変わらないよ」


 スズネは嬉しそうに、クルクルっと回ってみせる。擬態すると、重さも擬態した物質になるのか。マントの裾がヒラヒラと広がっていく。


⦅おい、マントが広がって尻尾が見えてるぞ。気をつけろよな⦆

「あ、ごめんごめん」

「ふふ。さぁ、行きましょうか」


 実際に町に到着したのは、昼過ぎくらいだった。人がたくさん行き交って、そこらじゅうで美味しそうな香りがする。

 町に入るときはすごく緊張したけど、すぐそれも薄れた。


「お、魔獣狩りじゃないか! 戻ってたのか」

「ああ、プラムちゃん! あとでうちにも寄ってっておくれよ!」


 とにかくプラムさんが目立つ!

 外だと少し離れた場所で行動してるキヨさんとケルシーが、それぞれプラムさんの肩とソル君の背中に乗っている。

 見た目のインパクトだけでもすごいのに、魔獣狩りって何? プラムさんって、そんなに強いことでも有名なの!?

 意外だ……見た目は普通に可愛い女子高生ぐらいなのに。


⦅人気者なんだな、プラムさん⦆

「よく来るので、馴染みの人が多いんです。皆さん、良くしてくれるんですよ」

「そうなんだ」


 それにしても、色んな人がプラムさんに話しかけていくなぁ。それにソル君やケルシーも、子どもたちが寄ってきて撫でまくっている。

 プラムさんも俺たちと話すときと違って、口調が堅苦しくない。

 なんかこう、知り合いの田舎に行ったときの感覚だ。初めて町にはいるのに、プラムさんと一緒で本当に良かったな。


「もうお昼ですし、まずは食事にしましょう。私の知り合いの店で、良いですか?」

⦅ああ、もちろんだよ⦆

「うん!」


 案内された店は、日当たりの良い場所にあった。入口にはたくさんの鉢植えが所狭しと置いてあり、花が咲き乱れている。

 まるで田園風景の水彩画のような店だ。


「ドナさん、こんにちは!」

「おや、プラムじゃないか。いつもの席、空いてるよ」

「ありがとう! スズネさん、こっちです」


 店の扉を開けて店員さんとあいさつすると、プラムさんは外から店の裏手に移動した。そこにはテラス席があって、ソル君たちがそれぞれ好きな場所に移動する。

 なるほど。魔物を連れていても、気軽に入れるお店って事か。


「珍しいね、プラムにツレがいるなんて」

「初めまして、スズネと申します」

「ふぅん、可愛い子だね」


 テラス席の扉から、貫禄のある女性が出てきた。

 この人がドナさんか。まるで母親みたいな感じで、プラムさんやスズネに接している。


「それで、何にするね?」

「ソルたちは、いつものでお願い。私たちは……」


 プラムさんはこちらを見て、少し考え込む。

 そしてかなりオーバーな動きで、注文する。


「ありったけの料理をお願い! パイとかタルトが多いと、嬉しいな」

「そんなに食べるのかい? あい、わかったよ」


 オーダーを聞くと、ドナさんはお店の中に戻っていった。

 その背中を見送りながら、プラムさんが俺たちに耳打ちする。


「食べきれない分は、ヒロアキさんに保管してもらいましょう。そうしたら、町の外でも食べられますし」

「! うん!」

⦅気をつかってくれて、ありがとう⦆


 それにしても、穏やかだな。テラス席は裏庭のようになっていて、町の中にいるとは思えない雰囲気。

 だからこそ、プラムさんはここがお気に入りなのかもな。ソル君たちも、気ままに寝そべったり飛び回ったりしている。


「食事を終えたら、買い物に行きましょう。必要な物、色々ありますよね」

「うん! 鍋とか包丁とか、料理道具欲しいな」


 そういえば、ここに来るまではプラムさんに借りて料理とかしてたっけ。

 この先、いつ町に入れるかわからない。必要そうなものは、ちょっと無理してでも買っておいた方がよさそうだ。


「はい、おまちどうさま」

「待ってました!」

「うわぁ! 美味しそう!!」


 ガラガラとワゴンを引いて、ドナさんが料理を運んできた。

 本当にスゴイ量の料理を、作ってくれたんだな。パイにタルト、肉料理に……シチューみたいなスープは鍋ごと運ばれている。

 プラムさんは、ワゴンの料理をどんどんテーブルに移していく。スズネもそれを手伝う。

 ドナさんはソル君たちにごはんをあげて、少し撫でて回ってるみたいだ。料理を並べ終わったスズネたちは、食事を始める。


「美味しい! 私、このパイ好き!! あ、これあなたが好きそうな味――」

「ん? 他にも誰かいるのかい?」

「あ……あれもこれも好きな味です!!」

「ドナさんの料理は、なんだって美味しいんですよ」

⦅無理のある言い訳だな……⦆


 ちょっとうっかりが過ぎるんじゃないの? と、思いつつもマントの中に放り投げられた肉を食べる。

 うん、美味しい。

 やっぱりちゃんとした料理を食べるって大事なことだなぁ。精神が癒される。

 そうこうしているうちに、ソル君たちを一通り可愛がったドナさんが席の方に戻ってきた。


「そういえば、マドレイの奴が町に来てるらしい」

「えぇ……」

「プラムさんの知り合い?」

「まぁ、知ってると言えば知ってますが……」


 少し……いや、かなりうんざりした顔で、プラムさんが答える。

 そんなに苦手な人なのかな?


「はっ! この町であの間抜けな業突く張りを知らない奴なんていないよ!」


 かなりご立腹な様子で、ドナさんがため息をつく。

 マドレイ……悪い方向で有名な人なんだな。


「はは……以前お話した、飛竜を捕まえようと手を出した人です」

「ああ!」

「あんときゃ町中大騒ぎだったよ。何も知らされないで連れて行かれた町の者も、かなりケガ人が出たからね」


 そういうことだったのか。あんな怖そうな魔物を捕まえるのに、町の人まで巻き込むなんて……。

 それも自分の利益のためなんだろ? うわー、最悪な奴だ……。


「プラム、関わらないように気をつけな。スズネちゃんもね」

「はい、気をつけます!」

「はぁ……ちょっと気が重いですね……」


 確かに、目をつけられたら厄介そうだ。

 俺もスズネの正体がバレないように、マントとしてしっかりガードしないとな!


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


今日は良い肉の日なので、牛しゃぶ鍋を食べました。

すごく美味しかったです。

地元の昔からあるお肉屋さんのお肉がすごく美味しくて……しかも安くて……本当にこのお値段で良いのかな? って思いながら食べてます。



■■■■


ヒロアキ

⦅ソル君達は、普通に町の中を歩いてて大丈夫なのか?⦆


プラム

「魔物使いが使役してる魔物は、基本的にどこの町でも入れますよ」


スズネ

「他の魔物使いに、攫われたりしないの?」


プラム

「私との契約魔法があるので、他の魔物使いがソル達を使役することは出来ません。なにより、この子達自身が返り討ちにしてしまいます」


ヒロアキ

⦅そっか。みんな強いもんな⦆


ソル

「バフゥ!」


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