表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は冒険者ギルドを作る【第一部完】  作者: サクラくだり
第三幕 悪役令嬢は冒険者ギルドをはじめる
28/60

3-15 冒険者ギルドを作ろう 4

 カラベルの村に空き家は多かったが、朽ちるに任されていたため、ほとんどが使い物にならなかった。石造りの家が一軒だけあったが、木造部だった屋根がない。


「この家に屋根をかけて、仮の住まいにしよう」


 ホグレンがエヴェリーナに進言した。


「ギルドの本部と酒場はいちから作るしかない。ここは休憩と食事の場所にする。建て終わったらリュカたちの家にするのがいいんじゃないか」


 リュカの母親は驚いていた。


「こんな立派なところに住むなんて……」

「どうせ主人が居ないんだから、使っちゃっていいのよ」


 エヴェリーナはそう答えてから。


「ホグレンはこういうのって慣れていそうね」

「まあな。うちは代々建築技師だった。親父は大工を何人も使っていた」

「今は冒険者なの」

「人生ってのはおかしなもんだ。オクトバーは元密売人。レザーラは軍の先導役を務めるレンジャーだった。コリーは浮浪児で、魔術学校の窓の下に座って字と魔術を覚えた」

「へー」

「お前さんも本当は侯爵令嬢だろう」

「今は悪役令嬢よ」


 確かに、あっという間の出来事だった。零落して食べるのにも困ってよさそうなだったが、偶然も重なってこのような立場にいる。エヴェリーナ自身も人生の不思議を感じてしまう。


「ギルドの本部をここにするんだから、カラベルの村も復興することになるわね」

「村の将来も含めて、設計できる人材が必要だぞ」

「ああ、それならドルルができるんじゃないかしら」


 エヴェリーナは一度鏖竜要塞に戻った。

 さっそくドルルに話を持っていく。コボルドの長は少し考えてから返事をした。


「他の、やつ、使う」

「ドルルの他にもこういうの得意な人いるの?」


 ドルルは工作室の奥から一人のコボルドを呼んだ。


「テラル、とても、得意」


 彼はテラルという名で、若そうな外見をしている。ドルルに訊くと、エヴェリーナより二歳だけ年上であった。


「私とあまり違わないのに、この手の仕事得意なんだ。なんか置いてかれる気がするわね」

「エヴェリーナさん、どうぞよろしく」


 人間の言葉も巧みだった。エヴェリーナはますますたじろいだ。


「私も早くコボルドの言葉を覚えないと……。ええとね、実はこれこれこういうわけで、冒険者ギルドの本部と村の将来図が必要なのよ」

「それならあります」


 エヴェリーナは驚いた。


「あるの!?」

「退屈だったとき、自分なら村や町をどう作るか考えていたんです。いくつもあるので、よさそうなのを手直しすればいいだけですよ」

「すぐ持ってきて!」


 テラルは自室から村の計画図を取ってきた。

 ドラゴンに教えてもらった方眼紙に書き込んであり、見やすく色分けまでされている。


「これがいいですね。中央広場の南側に兵舎があるのですが、冒険者ギルドの本部に変えればいいでしょう」

「最高。よくこんな細かいの作ったわね」

「いずれこういう仕事がしたかったんです」

「存分にやらせてあげるから、村までついてきて」


 彼女はテラルだけではなくフィーリーも伴って、カラベルの村へ戻った。

 時間節約のため、グリフォンを使って飛行する。リュカは突然飛んできたグリフォンに目を丸くしており、一緒に下りてきたテラルに驚愕していた。


「コ、コボルド……」

「心配しないでいいわ。ちょっと見かけが違うだけで、私より頭いいわよ」


 テラルはリュカに挨拶し、少女はぎくしゃくと応えた。

 エヴェリーナは全員を集めた。


「じゃあ村の再建と冒険者ギルドの建築をはじめるわよ。テラルが全体の指揮を執って、ホグレンが建築の監督をする」

「人手はどうする。材料は」


 ホグレンの質問に、テラルが答えた。


「僕が仲間を呼んできます。材料はダンジョン建築用の資材がありますから流用しましょう」

「ここらは私たち以外誰もいないから、コボルドが大勢来ても平気だと思うけど、役人に見つからないよう見張りを立てないとね」


 エヴェリーナがテラルのあとを引き取る。


「さっそくはじめて。フィーリーとリュカはこっちに」


 二人を呼んだ。


「フィーリーは実際にギルドができたら、どうやって冒険者を管理するか練って、やり方をリュカに教えて。実際に受付するのはリュカの仕事だから。私は鏖竜要塞に帰る」

「ここで見ていかないんですか?」

「冒険者が攻略するためのダンジョンが必要でしょう。作らないと」


 そう伝えると、エヴェリーナはグリフォンで鏖竜要塞に戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