遠い!
目を覚まして、土の家を出ると今日はいい天気。
「出発を1日遅らせて正解だね。」
「そうね、雨だと楽しくて進まなくなるものね。」
・・・。それは、わかばちゃんだけじゃないかなぁ・・・。
「町に行ったら、なにするねん。」
「町に行ったら、こっちの食べ物を食べたり、冒険者ギルドで冒険者登録をしたり。迷い人と話をしたい。」
「人族の作った食べ物?」
「そうだよ、わかばちゃん。」
「金あんのん?」
「・・・。ない。」
そうだよ、こっちのお金どころか財布を持ってきてなかった。
「お金ってどういうもの?」
「私は、知らない。」
「こうゆうの。」
わかばちゃんは、『お金』を見たことがないんだって。
ふわまろが、ポシェットから巾着袋を取り出して見せてくれた。
「綺麗なコインがないね。」
そこに入っていたのは、鉄っぽいのと銅貨ぽいの。
「大きい買い物せぇへんかったら、これで十分やねん。」
「そういうもの?」
「ガキが大金持っとると、トラブルの元やし。」
あー、テンプレだと絡まれて取り上げられるって感じだよね。
「精霊の森で薬草とか採って売ったらお金になるかなぁ?」
「なるけど、今回は俺が貸すからええよ。また出発がおくれるし。」
「うーん、ありがたいけど。」
「冒険者になれば、依頼料で返してもらえばええし。」
本当なら、貸し借りはイヤだけど、早く町に行きたいから今回は借りることにした。
「じゃあ、今度こそ人族の町へ出発!!」
「おー!」
「・・・。」
イヤふわまろ、そこは一緒に盛り上がろうよ、一人だけ苦笑いって・・・。
明け方に洞窟を出発して、いま太陽は真上。
僕たちはまだ、森の中。
ふわまろがいつの間にか採取した、バナナのような果物を食べながら聞いてみた。
「わかばちゃんは、町に行ったことある?」
「私は、この森から出たことはないわ。」
「ふわまろ、この森っていつになったら出れるの?」
「せやなぁ、この調子だと夜になる前にでれるんか・・・。」
「えー!」
「町まで森を抜けてすぐって言ってなかった?」
「足が遅いねん。」
う・・・。だって歩きにくいんだもの。
それに、真っすぐじゃなくて遠回りしてる気がするし。
「しゃあないなあ、ほれ!」
ふわまろが、何かしたら体が軽くなった気がした。
「何したの?」
「魔法で、足が速くなるようにしたん。飛ばすで。着いて来いや。」
ふわまろの後から着いて走る。
「ふわまろ・・・。ちょっと、休もう・・・。」
数時間後、息も絶え絶えになった僕が居た。
「せなやな、森ん中より道を走ったほうが速いしな。」
僕たちは、切り株に座って、僕の持ってきたお菓子を食べて小休止。
わかばちゃんに、出してもらった水の美味しかったこと。
腹時計は3時のおやつ、つまり3時間ほど走りっぱなし・・・。
「ふわまろは、疲れないの?」
「何や、ハルは体力無いなぁ・・・。」
イヤ、3時間走りっぱなしは、人として無理だから。
僕はふわまろの魔法で何とか付いて行けたけど・・・。
その後、すぐに森を抜けた。本当にあとちょっと、という場所で小休止をしたんだなぁ・・・。
道は、走りやすかった。走りやすかったけど、遠かった。
本当にぎりぎり町の中に入れた、城壁は夜には閉まるそうだ。
僕たちは、身分証がないので仮の身分証を門で発行してもらった。
ああ、わかばちゃんは精霊武装してたから、タダで入れたよ。
宿屋は2人部屋を1つ取った、ふわまろのお金は100年前のものだったけど、問題なく使えた。
ここまで来て、野宿とかやだしね。
「ふわまろ、全然町まで近くなかったけど。」
「ん? 森を抜けたらすぐやったろ?」
「イヤ、走ってギリギリだったじゃん。」
「たった、1刻走っただけやん。」
・・・。1刻って確か、2時間だったよね。
ふわまろ? 走って2時間の距離は『すぐ』とは言わないからね。
もしかして、精霊時間ってやつ? 次は、僕が走ってどれくらいかかるか確認しよう。
宿の1階で夕飯を食べて、今は部屋の中。
移動に1日って・・・。ダメダ、眠い。
お休みなさい。何か忘れている気がしたけど、もう起きて居られなかった。
すみません、遅れました。




