足止め
今日こそは、近くの町へ行くぞ! って意気込んでいたけど。
目を覚まして、家から出たら洞窟の入り口が滝になっていた。
正確に言うと、滝の裏から見てる感じ。
「雨・・・。降るんだ・・・。」
「そりゃ・・・。降るやろ。」
今までは、なんか、ゲームの世界のような気がして・・・。
この世界も普通に晴れの日があれば、雨の日もあるってことを理解していなかった。
「傘とかないよねぇ・・・。」
ふわまろが、ウエストポーチから取り出したのは、『蓑笠』だった。
「うん、ごめん。間違いではないけど。僕が欲しいのとは違う。」
てか、どこで手に入れたの? ふわまろ。
普通の傘はないのかな? みんな雨の日はどうしてるんだろう・・・。
「ソータと冒険して、雨になったらどうしてたの?」
「ん? 休憩。どうしても雨の中を移動する必要があったら、風魔法でぬれへんようにする。」
あー、そんな便利な魔法があったのね。そりゃー、わざわざ手に持って、傘なんかささないや。
と、いけない、いけない。また、ふわまろとばかり話してる。
あれ?わかばちゃんは?
「ふわまろ、わかばちゃん知らない?」
「葉っぱなら、なんや、外へ楽しそうに出て行ったで。」
「わかばちゃんは、土と水だから雨が好きなのかな?」
「俺は、風と火だけど熱風は好きやないけどな。」
「じゃあ、今のうちに、ふわまろの精霊武装を見せてもらってもいい?」
「ええよ。」
「・・・。」
「・・・。ん?」
「ごめん、普通に『精霊武装』だと、わかばちゃんとふわまろの違いが判らないよね?」
「ああ・・・。」
「折角わかばちゃん、雨の中で楽しんでいるのに僕が引き戻しちゃうかなぁって思って。」
「精霊武装の前に、精霊の名を付ければ、個別の精霊のみ武装できんで。」
おー!さすが、ふわまろ師匠。
「つけんと、契約精霊全員が武装するかも。」
ふわまろ・・・。折角の良い話が、悪徳商人のような笑顔で台無し。
「ふわまろ。精霊武装。」
こんなんで良いかな? なんて思っていたら、ふわまろが消えた。
あれ? 何にも光らなかったよね。
《ふわまろ? ふわまろ!》
念話で話しかけてみる。
《ん?》
《ふわまろ?》
《なんや?》
《今、どこに居るの?》
《どこって・・・。武装してるやん。》
《どこも、光らなかったよ。どこに武装してるの?》
《左手首のふわもふ。》
僕は、思わず自分の左手首を見た。
・・・。何にも変わっていないように見える。
「・・・。アホやと思ったけど、ほんまにアホやな。」
「うっ、いきなりひどい。」
武装解除していないのに、姿を現したふわまろの言葉に抗議した。
「精霊が何に『精霊武装』してるかわかったら、意味あれへんやろ。」
あー! ごもっとも。
精霊の加護を受けているものは、隠し技を1つ持っているようなものだものね。
「まあ、ややこしい言うんだったら、慣れるまで大きゅうなっといたる。」
そういうと、ふわまろは、あっという間に大きくなった。
わかばちゃんのちょっとお姉さんバージョンどころじゃなく、僕と同じぐらいの大きさに。




