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精霊武舞  作者: かなめ ちま
冒険者になろう
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ちょっと拝借

 まだ時間が少しあったけど、きりが良いから僕たちは演習場を後にした。

 片づけ(土壁)は、わかばちゃんがしてくれたからね。


 受付に行って、終了処理をした。

 「ありがとうございます。」

 「タグをお預かりします。」

 タグを渡して、しばらくしたら返してもらえた。

 「はい、終了手続きが完了しました。」

 「この後の演習場は、空きがないんですよね?」

 「はい、みなさん依頼達成の報告後演習場で技を試されるみたいで・・・、夕方の方が混むんですよ。」

 「わかりました。ありがとうございます。」


 「ああ、それから風魔法の初級講座に開催日は決まりましたか?」

 「申し訳ございません。まだ、講師が捕まらないものですから・・・。」

 「捕まらない?」

 「あ、いえ、まだ講師が決まらないので、開催日も決まらないのです。」

 お姉さんが、あせって言い直した。


 「ありがとうございます。決まったら張り出されますか?」

 「張り出されるときには空きが少ない場合がありますので、受付で確認されたほうが確実なんですが・・・。」

 「わかりました。」


 風魔法も攻撃魔法だからな、受講生は多いような気がするんだけど、人気がないのかな?

 「どないしたん?」

 「なんでもないよ、明日どうしようか?」

 「森へ行きたい。」

 「また、宿でお弁当を作ってもらって、森のクエストを受ける?」

 「そうする。」

 「ええよ。」

 「じゃあ、今日は宿へ帰ろうか。」

 「ハル、銭湯に行きたい。」

 これが日本なら、急に行きたいといってもタオルとか着替えが必要だけど、異世界には魔法があるから手ぶらで行っても大丈夫なんだよね。

 「ふわまろは、どうする。」

 「ああ、ええよ。風呂上がりのコーヒー牛乳は最高やしな。」

 「最高は、フルーツ牛乳。」

 ふわまろとわかばちゃんが、風呂上がりの牛乳で軽い口げんかを始めた。

 はたから見ると、お兄ちゃんに抱っこされた幼児が突っかかっているように見えて微笑ましい。

 お風呂でまったりとした後、宿へ戻って夕ご飯をいただく。

 今日のメニューは『ブリシャブ』。ブリのお刺身を薄くしたものを、しゃぶしゃぶしてポン酢ダレでいただく。

 お風呂で、体の芯からポカポカしていたけど、胃袋の中もポカポカで、魔法講座の受講や演習場の練習で疲れていた僕は部屋へ戻るとぐっすりだった。


 ポッスという音とともに、適度な軽さのモノが僕の上に乗っかった。

 「ハル、おはよう。良い天気だよ。」

 「うーん、わかばちゃんオハヨウ・・・。」

 「宿のおばさんに、お弁当頼んだよ。」


 わかばちゃん、いつから起きてたの?


 「ふわまろは?」

 「叩き起こした。」

 

 着替えて下に行くと、不機嫌な顔をしたふわまろがいた。

 「ふわまろ、おはよう。」

 「おう。」

 口にご飯を入れたばかりらしく、短い挨拶と右手を挙げたふわまろ。

 どうやって起こしたんだろう?


 「早く行かへんと、いい依頼が無くなるんやと。」

 ああ、それで早朝から起こされたのね。


 僕は急いで朝食をかきこんだ。

 「お弁当3人前、ここに置いておくよ。」

 「「ありがとう。」」


 「急いで。」

 「わかばちゃん、そんなに急がなくても常時依頼はあると思うよ。」

 ふわまろに抱っこされながら、わかばちゃんが言う。ふわまろは、まだ半分眠っているみたいだ。


 冒険者ギルドに着いた僕らは依頼ボードに近づく。

 あ、珍しい薬草の採取依頼がある。

 わかばちゃんを見ると頷いているので、その依頼を受ける事にした。


 受付で手続きを取るとすぐに出発した僕らは、前回よりも早い時間に森に着いた。


 「採取はチビに任せて、ハルは魔法の特訓やな。」

 「また、竜の巣へ行く?」

 「ああ、あそこが開けてて、やりやすいやろ?」

 「わかばちゃん1人で採取大丈夫?」

 「大丈夫。すぐに見つけて竜の巣へ行くね。」

 普通なら3歳児を森の中で、1人にするなんて考えられないけど、僕より強いんだよね、わかばちゃんは。


 今は竜の巣で、お弁当中。

 わかばちゃんは、1人で依頼の薬草を採取して戻って来た。

 僕は、ずーーーーっと、ふわまろに『壁』の特訓。

 

 「他の魔法は大丈夫やのに、壁だけどうしてああなるんやろ?」

 「面目ない。」

 「ハル、人には向き不向きってのがあるらしいから気にしない。」

 うん、わかばちゃん慰めてくれてありがとう。でも、初級魔法だからねぇ・・・。


 「ごちそうさま。ねえ、ふわまろ。ソータはどういう魔法を使っていたの?」

 「ん? ソータ? ソータは壁は得意やったよ。」

 「得意だったんだ。」

 異世界人は『壁』が苦手ってわけではないらしい。


 「どういうふうにやっていたか覚えてる?」

 「ああ、出来るよ。ソータの『壁』は最強で、どんな硬いゴーレムでも粉砕してん。」

 え? 粉砕? 壁だよね?

 僕が疑問でいっぱいになった顔をしてたら、ふわまろがわかばちゃんにゴーレムで自分の方に攻撃するように頼んでた。


 わかばちゃんとふわまろが離れて対峙している。

 「ええよぉ~。」

 ふわまろが合図したら、わかばちゃんが手を振った。


 ゴーレムが3体出現しふわまろに向かっていった。

 「っちょ、多すぎ。」

 あは、ふわまろが焦ってる姿ってレアだよね。なんて思っていたら、ふわまろが呪文を唱えた。


 「出でよ、火の壁、水壁、土の壁!」  

 ふわまろの呪文にこたえるかのように、最初にファイヤーウォールが出来て、その手前にウォーターウォール、グランドウォールが出来た。


 ゴーレムは、火と水の壁はそのまま通り過ぎたけど、土壁に当たって砕けた。

 えーと?


 「ハルもこの呪文ならいけるんちゃう?」

 「やってみる。わかばちゃんお願い。」


 わかばちゃんが、ゴーレムを一体作成して僕に向かわした。

 「出でよ、火の壁、水壁、土の壁!」


 そこには、普通のファイヤーウォール・ウォーターウォール・グランドウォールが出来ていた。

 「え? ウソ? 出来てる!」


 あれ? ヤッパリ発音の問題?


 「やったやん。」

 「ハル、おめでとう。」

 喜ぶ2人に複雑な心境だったけど。僕は心の中で話しかけた。


 (ソータさん、あなたの意志は僕が受け継ぎます。呪文をありがとう。)

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