~アルストロメリア~
僕は真田三月。何の変哲もないただの大学生だ。と言いたいところだがそんなことはなかった。ことが起こったのは僕が高校生になった時のことだ。その時の僕は両親を亡くし祖母に引き取られたばかりでふさぎ込んでいたのだ。部屋から出ようともしない僕を祖父と祖母は心配して毎日何かと話しかけてくれていた。でもそんなことどうでもよかったんだ。なんで僕だけを神様は残したのか恨んでいた。そんな僕を変えてくれたのは歌だったんだ。それもただの歌じゃなくてインターネットに投稿されていたボーカロイドというものである。なんとなく開いたサイトで聞いた歌が僕の心に響いて涙が止まらなかった。僕の心をそのままうつしたような歌に僕は引き込まれた。それ以来僕は今までの貯金を使って音楽ができる環境を整えた。何もかも初心者の僕にネットでつながった人たちはやさしく教えてくれた。初めて自分の歌ってみたを投稿したときは心臓が飛び出るくらいドキドキしたけれど、僕が救われたように誰かを救いたいと思ったんだ。それこそ今では40万人のリスナーさんがいる、そこそこ有名な配信者だと思う。今日は組んでいるグループのメンバーで配信をする日なんだけど...。
「...零が来ないな」
そう、メンバーの一人の零が来ないんだよね。僕と結城海斗とはかれこれ30分は待たされてるんだよなぁ。リスナーさんたちには8時からって伝えてあるからまだ1時間はあるけど...さすがに心配になるでしょ...。
海斗「あいつだから仕方ないけど、いつも5分前には来いって言ってんのにな」
三月「まぁ海斗だからね。もう少ししたら来るんじゃないかな?」
海斗「これ以上遅れたらなんかしてやるかw」
三月「いいかもwそーだなぁ...零の苦手なお化け屋敷にでも連れてくとかは?」
海斗「ついでに許可とって動画でも撮ろうぜ」
ということで決まったのが零に一人でお化け屋敷に行ってもらうことになったんだよね。零はお化けとか大嫌いだから面白い図が取れると思うけどさすがにやりすぎかもしれない。とはいえいつも遅れる零が悪い。
零「...ごめん、遅れたぁ...。」
何はともあれ来てくれてよかった。なんやかんやで海斗も心配してたしね。
海斗「んで、今回遅刻した理由は?」
零「...寝てました。」
なんか怒られてる犬みたいに垂れてる耳が見える。三守零は犬みたいでみんなからも愛されてる、いわば愛されキャラだ。かという僕も零には弱い。
三月「まぁまぁ...そろそろ時間だし始めようよ。零も毎回いうけど時間は守ろうな?」
苦笑しながら零の頭をなでてやると僕に抱きついてきた。
海斗「たく...三月はほんとに零に甘いよな...」
おい、知ってるぞ。顔や行動に見せないくせに海斗だって零のこと好きじゃんか。ていうかそろそろ僕から離れろよ零...。
to be contend...




