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追放剣士の剣戟無双【魔力0だけど強力スキルと剣術で無双する】  作者: SIGMA・The・REVENANT
第一部・第一章:魔力0の剣士
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クラス選別テスト

怒涛の第三話更新です

 入学式が終わるまではまだ時間があったので、今度は俺が剣神を目指す理由について話す事にした。


 エレンの男装の理由が、何処と無く俺と同じように思えたからな。


 魔法国家のやんごとなき家の生まれである事。


 魔力0であるが為に家どころか国からも追放された事。


 それがまだ五歳の時の話である事。


 その後にジジイと出会って剣の修行をつけてもらった事。


 ここに来る前にジジイからこの赫宵弦月鬼正を貰ったこと。


 そしてジジイも目指した剣神を目指す事に決めた事。


 その全てを包み隠さず話した俺がエレンを見ると、彼女は大粒の涙を流していた。


 それを見て俺は思わずギョッとする。



「おいおい……なんでお前さんが泣くんだよ?」


「いや……聞いてたら何故か、私も辛くなってきて……」


「あ〜……もしジジイと出会ってなけりゃ辛かったろうな。でも、ジジイとの生活は楽しかったし、血は繋がってなくても本当の爺さんだと思ってるしよ」


「ふふっ……君が何事も動じない理由が何となく分かった気がするよ」



 エレンはそう言うと立ち上がって俺に手を差し出してくる。



「改めて私はエレイン・フォン・ローゼクロイツ。エレンは男としての名前だから、普段はそっちで呼んで欲しい」


「おう。改めてムメイ・ミツルギだ、よろしく頼む」



 こうして俺はエレン改めエレインと握手を交わした。


 そのタイミングでエレインがふとこんな事を言い出す。



「そういえば君は剣神を目指すと言っていたから剣士の方かな?でも三年間共に過ごす事には変わらないから訓練の時は頼むよ」


「ん?いやいや、剣士と騎士ではクラスが違ぇから訓練も別だろ?」


「あれ、知らないの?今年から騎士学科と剣士学科は併合されたんだよ」


「は?」



 知らんかった……。


 エレイン曰く、例え道は違えど通ずる部分も多い為、今年から〝騎士・剣士学科〟として併合したらしい。


 そうすれば途中で剣士から騎士へと転向したりその逆で騎士から剣士に転向しやすくする為だという。


 冒険者学科と兵士学科は完全に別な為にここは変わらないらしいが……。



「昔からそういうのがあったらしくて、その際の申請手続きが大変だから思い切って併合したみたい」


「そうなのか……ところで口調が変わってるがいいのか?」


「今は君と二人だけだからね。無理に男っぽい口調で話す必要は無いよ」


「やっぱ無理してたのか……」


「うん、無理してたよ……」



 そのやり取りに思わず吹き出す俺とエレイン。


 彼女とは今日初めて会ったばかりだが何となく息が合ったのは良い事なのだろうな。



「ところで10年修行に明け暮れていたと言ってたけれど、具体的にどんな修行だったの?」


「よし、そろそろ入学式が終わりそうだから行こうぜ〜」


「えっ?いや、私の質問に答えて欲しいのだけれど……」


「あっ、先生〜。入学式が終わったら何処に行けばいいんスか〜?」


「ちょっと!答えてよー!」



 露骨に話題を変え、そして教師に次の指示を伺う俺に、エレインは答えを求めようとしてきた。


 すまないが修行の事については語りたくない。


 ジジイとの普段の生活は楽しいことばかりだったが、修行については思い出すだけで、受けた本人である俺でさえもドン引きする内容だからな……エレインが聞いたら絶対に俺以上にドン引きするに違いない。


 困惑するエレインを他所に、次の指示を聞いた俺は体育館へと向かうのだった。






 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼






 教師に言われて体育館へと向かい、そして中にいた教師に促されて椅子へと座る。


 すると舞台に立っていた教師は俺達が来るのを待っていたのか、俺とエレインが席に着いたタイミングで口を開いた。



「さて……新入生の諸君、改めて入学おめでとう!これから君達には〝クラス選別テスト〟を受けてもらう!」



 クラス選別テスト……つまりはクラス分けの為のテストをするってことか。


 ザワつき始める生徒達の前で教師は舞台袖から円筒型の的のようなものを運び込んでくる。



「コイツは今回のクラス選別テストで使われる道具だ。素材はミスリル製でこの中に測定用の魔法石が内蔵されている。君達には()()()()攻撃して欲しい。先ずは手本を見せるとしよう」



 教師はそう言うと自身の剣を抜き放ち、そして的を斬りつけた。


 すると円筒型の的がその衝撃で振動し、暫くして静止する。


 それを確認した教師は今度は舞台の上に置かれていた教卓から金属製の板を掲げる。


 そこには〝C〟という文字が浮かび上がっていた。



「今回はお手本ということで手加減をした。さて、ここに浮かび上がった文字……これが今の攻撃のランクだ。このランクに応じてS〜Eそれぞれのクラスに分けられることになる」



