大事なことを忘れた
「でも、わかばちゃん。普通に木を生やしたりできるんだったら、ベリーの木とか増やせば、簡単に採取できるんじゃない?」
「この森は他の冒険者も沢山来るから無理。」
「どうして?」
「ああ、ああゆうどーでもええ木なら誰も気にせえへんけど、ベリーとか珍しい薬草なら冒険者がほおっておかへんからな。薬草ならまだしも、ベリーの木が行き成り生えたらおかしいおもわれる。」
成程、確かに僕も最近毎日のように森へ来てるけど、入り口の普通の木が2~3本増えてても気付かないと思うけど、崖の上のベリー以外にベリーの群生地が急にできればおかしいと思うもんね。
「わかばちゃん、ふわまろ、これからどうする? ゴブリン討伐も終わったし、薬草採取も済んだならもう冒険者ギルドに帰っても良いね。」
「イヤイヤイヤ、ハル。今日は瓶を作りに来たんやから、川へ行かな。」
あ、いろいろあって、思いっきり忘れていました。
「じゃあ、川に行こうか。」
「今日は、上流に行きたいな。」
「上流?」
「そう、鉱山の中を川が流れてるのか楽しそうな鉱石の気配がするの。」
うん、わかばちゃん。ねって、顔をしても僕には、鉱物が楽しいかどうかは流石にわからない。
さて、川はどっちかな? 僕はあたりを見渡した。
ふわまろが、僕を見ているのに気付いて、探索を忘れていることに気付いた。
いけないいけない、視界が悪い場所にきたら探索を忘れずにって、ふわまろに言われていたことをすぐ忘れてしまう。
川はすぐにわかったけど、どっちが上流だろう。
「どうした? ハル。」
「ふわまろ。川の上流ってどうやったらわかるの? 川は探索でどこにあるか分かったんだけど・・・。」
ふわまろは、僕の台詞を聞いてにっこり笑って言った。
「慣れ。」
うん、そうだったね。だから僕は冒険者ギルドの講習を受けてるんだった。
とりあえず、敵っぽい反応は無かったので、そのまま川へ向かって歩き出す。
さすがに川に着いたら、どっちが上流かすぐにわかったけどね。
「ハル、ちょっと待って。ここで瓶を作ってしまうから。」
「わかったよ、わかばちゃん。」
その間僕はどうしよう。
ふわまろを見ると川の向こう岸を見ていた。
「ふわまろ、何か面白い物でもあるの?」
「ん? 何でもない。」
結構真剣に見ていた気がしたけど、まあいいや。
「ハル、お待たせ。さあ、上流へ行こう。」
相変わらず、あっという間に瓶を作ったわかばちゃんに促され僕たちは、川上へ歩いて行った。
「ほら、ハル、見て。」
わかばちゃんが、指差した先は川の中。
「ごめん、わかばちゃん。僕には砂しか見えない。」
川の中に、白い砂が堆積しているようにしか見えなかった。
「そう、あの砂ミスリルの砂よ。」
へ? ミスリルってあの、ミスリル?
わかばちゃんが、川の中に入って行こうとすると水がわかばちゃんを避けた。
わー、奇跡みたい。
見ていると、わかばちゃんはその白い砂を袋に詰め始めた。
「わかばちゃん、僕も手伝おうか?」
「大丈夫、そんなに量は無いから。」
そう言いながら、袋詰めしたミスリルをポシェットにしまう。
わかばちゃんが戻ってきたら。川の水も普通に流れ出した。
「わかばちゃん、今水がわかれたのって魔法?」
「違うよ。濡れたくなかったから、来ないでねってお願いしただけだよ。」
うん、魔法とお願いの区別がつかない。気にしないでおこう。
「あれ? ふわまろは?」
気が付くとふわまろが見当たらない。
「どうせ、すぐに姿を現すから気にしなくていいわよ。」
そうわ言っても、と僕がキョロキョロしていると、突然わかばちゃんが叫んだ。
「あー! 大事な事を忘れていた。」
「どうしたの! わかばちゃん。」
「お弁当持って来てない。」




