初級魔法講座:火魔法(実技)2
「皆さん大分上手になりましたね。では、今度は『ファイヤーボール』を作ります。ここからは、杖を使います。この縄の中に入って杖の上に、このボールぐらいの火の玉を作ってください。」
そういうと、先生は、杖と縄のセットを受講生1人1人に配り始めた。
「縄は地面に置いて、中心に入ってください。一斉に結界を張りますので、中に入ったら中央から動かないでください。『ファイヤーボール』は打ち出さずに、杖の上で固定してください。」
「風よ集え、ウインドサークル。『火よ集え、ファイヤーボール』と唱えてください。『では、始めてください。』」
先生が風の呪文を唱えたから、縄の上に空気の壁が出来たみたいだ。
大きさは、先生が持っているボールの大きさね。杖の上にボール1個分空けて、そこにボールを置く感じで・・・。
僕は深呼吸をして、呪文を唱えた。
「火よ集え、ファイヤーボール」
やったー! 1回で成功。
先生を見ると笑顔で頷いてくれた。
他の受講生も、うまくいっている・・・? 2人ほど、うっかり飛ばしてしまって、結界にあたって消えている。
僕は1度火を消して、もう一度唱えてみる。
「火よ集え、ファイヤーボール」
今度も成功。何かコツをつかんだ感じ。
1班は、ファイヤーを練習している。1・・・2・・・7人か。
2班は、ファイヤーボールだ。僕たちと同じく縄の結界の中に居る。20人ぐらいいるけど、半分ぐらいしか成功していないみたい。
3班は、僕を含めて5人。
周りを見渡していたら、失敗していた2人も杖の上に火の玉を浮かべていた。
「では、ファイヤーボールを安定して作れるようになったので、今度はあの的に向かってファイヤーボールを投げてみましょう。」
先生がそう言って、杖を一振りしたら風の結界が消えた。
次はいよいよ、良く聞く攻撃魔法のファイヤーボールだね。
「受け付け順に呼びますね。」
先生が名前を呼び始めたけど、僕は最後だった。3班では一番最後の受付だったみたい。
「では、ファイヤーボールを作ったら杖で押し出すように、あの的に向けて放ってください。」
え? 押し出すように? なんか、上に行きそう。
1人目の受講生は、これぞ正統派『ファイヤーボール』って感じに的に向けて打ち出した。
2人目は、さっきの人ほど早くないけど、やっぱり的にあたった。
3人目は、そこそこの速さだったけど途中で消えてしまった。
4人目は、一番早くて簡単そうに打ち出してた。
うわー、一番上手な人の次かぁ・・・。
僕は深呼吸して、呪文を唱えた。
「火よ集え、ファイヤーボール」
杖の上に火の玉が出来た。これを打ち出す。打ち出す・・・。
なんでみんな普通に打ち出せたんだろう?
うわー、なんかだんだん上の方にボールが・・・。僕は焦ってつい、杖でファイヤーボールを殴った。
テニスのサーブみたいな感じになったよ。的には当たったけど先生が複雑そうな顔をしていた。
「では、前から順番に的に向けて撃ってください。前の人のファイヤーボールが的に当たってから、呪文を唱えてくださいね。」
そう言いながら先生は僕のところまで来た。
「ハルは今まで魔法を使ったことがないんですよね?」
「はい。」
「攻撃魔法を見たことは?」
「四大魔法の攻撃を見たのは今日が初めてです。」
「え? ああ、生活魔法は見たことがあるんですよね?」
「はい。」
「ファイヤーボールを上に打ち出したのは何か意味がありますか?」
「いえ・・・。打ち出そうとしたら上に上がってしまって・・・・。」
「ふむ・・・そうですか。では、ファイヤーボールの側面に魔法の杖が続いていると思って、的に向かって振りぬいてください。」
「はい。」
先生と話しているうちに、順番が来た。
僕は、やっぱり深呼吸をして呪文を唱えた。
「火よ集え、ファイヤーボール」
これを側面にラケットがある感じで、振りぬく。
おお! なかなかのスピードで的に向かっていった。
「その調子です。」
先生がほめてくれた。
他の受講生も先生からアドバイスを貰ってめきめき腕をあげた。
「では、最後に『ファイヤーウォール』を作りましょう。これは『火の壁』なので、移動はさせません。1人ずつ前に出て呪文を唱えてください。順番は先ほどと同じく受け付け順です。」
「位置についたら自分のタイミングで、『火よ集え、ファイヤーウォール』と唱えてください。『では、始めてください。』」
「火よ集え、ファイヤーウォール」
おお、座学で見たより大きい差し出した杖の先に、縦2m、横3mの炎の壁が出来た。
「はい、上手にできています。幅も10cmはありますね。コニーデは火魔法と相性が良いようですね。」
1人目の人は、コニーデさんと言うのか、1日の終わりにようやく名前がわかった。
「では、次の人。」
「火よ集え、ファイヤーウォール」
2人目の人も、縦2m、横3mぐらいの炎の壁が出来た。
「はい、上手にできています。幅がもう少し厚ければ実戦でも使用できるでしょう。」
「では、次の人。」
「火よ集え、ファイヤーウォール」
3人目の人は、縦2m、横1mぐらいの炎の壁が出来た。壁というより盾?
「はい、上手にできています。幅は十分ですが、横幅が倍になるように頑張りましょう。」
「では、次の人。」
「火よ集え、ファイヤーウォール」
4人目の人は、縦3m、横5mぐらいの炎の壁が出来た。
これぐらいの大きさになると、花火で出来た滝を思い出すよね。
じーちゃん家の盆踊りは、ラストに3段重ねの花火を滝のように点火して、とってもきれいなんだよね。
「はい、とても上手にできています。幅も十分ですね。キラウエアも火魔法との相性が非常に良いですね。」
「では、次の人。」
僕の番だ、深呼吸して。炎の壁をイメージする。前の人のファイヤーウォールをイメージして・・・。
「火よ集え、ファイヤーウォール」
縦3m、横6mぐらいの炎の壁が出来た。でも、なんか変。
「・・・とても上手にできています。でも、この炎は、上から下へ流れていますね。」
すみません先生。どうしても花火が頭から消えませんでした。




