初クエスト
次の日、僕は、わかばちゃんとふわまろに、風・土・無属性の初級講座を受けたいことを話した。
「火と水が使えるようになったんなら、後は応用でええやん。」
「うーん、どうも僕が思っている魔法と違う気がするんだよね。」
「違うってどう違うの?」
「例えば、『ファイヤーウォール』を作ろうとしたら、『ファイヤーフォール』になったり、とか。」
「どう違うの?」
「講座で、火の壁を作ろうとしたら、火の滝が出来たんだ。まあ、火だけじゃなくて水でも同じだったんだけどね。」
「・・・。」
「・・・。」
「だから、一度初級講座で先生に見てもらった方が安心して魔法が使えるかと思って。」
「・・・うーん。」
「どうしたの? ふわまろ。」
「一度、見てみたい思うて。」
「私もハルの魔法見てみたい。」
「薬草採取のクエスト受けへん?」
「え? 行き成りクエストですか・・・。」
「ああ、薬草ならコイツでも探索で場所がわかるから簡単やし。」
「探索? 検索じゃなくて?」
「ん? ああ、昔は『検索』やなくて、『探索』言っとたん。」
え? 探索? そういえば、昨日は検索って言ってたな・・・・。探索が正解なのでは・・・。
「ふわまろ、今は『検索』って誰が言ってたの?」
「ああ、迷い人が『スマホがあれば、検索するのに』とか『検索すればこれが何すぐわかるのに』とか言っとったから。」
ああ、迷い人は最近の人だったんだね。
「確かに、最近の迷い人には、『検索』の方がなじみがあるかもしれないけど、『探索』で通じると思うよ、ふわまろ。」
「わかばちゃんも、検索を辞めて探索って言うようにしようよ。」
「私はどっちでもいいよ。」
「えー、新しい言葉を覚えたから、使って見たかったのに。」
ふわまろは、もしかして新し物好き?
多分スキル名ってそんなに変わらないと思うし、探索も索敵もゲームでは良く使うしね。
僕たちは、宿で朝食を食べた後冒険者ギルドへ行った。
「うーん、特に薬草採取の依頼は無いなぁ。」
「薬草採取やゴブリン討伐が常時依頼にあるから。特に受付しなくても良いみたいやね。」
「食べれる木の実も沢山採ってこようね。」
「お昼どうしようか?」
「現地調達。」
ふわまろがニヤリとしながら言った。
ふわまろ・・・、現地調達って解体するって事だよね?
「ごめん、無理。せめて屋台で何か買わせて・・・。」
「しゃーないなぁ。」
僕たちは、屋台で色々買ってから昨日の森へ向かった。
「ハルも大分足が速うなったな。」
「そういえば・・・、休憩が少なくなったからかな?」
僕たちは、昨日より早く森に着いた。
「ハル、この薬草を検・・・探索する。」
わかばちゃんが、薬草を手に僕に差し出した。
よし、僕は深呼吸をして目をつむった。
なんとなく、わかばちゃんはわかる。ふわまろもわかる。わかばちゃんの手に持っている薬草も・・・、ちょっと時間がかかったけどわかるような感じ?
「この近くには、無いよ。」
僕の返事に、ふわまろがこけていた。
「いや、ハル・・・。何言うてんの?」
「ハル、感覚を広げる感じで探索した?」
「広げる?」
「こう、レーダー見たいな感じで、感覚を自分を中心に広げていく感じ。」
「池に、石を落とした時に波紋が広がる感じ。」
レーダー? ピコーンって、航空機事故の再現映像みたいなときに出るやつ?
池に波紋かぁ・・・、こっちは何かわかる気がする。
僕はもう一度目をつむって深呼吸をした。
「こっちの方から同じ感覚を感じる。」
僕が右前方を指差すと、ふわまろとわかばちゃんがにっこり笑った。
薬草を何本か採取し、マジックバッグに入れたら、ふわまろが言った。
「採取クエストはこれくらいで、ハルの魔法を見せてーな。」
ああ、そういえばそれもあって今日森へ来たんだったね。すっかり忘れていたよ。
僕たちは、竜の巣と呼ばれる空地に来た。
「でも、ここって火魔法を使っても大丈夫なの?」
「ああ、2人とも結界張れるしな。」
ふわまろの言葉にわかばちゃんも頷いている。
僕は、ファイヤーからウォーターウォールまで習った魔法を順に披露した。
「ハルのファイヤーウォールはやっぱり、火の滝なんやな。」
「うーん、なぜか、こうなっちゃうんだよね。」
「・・・、ハル。もしかして発音のせいちゃう?」
「え! ・・・。」
もしかして、発音の問題? 先生と同じように言ってるはずなのに・・・。
もしかして、・・・ヒヤリングの問題?
僕たちはそのまま、広場でお昼を食べることにした。
わかばちゃんが気を使って果物を取って来てくれたよ。
ふわまろも、何故か優しかったよ。
薬草採取クエスト? うん、問題なく達成したよ。
クエストはね。




