精霊武舞
言い終わると同時に今度は杖が光りだした。
そのきれいな緑色の光は、わかばちゃんの姿になり苗木の周りを踊りだした。
綺麗。かわいい。綺麗。かわいい。
光りながら、嬉しそうに、楽しそうに苗木の周りを踊り始める。
最初に会った時と同じ踊り。
だけど、表情がとっても楽しそう。
うっとりと、眺めていたら光が消えた。わかばちゃんの姿も消えた。
「わかばちゃん!!!」
(なぁに?)
僕の焦った声とは対照的な嬉しそうな声。
「もう一度、姿を現すことはできる?」
(できるよ、「武装解除」って言ってみて。)
「武装解除」
また、杖が光って・・・・。にこにこ笑顔のわかばちゃんが目の前に居た。
杖も枝に戻っていた。
つまり、『せいれいぶそう』は精霊武装ってことかな?
わかばちゃんは、妖精さんではなくて精霊だったんだ。
「わかばちゃんは、精霊だったんだね。今の踊りはさっきと同じだよね?」
「ワタシ オドル オナジ」
あれ、片言言葉に戻ってる。
「言葉が元に戻ったのはどうして?」
「ワタシ ナイ セイレイブソウ」
精霊武装して、杖になったほうが流暢にしゃべれるってことかな?
「また、杖になっても解除すれば戻れる?」
「ワタシ デキル モドル」
「何度も杖になったり戻ったりしたら疲れない?」
「ワタシ ナイ ツカレル」
疲れないってことだよね、じゃあ。
「精霊武装」
また、わかばちゃんが光って枝が杖になりました。
「わかばちゃんは、精霊だよね?」
「そう、木の精霊だよ。」
「精霊武装すると、たくさんお話できるの?」
「そう、つながりが強くなるから、いろいろできることが増えるの」
「さっき、全然しゃべらなかったのはどうして?」
「ハルが手を放したから、つながりが途切れたの」
「杖から手を放すと途切れるの?」
「まだ、弱いから・・・。」
しゅんとした小さな声で答えるわかばちゃん。
いけない、話題を変えよう。
「さっき、踊っていたのどうして?」
「命の木を育てるため」
「精霊武装って何?」
「力を使うための準備」
「精霊武舞が力を使うこと?」
「そう、ほら木が成長してる。」
うれしそうな、わかばちゃんの言葉に苗木を見ると・・・。
こんもりと葉が茂った若木がありました。
・・・・・。成長早くない?
「どうして、ここで成長させようと思ったの?」
「?」
「洞窟出たほうが、木の成長によさそうな地面とか、もっと日があたる地面とかあるよね?」
「!!!」
わかばちゃん。もしかして・・・・、気付いてなかった?