光合成を簡単に説明するには?
「わかばちゃんは、何をしていたの?」
先ほどの光景を思い出しながら僕は尋ねてみた。何かの儀式を邪魔しちゃったら悪いもんね。
「ワタシ ソダテル キ」
・・・・・。キ? 気? 木? 木ぃ!?
どう見ても、木に見えない。木製の棒。
「わかばちゃん、これは葉っぱもついてないから難しいんじゃない?」
「ワタシ シラナイ ハッパ」
先ほど地面に置いた枝を手に取り、地面に絵を描きながら説明していく。
「この縦線が、あの枝だとして、葉っぱは・・・。わかばちゃん、のワンピースのスカート部分と同じ感じだよ。葉っぱがないと光合成もできないし・・・。」
がりがりと描いていると、わかばちゃんが首をコテンと倒して
「ワタシ シラナイ コウゴウセイ」と言った。
理科の時間に学んだ、植物の光合成を簡単に説明するにはどうすればいいんだ?
悩んでいたら、ぶっちって音がした。
音がしたほうを見ると、わかばちゃんがワンピーススカートの葉っぱをちぎっていた。
「わー、わかばちゃん 何をしているの?」
「キ ツケル ハッパ」と言いながら、スカート葉っぱを棒にくっ付けた。
「わかばちゃん、あのね葉っぱは後からつけることはできないんだよ。」と言うのと同時に
「キ ツケタ ハッパ」の声が聞こえた。
うん、ついてるね・・・。わかばちゃんが手を放しても、葉っぱは棒にくっついたままだった。
えーと、妖精が居るくらいだから魔法とかもあるのかもしれない、もしくはここの重力は地面より棒のほうが強いのかもしれない......そんなことあるかーい!!
僕が一人漫才をしている間も、わかばちゃんは、ぶちぶちスカート葉っぱを棒にくっ付けていた。
だいぶ棒が苗木らしくなっている。
光合成は『葉緑体』の中で『光』によって行われる合成のこと。
光合成に必要なのは、『水』『二酸化炭素』だったよね。
『葉緑体』の中に とか、『二酸化炭素』とかはわかんないだろうなぁ。
水は、(棒あらため)苗木の周りの地面の色が濃いから大丈夫だと思おう。
さっきの絵の葉っぱの部分を拡大するように描きながら
「葉っぱの中に、『葉緑体』という部屋があって、根っこから吸い上げた『水』と『気孔』から取り込んだ『二酸化炭素』を使って『光』による合成を行うことを光合成と・・・」
「ワタシ シラナイ キコウ、ニサンカタンソ」
.....ですよね。
「『気孔』はキャタピラーが向かい合わせになった感じで.....」がりがりとタラコ唇のような気孔の絵を描きながら説明を試みる。
わかばちゃんは、やはり首をコテンと傾けている。
かわいい。.....かわいいけど、通じていないよね。