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追放剣士の剣戟無双【魔力0だけど強力スキルと剣術で無双する】  作者: SIGMA・The・REVENANT
第一部・第一章:魔力0の剣士
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閑話・ある二人の教師

 私の名はエドウィン・オールドマン────アルカトラム帝国総合学園にて教師をしている……いや、〝していた〟者だ。


 何故、過去形なのかと説明すると、簡単に言えばある事がきっかけで教師を辞めたからに他ならない。


 私は昔、帝国軍の大佐として活躍し、大きな実績も残した程の実力者だった。


 その後、戦争中に受けた傷が原因で現役を退いたが、その実力を買われて先代理事長に教師として雇って貰ったのだ。


 私の教え子達は皆凡庸ではあったが、若いという事で飲み込みが良く、今では軍や騎士団などで働いてる者が多い。


 正直、私はその事があってとても傲慢になっていたのだろうな。


 クラス選別試験の時、私は試験官としてとある生徒の試験を受け持った。


 試験を受ける者達は一様に本気で、真剣に臨んで来ているのだが、その生徒だけは他と違いとても試験を受けに来たようには見えなかった。


 的の前に立ったと思えば何やら悩んでおり、それを見た私はその生徒に声をかけた。


 すると驚いた事にその生徒は〝どう手加減すれば良いか〟などとふざけた事を言い放った。


 私は激昂した。


 〝本気でやれ〟と怒鳴ってやった。


 しかしそれが間違いだった。


 その生徒は〝本気出して良いの?〟という顔をしたかと思うと、ロングソードやバスターソードよりも長く、そして細い剣を振り上げ、そしてそのまま振り下ろした。


 そしたら体育館も斬られた。


 何を言っているのか分からないだろうが、これは事実だ。


 現実に私の目の前で起こった、紛れもない事実である。


 そしてその直後にその生徒は更に私の度肝を抜く一言を言い放った。


 なんと、その生徒はたった三割の力で体育館ごと的を両断したのである。


 それを見た私の自信は呆気なく打ち砕かれ、気づけば私は今の理事長に辞表を出していた。


 理事長に理由を問われたので正直に話すと、彼女は暫く考えてから辞表を受理してくれた。


 学園の正門を潜った私は不思議と、とても晴れやかな気分であった。


 50歳である私でも、まだ見ぬ境地があると知らされた。


 もしかしたら私自身が決めつけているだけであって、まだ私も今より強くなれるかもしれない。


 未だ現役として活躍出来るかもしれない。


 私はまだ見ぬ〝未来()〟への期待に胸を躍らせながら、冒険者ギルドの門を叩いたのであった。






 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼






 私は今回、騎士・剣士学科Sクラスの担任となったミオ・フォン・アリストテレス。


 今まではAクラスまでしか担当してなかった私ですが、この度やっとSクラスを受け持つ事になり、非常に楽しみで仕方がありません。


 ですが少しばかり不安もあります。


 それは今回受け持つクラスに一人の問題児がいるということです。


 ムメイ・ミツルギ────彼は入学式の前に喧嘩をし、選別試験にて体育館ごとミスリル製の的を両断し、あまつさえ三人の男子生徒を病院送りにするという問題を起こしています。


 私は教師として彼をしっかりと指導しなくては……。


 しかし、ミスリルを両断する彼を指導出来るのでしょうか?


 いいえ、やる前からこんな弱気では駄目ですね。


 教室に入る前に気合いを入れ直しておきましょうか。


 ふふっ……どうにも気を緩めるとニヤけてしまいますね。


 普段、生徒達からは私はクールで怖いなんて思われてますが、本当の私はちゃんと女性らしいんですよ?


 そしていざ教室へと入ったのですが、さっそく目がとび出そうな光景を目撃してしまいます。


 なんと、あのムメイ・ミツルギ(問題児)がアルフォンス殿下の隣に座っているではありませんか!


 私、思わず固まってしまいそうになりました。


 なんとか平静を装って何事もなくホームルームを進めますが、ムメイ・ミツルギを含めた四人は今度はお喋りを始め、ちっとも私の話を聞いていません。


 仕方なく四人には罰を与えましたが、問題はそこで終わりでは無かったのです。


 なんとムメイ・ミツルギが二人の男子生徒を病院送りにしてしまいました。


 入学式の時といい、今回の事といい、どちらも事情ありきなので処分は免れたようですが、彼には更なる罰を与えました。


 私、あとで仕返しされたりしませんよね?


 そんなこんなですが、私はこれからもこのSクラスの担任として頑張っていこうと思います。


 えぇ、別に震えてたりなどしてませんよ?


 泣いてません!


 でも────


 でも、どうか二度と問題が起きない事を切に願っております。

 

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