剣と魔法の世界
出来ない事を考えるのも大切だけど、とりあず僕の出来る事を確認しよう。
「この世界に、精霊と魔物と人族が居るのはわかった。迷い人がこの世界で生きていく為に必要なものはなに?」
「おっ! 少し質問がレベルアップしたやん。」
ちょっと嬉しくなって僕は思わず、前髪を指に巻きつけて照れ隠し。
「そうーやなぁ・・・。ハルは精霊と契約してるから、自分で魔法を使う必要ないけど・・・。
使えて、用心深ければ生きて行けるんちゃうん?」
「精霊だけではなくて、人族も魔法が使えるの? それとも、迷い人だけ?」
「人族も迷い人も、魔物も使えるで。」
「・・・。えー、魔物も使えるの?」
「なんで、使えんと思ったん?」
な、なんとなく、人類が有利な気がしてた・・・。
「魔法の使い方はわかる?」
「そんなん、魔力を集めて、バーって感じでやればいいやん。」
「・・・。ごめん、良くわからない。」
ふわまろも、僕になんて言えば伝わるか悩んでいる。
「この世界で、迷い人は死ぬことはあるの?」
「ああ、普通に死ぬで。」
ああ、この世界は所謂『剣と魔法の世界』だけど、ゲームじゃないって事だ。
真剣な顔になった僕に、ふわまろはニヤニヤしながら言った。
「特に、ハルみたいな、ぼーっとしたヤツなんか直ぐに死ぬやろなぁ。」
おい! ふわまろみたいな、ぽやんとした精霊に言われたくないやい!!
心の中で、盛大に悪態をついた。ほら、一応、師匠だからね、面と向かってはね。引きこもりだけど。
「なんや、失礼なこと考えておらへん?」
「やだなぁ、考えてないよ。」
「そういえば、ふわまろは何の精霊なの?」
TVの『ふわもふまろん』は、毛布と栗の木の間に生まれた妖精だったんだよねぇ・・・。
・・・毛布と栗って、なんでそんな組み合わせになったんだろう?
外のもふもふが毛布なんだろうか?
「おい! 今、失礼な事考えたやろ!」
「やだなぁ、考えてないよ。」にっこり笑顔付。
「まあ、ええわ、俺は風と火の精霊だ!」
あれ?毛布の要素も栗の要素もないの?
おもわず、首をかしげた僕に、ふわまろが叫んだ。
「・・・ハル。絶対、今、失礼な事考えたやろ!!!」
真顔で首を横に振る僕に、ふわまろから冷たい空気が飛んできた。
あれ? ふわまろ、風と火の精霊のはずなのに、空気が寒いよ?
「僕、魔法は使えないけど、実は剣は少し使えるんだよ。」
物心ついたときには、じーちゃんに剣道と古武術を教わっていた。
今は亡き、じーちゃんは、普段ぼーっとしてるけど、実は剣道と古武術の有段者らしい。
『らしい』って言うのは、ばーちゃんはじーちゃんが、『有段者』だというのは眉唾だと言っていたから。
まあ、剣道は道具が必要だから、受験勉強中は全然やってなかったけど、古武術の形は毎日やってたんだよねぇ。なんか習慣になっちゃって、勉強の合間の気分転換に最適だったから。
「まあ、ハルが調子に乗って強い魔物に向かってかんかったら、大丈夫やない?」
はい、ごもっとも。




