息ぴったり
「どうする? わかばちゃん、まだ森に居る?」
「ごめん、ハル。なんか思うようにいかなくて・・・。でも思いっきり魔法を使ったらすっきりした。」
ああ、うん。良かったよ。思いっきりで、あの程度ですんで。
7匹のゴブリンを討伐するのに、学校のグラウンド半分? テニスコート4面分ぐらいの空き地が出来ていた。
「でも、わかばちゃん。このままだと大規模魔法を使ったのがわかってまずくない? 自然破壊だと怒られたりしない?」
「ハル、大丈夫だよ。」
本当にスッキリしたのか、とっても素敵な笑顔でわかばちゃんが言った。
大丈夫って言ってもなぁ・・・と僕は空地を見る。
「ハル。『精霊武装』って言ってみて。」
ああ、懐かしい台詞だ・・・って、日本時間では1日も経ってないんだけどね。
僕は杖を構えて言った。
「精霊武装。」
3歳児のわかばちゃんの姿が消えた。
続けて「精霊武舞。」と僕が言ったら、杖から明るい光の粒が舞って、人間の姿よりちょっとお姉さんのわかばちゃんが、精霊の服を着て現れた。
僕が作ったリボンを振って、空地を飛び回る。
「へえ、結構やるんやな。」
気が付くと、ふわまろも一緒に踊るわかばちゃんを見た。
手には、いつの間にか麦で作ったストローを束ねたものを持っている。
おもむろに、ふわまろが手に持っていたストローっぽい物に口を付ける。
すると、お正月に良く聞く音が聞こえて来た。
ちらり、とわかばちゃんがふわまろの方を見たけど、そのまま踊り続ける。
わかばちゃんのリボンの演技だけでも、きれいだと思ったけど。
ふわまろの曲が流れると、もっときれいな舞になった。
ふわまろの曲が終わると、わかばちゃんがお辞儀をした。
「凄いよ、わかばちゃん。すっごくきれいだった。」
僕は手を叩きながら、わかばちゃんに声を掛けた。
「ハル。ありがとう。」
「ふわまろも、凄いよ。笛なんて吹けたんだね。」
「ああ、作るのも簡単やしな。」
え? 楽器から手作り?
っと、踊り終わったから、解除した方が良いよね。
「武装解除。」
僕が言うと、ちょっぴりお姉さんのわかばちゃんの姿は消え、最近見慣れた3歳児のわかばちゃんの姿になった。
「でも、いきなり精霊武舞なんてどうしたの?」
僕がわかばちゃんに尋ねると、わかばちゃんは一言言った。
「証拠隠滅。」
??? って顔に出てたみたいで、今度はふわまろが言った。
「大規模魔法の痕跡何てなくなったやろ?」
空地に目を向けると、僕の腰ぐらいの木が何本も生えていた。下草まではえていた。
アア、ソウデスネ。マホウノコンセキナンテドコニモナイ。
思わず僕が遠い目になってしまったのは、しょうがないと思うの。
しっかし、わかばちゃんの舞にぴったり合わせる曲をアドリブで吹くふわまろにも驚いたな。




