ダンジョンでした
「ダンジョン!?」
あー、やっぱりダンジョンかぁ・・・。
そんな気がしたんだよね、ここ、洞窟だし。
精霊とか居るし。
「そう、ここはダンジョンの地下5階だよ。」
「え! 地下5階なの?」
落ちたとき、3階以上の高さがあるとは思ったけど・・・。
5階の高さから落ちて無事だったんだ・・・。ラッキー!! かなぁ?
「武器って、精霊武装したこの枝を使うんじゃないの?」
「違うよ、ハルはまだ魔法を使えないでしょ? 私にはその杖は大きすぎるから私用の武器が必要。」
そう言いながら、わかばちゃんは若木に手を差し出す。
ぽとって感じで、小枝がわかばちゃんの手に落ちた。
ふりふり、感触を確かめるかのように小枝を振る、わかばちゃん。
かわいい。幼稚園児の鼓笛隊を思い出し、思わず顔がへらぁとしてしまった。
でも、実際問題、それじゃぁ一寸法師だよ。わかばちゃん。
「わかばちゃんは、魔法を使えるの?」
「うん、私は水と土の魔法が使えるよ。」
「え?木の魔法じゃないの?」
「うーん、木を成長させる魔法では戦えないよ。」
うん、ごもっとも。
「その枝で魔法を使うんだぁ。」
「違うよ。これで殴る。」
「.....。無理じゃね?」
「.....。頑張る。」
「.....。魔法は?」
「.....。まだ、弱いから。」
舞いながら・・・殴る・・・・。うん、ないね。
棒の先に、蔓みたいなのをつけたら.....。
鞭だね・・・幼女が鞭で戦う・・・・。うん、ないね。
舞う・・・・・。動く・・・・・。新体操っぽい道具のほうが合いそう。
たしかリュックにあったよね。
「わかばちゃん、ちょっとその小枝貸して。」
僕は、リュックに入っていたお菓子についていたリボンを小枝に結ぶ。
ちょっとリボンが長いかな?
「これで、使ってみて。」
ふりふり振ってみたあとで、ふりふりしながら走り出した。
かわいい。・・・・・でも、リボン長すぎたね・・・。
しばらく見ていたら、長いリボンを器用に操っていた。
「ハル、大丈夫そう。」
ポシェットにリボンをしまって、わかばちゃんがにこにこ笑顔で話しかけてきた。
「その、ポシェット・・・。いや・・・、便利だね。」
どう考えても、小枝の方が大きいよね、アイテムボックス的なものだね。
上に行く階段は、また、トンネルのような場所を通らなければ行けないそうだ。
僕は、帰り道を探しに。わかばちゃんは、木を植えに。
「さあ、冒険の始まりだ!」なんて、カッコつけて宣言したら。
「ハル、精霊武装したほうがいいと思う。」
生後3日の子に諭されました。