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精霊武舞  作者: かなめ ちま
この世界で出来る事
30/89

遠い!

 目を覚まして、土の家を出ると今日はいい天気。


 「出発を1日遅らせて正解だね。」

 「そうね、雨だと楽しくて進まなくなるものね。」


 ・・・。それは、わかばちゃんだけじゃないかなぁ・・・。


 「町に行ったら、なにするねん。」

 「町に行ったら、こっちの食べ物を食べたり、冒険者ギルドで冒険者登録をしたり。迷い人と話をしたい。」


 「人族の作った食べ物?」

 「そうだよ、わかばちゃん。」


 「金あんのん?」

 「・・・。ない。」


 そうだよ、こっちのお金どころか財布を持ってきてなかった。


 「お金ってどういうもの?」

 「私は、知らない。」

 「こうゆうの。」

 

 わかばちゃんは、『お金』を見たことがないんだって。

 ふわまろが、ポシェットから巾着袋を取り出して見せてくれた。


 「綺麗なコインがないね。」


 そこに入っていたのは、鉄っぽいのと銅貨ぽいの。


 「大きい買い物せぇへんかったら、これで十分やねん。」

 「そういうもの?」

 「ガキが大金持っとると、トラブルの元やし。」


 あー、テンプレだと絡まれて取り上げられるって感じだよね。


 「精霊の森で薬草とか採って売ったらお金になるかなぁ?」

 「なるけど、今回は俺が貸すからええよ。また出発がおくれるし。」

 「うーん、ありがたいけど。」

 「冒険者になれば、依頼料で返してもらえばええし。」


 本当なら、貸し借りはイヤだけど、早く町に行きたいから今回は借りることにした。


 「じゃあ、今度こそ人族の町へ出発!!」

 「おー!」

 「・・・。」


 イヤふわまろ、そこは一緒に盛り上がろうよ、一人だけ苦笑いって・・・。




 明け方に洞窟を出発して、いま太陽は真上。


 僕たちはまだ、森の中。

 ふわまろがいつの間にか採取した、バナナのような果物を食べながら聞いてみた。


 「わかばちゃんは、町に行ったことある?」

 「私は、この森から出たことはないわ。」


 「ふわまろ、この森っていつになったら出れるの?」

 「せやなぁ、この調子だと夜になる前にでれるんか・・・。」

 「えー!」


 「町まで森を抜けてすぐって言ってなかった?」

 「足が遅いねん。」


 う・・・。だって歩きにくいんだもの。

 それに、真っすぐじゃなくて遠回りしてる気がするし。


 「しゃあないなあ、ほれ!」


 ふわまろが、何かしたら体が軽くなった気がした。


 「何したの?」

 「魔法で、足が速くなるようにしたん。飛ばすで。着いて来いや。」


 ふわまろの後から着いて走る。




 「ふわまろ・・・。ちょっと、休もう・・・。」


 数時間後、息も絶え絶えになった僕が居た。

 

 「せなやな、森ん中より道を走ったほうが速いしな。」


 僕たちは、切り株に座って、僕の持ってきたお菓子を食べて小休止。

 わかばちゃんに、出してもらった水の美味しかったこと。


 腹時計は3時のおやつ、つまり3時間ほど走りっぱなし・・・。


 「ふわまろは、疲れないの?」

 「何や、ハルは体力無いなぁ・・・。」


 イヤ、3時間走りっぱなしは、人として無理だから。

 僕はふわまろの魔法で何とか付いて行けたけど・・・。


 その後、すぐに森を抜けた。本当にあとちょっと、という場所で小休止をしたんだなぁ・・・。


 道は、走りやすかった。走りやすかったけど、遠かった。


 本当にぎりぎり町の中に入れた、城壁は夜には閉まるそうだ。

 僕たちは、身分証がないので仮の身分証を門で発行してもらった。

 ああ、わかばちゃんは精霊武装してたから、タダで入れたよ。

 

 宿屋は2人部屋を1つ取った、ふわまろのお金は100年前のものだったけど、問題なく使えた。


 ここまで来て、野宿とかやだしね。


 「ふわまろ、全然町まで近くなかったけど。」

 「ん? 森を抜けたらすぐやったろ?」


 「イヤ、走ってギリギリだったじゃん。」

 「たった、1刻走っただけやん。」


 ・・・。1刻って確か、2時間だったよね。

 ふわまろ? 走って2時間の距離は『すぐ』とは言わないからね。

 もしかして、精霊時間ってやつ? 次は、僕が走ってどれくらいかかるか確認しよう。


 宿の1階で夕飯を食べて、今は部屋の中。

 移動に1日って・・・。ダメダ、眠い。


 お休みなさい。何か忘れている気がしたけど、もう起きて居られなかった。


すみません、遅れました。

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