 教師はそこで一旦説明を区切ると、他の教師に指示して的を撤収させる。


 そしてまた指示を出すと体育館にズラっと先程と同様の的が五つ程並べられた。



「では早速テストを行う。君達は向かって右から番号順に並んでもらい、順番に攻撃して貰いたい。では、順番に並べ!」



 俺の番号は一番最後……生徒の数は200人で的の数は五つの一列40人か。


 順番が回ってくるまでは時間があるので、今のうちにどのように手加減すればいいか考えておくか。


 俺はそんな事を考えながら亜空間から鬼正を出すと、その場でストレッチを始めるのだった。






 ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼






 クラス選別テストが始まり、私は隣の列にいたムメイに近づき、その方を指でツンツンする。


 そしてこちらを見た彼にこそっと言った。



「どうムメイ、いけそう?」


「それがだな……悩んでるんだ。どう手加減すればいいかさ」


「は?」



 彼が何を言っているのか分からなかったが、また考え込んでしまったのでそれ以上は聞けなかった。


 前の方では他の生徒達が次々に的に攻撃を放ち、その結果を教師達が纏めている。


 そしていよいよ私の番が回ってきた。


 私は深呼吸をしてから細剣〝聖月の薔薇(セイントローズ)〟を構え、そして勢いよく体育館の床を蹴る。



「ローゼクロイツ流細剣術、〝穿つ荊(エグランティーヌ)〟!」



 手応えは十分……渾身の一撃を放つ事が出来た私は一先ず安堵により胸を撫で下ろす。


 騎士団長を目指すならばSクラスが好ましいが、Aクラスだったとしても文句を言うつもりは無い。


 逆にそうなったらそうなったで尚更目指しがいがあるというものだから。


 私が放った一撃に周囲も感嘆の声を上げており、私はその余韻に浸りながら剣を鞘へと納めた。



「流石はローゼクロイツ公爵家の者だな」



 教師からもそんなお褒めの言葉をかけられる。


 私はその教師に一礼した後、列の後ろへと戻っていった。


 その際に順番が回ってきたのだろうムメイとすれ違ったので〝頑張って〟と声をかけたのだが、彼はまだ何かブツブツ言っていて聞こえていないようだった。


 そんなムメイの番……。


 しかし彼はまだブツブツ言っていて剣を抜こうともしない。


 そんな様子に教師も訝しげに思ったのか、彼に声をかけていた。



「おい、さっさとしないか。いったい何を悩んどるんだ?この的に一撃を放つ……それだけの簡単な事だろう?」


「あ、あぁ……実はどう手加減すればいいのか悩んでまして」



 ムメイのその言葉を聞いた教師はポカンとして、そして直ぐに鬼の形相となって彼を怒鳴りつけた。



「貴様ァ!テストだと言うのに手加減とは何事だ!やるなら本気でやらんか馬鹿者!」



 そう怒鳴られた直後の彼の表情は忘れない……。


 頼むからムメイ、そんな〝え?本気出していいの?〟という表情をしないでよ……。


 ほらぁ、先生も唖然としてるじゃないか。


 教師に〝本気でやれ〟と言われたムメイはまるで水を得た魚のように生き生きしだし、あの長い剣を抜き放つと、両手で上段へと構えた。


 その直後に私の背筋を走る悪寒……。


 見れば数人の生徒達も私同様、悪寒を感じていたり、中には汗を吹き出している者もいた。


 何かヤバい……。


 私の脳が警鐘を鳴らしている。


 嫌な汗が止まらない。


 先程ムメイに怒鳴っていた教師もその悪寒を感じ取っていたのか、大量の汗を吹き出している。



「御剣一刀流極義……天地割断────」


「待て!やっぱり少し手加減を────」


「〝鬼一太刀(おにひとたち)〟!!!!」



 直ぐに手加減するよう忠告しようとした教師の努力虚しく、ムメイの放った一撃は大きな衝撃を生み、そのせいで体育館どころか学園内まで揺れただろう。


 そして揺れが収まり開いた私の目に飛び込んできたのは、的どころかその先の壁、更に彼の真上の天井までもが斬られている光景だった。


 そんな体育館の無惨な状態を見て、ムメイは一言……。



「三割程度でもこれかぁ……やっぱ一割にしとくべきだったなぁ」



 たった三割程度の力でもミスリル製の的を両断するその威力……これが本気だった場合どうなっちゃうのかな?


 そばにいた教師は目の前の光景が信じられないのかその場で腰が抜けたように尻もちをついていて、他の生徒達はただただ呆然とムメイを見ていた。


 私も例に漏れず何も言葉が出てこない。


 あはは……。


 ムメイ……君、どれだけなの?


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