楽天の携帯キャリア参入に見えてくる三木谷氏の面白そうな挑戦
私は日経新聞に一言言いたいのだが、会社が発表する前に飛ばし記事にするのはやめてほしいな。
それが逆に企業の経営活動の萎縮に繋がるかもしれないからさ。
それはさておき、楽天の携帯キャリア参入が本日取締役会にて決議されたという。
少なくともそれまでMVNO事業を展開していた楽天は本腰を入れてMNOに挑戦するということが明確になった。
世間では様々な視点でこの件について語られているが、
周囲から「君は視点がズレているね」と言われるような人間がどうやって今回の事象を捉えてるか書いてみることにする。
まず1つ。
筆者の大した事が無い人脈で楽天内部の人らから伺った話と、三木谷氏がMVNO事業にてFREETELを買収して今後の展望として発表している事柄から見る限り、直接の通信料金体関係による利益は二束三文で黒字化して複合サービス化で荒稼ぎをしたいと考えているらしいことはわかる。
楽天が何をやりたいかというと、ドコモが手を出して未だに上手く行ってない事柄に挑戦したいということだ。
何をやりたいかというと、現在展開するコンテンツ事業の1つにインフラも組み込むと。
LineなどがMVNOでやり、自身の会社である楽天もやっていることをMNOでやりたいようなのだ。
これはドコモが挑戦していろいろ手を出しているが、正直言うとドコモ自体はそこまで伸びてない。
dポイントを用いて様々なコンテンツ事業を展開し、最近ではマックでも使えるようになったというが、結局は「クレジットカードなどと結びついていないことで正直大したことがない」程度の状況だ。
一方で筆者が注目したのは、ここ最近の楽天の動きだ。
楽天が何をしようとしているかというと、Pontaと手を組もうとしているのだ。
最近勢いがあってCMにも出てくるようになったPonta。
このPontaとは何かというと、三菱商事の子会社が生み出したポイントカードであり、現在はリクルートなども子会社の株主となって経営に関わっているポイントカード事業である。
クレジットカードなどと紐付けされていると月々の支払い量に応じてPontaポイントが加算されていくものだ。
このポイントカードの誕生理由は「様々な分野で展開されるポイントカードを統合したい」という考えによって生まれたものであり、出だしは昭和シェル石油とローソンなどのポイントカードを統合しようという試みだったが、今や日本航空まで提携しており、なんとマイレージポイントに変換したりできる。
っつーか前述のdポイントにpontaポイントを相互変換できたりするのだが、dポイント変換は使い勝手が悪すぎて意味が無い部分だ。
大半はdポイントをPontaに変換するために使うとは思われるが変換効率はよくない。
ここで注目すべきは、提携会社に楽天が入り、楽天でも楽天edyなどを利用するとpontaポイントを入手可能になった点である。
三木谷社長はFREETEL買収の理由に対し「クレジットカードのビッグデータを参照した結果、今後の展開として十分黒字化できうるものを得られており、独自サービスにて展開していきたい」と語ったが、
私が思うにもしかして「pontaポイントなどと結びつけて携帯電話料金支払いを大幅に安くするようなシステムを考えていないか?」と思ったのだ。
冷静に考えてみよう。
Dポイントは所詮「携帯電話を利用したりすると溜まる」程度の存在である。
大抵の人が利用したって機種変更で3000ポイントぐらい使える程度のゴミみたいな存在。
一方でPontaは、10万円使えば1000ポイントぐらい溜まる。
例えばである。
普段の日常生活で我々は月々の生活費に15万使っていたとして、そのうち10万円分はクレジットカードで毎月光熱費などから差し引かれ、何らかのポイントに変わっていると思われる。
社会人ならばセゾンポイントだのなんだの大量にあると思う。
これをPontaにして、そのPontaで携帯電話料金を支払える……ようになるとしたら?
楽天ポイントを廃止し、Pontaに統合、そしてPontaで支払えるようにする……という形式にしたらどうなるだろう。
とすると月々の支払い料金は一気に下がるではないか。
少なくとも、通常料金が6980円としても生活費によって実質5980円にできる。
3980円の格安プランは2980円、2980円のプランは1980円となり、どんどん「なんかお得!」って感じがしてくるだろう。
光熱費や家賃すべてクレジットカードで支払ったら月々2000円分ぐらいPontaポイントになるのでそれを携帯電話料金圧縮に使えるという想定もできる。
今の時代、正攻法では絶対にあの談合三社には勝てない。
私が経営者ならこういう戦略で勝負する。(可能かどうかは別として)
そして楽天はそのための布石をすでに打っている。
ソフトバンクやauが電気事業に参入して大した成果も得られない状況の中、目をつけるとしたらこういった部分しかあるまい。
そして一番重要なことはMNOができるということはMVNOとして回線を売ることができるということ。
私はそこにも裏があると思ってる
たとえばLINEやmixiと手を組むってのはどうなんだ?
今回の携帯電話参入では「様々なコンテンツ事業と結びつき、それらと統合し、その中の枠組みの1つとしてMNOを展開する」というが、それまで実質的にライバルだった「ネットコンテンツ」関係の連中と手を組んで提携し、MVNOとして回線を貸し出す代わりに融資などを得てMNOを展開。
こっちは机上の空論すぎるが、LINEなどのSNS関係のSIMは案外伸びている。
これらもビッグデータの解析で「需要がある」と判断されて導入されたものだが、そこと手を組むという方向性はあるのではないだろうか。
クレジットカードのビッグデータが大いに参考になったという三木谷氏の話からすると私はそんな展開を想像した。
携帯電話とクレジットカードなんてつながりが料金支払いぐらいしかなく、他に思い当たる節がないのだ。
私は三木谷社長と経営陣は「ありとあらゆる生活資金を何らかのポイントに変換し、それを携帯電話含めて使えるようにする」というような壮大なポイントサイクル事業を生み出して実質的な価格で談合三社と戦おうとしているというのを現段階まで手に入る情報で考えてみたが、果たしてどうなるか…………
さて、最後に個人的な見解を述べたいと思う。
私は最近、サービス事業を展開する大手の企業の人間に対してこういう話をしている。
「日本のサポート体制の悪さが続くと米国や中国に完全につぶされるぞ?」という話をしている。
サービス事業関係では、最近米国や中国は勢いがある。
そういったサービス事業において必ず問題になるのはサポート体制なのだが、正直言って「悪くない」というのが筆者の感想。
特にネット通販においては中国のアリババと米国のAmazon、Ebayなどのサポート体制は非常に優秀といわざるを得ない。
アリババなんかはほぼ間違いなくこういうサポート品質で勝負してきている。
その中で楽天はどうかというと……「日本ですな」という感想しか出てこない。
楽天モバイルについてのサポート体制も同じだし、そもそも主業務でそうなんだから副業の別事業が違うなんてありえないんだよなあ。
だからね、サービスの展開は面白そうなことをやりそうではあるが、だからといって楽天モバイルがMNOに参画したからといって、顧客満足度という意味合いでソフトバンクを超えるかといったら無いと思うなあ。
最近の談合三社のサポート品質は最低レベル。
殿様商売も大概にしろやと思うんだが、総務省も流石にここには危機感を抱いているようで「ええ加減にせえよ」と思ってるので、楽天に本気で見込みがあるなら参入させてしまうのだろうけど、
筆者としては多少高くてもいいから品質の高いサポートがほしいのに、高いのにサポートの質も最悪というふざけた状況が続いていることにゲンナリする。
クレーム電話1本処理しないような体制じゃ、「楽天ならどうにかしてくれる!」なんて声挙がって当然だろと。