陶芸教室
「こっちもあるんやで。」
ふわまろが差し出したのは、土の塊。
「コレ何?」
「開けてみ。」
開けろって言われても、土の塊は普通開けないよね。
僕が同意を得ようと、わかばちゃんを見たら、指に力を入れて真ん中付近から真っ二つにしていた。
「わー、これデザートだ。」
中から出てきたのは、竹の葉にくるまれた玉。
え? こっちの世界では、竹の葉はデザートなの?
僕がびっくりしていると、わかばちゃんは竹の葉をむき始めた。
ふわまろは、ニコニコしている。
甘い美味しそうな匂い。僕も指に力を入れる・・・。
・・・・・あきらめて、石を使って土の塊を砕いた。
「リンゴンだ。」
ん? リンゴ?
僕がわかばちゃんを見るとその手の中には、姫リンゴぐらいの大きさの実が乗っていた。
「あっちで、リンゴンの実が残ってる木を見つけたんや。」
僕も竹の葉をむいて、リンゴンの実を取り出す。
匂いをかぐとアップルミントの香りがした。
「美味しい~。」
ご機嫌な声のわかばちゃんを見ると、すでに半分食べ終わっていた。
早!
恐る恐る僕もかじってみる。
うん、焼きリンゴ味だ。
「ふわまろ、これとっても美味しい。」
僕はふわまろを見た。
「せやろ! 芯にキラービーの蜜も入ってんで。」
はい? キラービー? 何その怖そうな魔物は・・・。
「キラービーの巣があったの?」
おう、思いのほか、わかばちゃんがくいつく。
「ああ、キラービーはおらへんかったんやけどな、巣に蜜が残っててん。」
「残念、女王蜂が居たら捕まえたかったのに。」
わかばちゃん? 女王蜂なんて捕まえて養蜂でもするの?
「もうないの?」
食べ終わったわかばちゃんが、ふわまろに尋ねる。
「作ったんは1人1個や。」
残念そうな、わかばちゃんを見て僕は半分食べた焼きリンゴンを差し出す。
「わかばちゃん、少し食べる?」
「食べる!」
「何やハル、苦手やったん?」
「違うよ、美味しかったけど。焼き魚も美味しすぎたからお腹が一杯で苦しいんだ。」
本当に、わかばちゃんの小さな体で良くあんなに入るものだと感心してしまう。
「瓶も作ったし、お腹も一杯になったから、ちょっと休憩して戻る?」
「せやな。」
「うーん、僕ちょっと試したいことがあるんだけど、二人とも協力してくれる?」
珍しく、わかばちゃんとふわまろが意気投合してるけど、僕はふと気づいたことを試したくなった。
「わかばちゃん、これと同じもの10個作れる?」
「こんな感じ?」
「そう、後はこれを覆う感じで土のドームを作れる?」
「こうかな?」
「いい感じ。今度はふわまろ、この中で火を燃やせる?」
「簡単。」
「ありがとう、ふわまろ。このまま燃やし続けることはできる。」
「任せとき。」
「今度は、わかばちゃん。瓶を作るときに使っていた砂をもっと細かくして水に溶ける?」
「うん、こんな感じ?」
「ありがとう。」
「ハル、土が焼きあがったで。」
そう、今僕が作っているのは陶器のコップ。
わかばちゃんの土魔法とふわまろの火と風魔法があれば、陶芸が出来るじゃないかと思いついたんだ。
しかも、素焼きではなくて釉薬をかけた物。
竹のコップも良いけど、ジンジャーと竹の匂いが混ざったら僕が知ってるホットジンジャーでは、無くなる気がしたから。
僕は焼きあがった素焼きのコップを釉薬に付けまた地面に並べる。
「わかばちゃん、またこのコップを土で覆える?」
「任せて。」
「ふわまろ、またこれを焼き続けてほしいの。」
「おう。」
「じゃじゃーん、二人の協力でこんなにたくさんのコップが出来ました。」
うん、形は湯呑だけどね。
僕は色々条件を変えたものを5つ同時進行で作っていた。
まあ、中には割れちゃったものもあったけど37個の陶器のコップが出来上がった。
「しっかし、土を焼くなんて何をするのかと思えば、入れ物を作ってたんやな。」
「そう。竹だと匂いがジュースに移りそうで、ちょっと気になってたんだ。」
「ハル、屋台でコップ入りで売るの?」
「コップ入りとコップなしで売ろうかと思って。」
「うーん、土やから落とすと割れそうやな。」
「そりゃー、落とせば割れるよ。」
「ハル、コップ入りだと値段が高くなりすぎる。」
「へ? そんなに高くならないんじゃない?」
「ハル、陶器は高価やで。」
「え? 食堂とかでも使ってるじゃん。」
「あれは、金属やし。」
「・・・。え!」
陶器は高級品だった。




