質問コーナー
順調にモンスターを倒しながら、僕は上階への階段へ走っていた。
わかばちゃんは器用にドロップ品と魔石をリボンで回収していたよ。
いつの間にそんな技を習得したのやら・・・。
《あ、わかばちゃん、面倒だからモンスター以外の者が居ても教えてね。》
《ロイやセイ?》
《ロイとセイもだけど、他の人族が入って来てるかもしれないからね。》
とにかく今は早くふわまろに会って話をしなくては。
そのためには、面倒事はできるだけ避けたい。
いつの間にか完全にロイとセイを引き離したようだし。
《ハル、次の階に複数の人族が居る。》
《複数?》
「ちょっと、様子を見てくるね。」
「わかばちゃん、危なくない?」
「大丈夫、姿を消すから。」
「・・・。見えてるよね。」
半透明といえども、見えてるよね?
「・・・。半透明になっているときは、よっぽど目が良くないと見えないよ。」
異世界あるある、って難しい。
「・・・よろしく。」
しばらくしたら、わかばちゃんが戻って来た。
「洞窟の入り口に5人の人族が居たよ。」
「入口かぁ・・・。たぶん、後ろからロイとセイが来てるよね。」
「こっちにも森へつながっている道があるよ。」
わかばちゃんが、にっこり笑顔で言った。
「え!? 地下1階から地上の森へ出れるの?」
「そう、ハルが居ない間、いろいろ探検したから。」
「ありがとう、わかばちゃん。」
僕らは、地下から地上への脇道へ入っていった。
それからしばらくして、知らない人の声が聞こえた。
「ロイ様、セイ様、お待ちしておりました。」
「もう、そんな時間か?」
ロイってば、他の人にも偉そうなんだね。
僕は、脇道に隠れながら息をこらしていた。
「ロイ、残念だけど、時間切れだね。学園に戻らなくては。」
「あー!! セイはあいかわらず、いい子ちゃんだな。」
「ふてくされない、ふてくされない。」
ふてくされるロイとなだめるセイの顔が浮かんで、思わず苦笑いしてしまった。
馬? 動物の蹄の足音がしなくなってからも少し待った。
「ハル? 人族の気配はもうないよ。」
そうだよね、わかばちゃんに誰も居ないか見てもらえばよかった・・・。
じゃあ、今度こそふわまろを探しに行こう。
「ふわまろぉ~。」
「毛玉ぁ~。」
「居ないなぁ。」
「ふわまろぉ~。」
「毛玉ぁ~。」
「・・・。わかばちゃん・・・。」
「あんなのは、毛玉で十分だよ。」
まだ、喧嘩が尾を引いているなぁ。
昨日はここら辺であったんだよねぇ。
僕は、ふわまろと最初に出会った場所らへんであたりを見渡した。
って言っても、同じ木が一杯あるから、違うかもしれないけどね。
「ふわまろぉ~。」
「毛玉ぁ~。」
「だれが、毛玉やねん。」
「あ! ふわまろ。」
「ハル、久しぶりやな。」
ふわまろ発見!
「あはは、久しぶりって午前中にあったばかりじゃん。」
僕が笑いながら、ふわまろをモフモフしていたら。
「「午前中? 2年ぶりだけど。」」
って、2人が声を揃えて言った。
「・・・。2年?」
僕が呆然としながら、つぶやく。
「ハルは何年ぶりだと思ったん?」
ふわまろが聞いてきた。
「・・・2時間。」
僕は正直に答える。
「え? ハル、2時間? 月でも年でもなくて、時間?」
「うん。」
「あー、聞いたことがあるわ。『迷い人時間だな。』」
「『迷い人時間』って何?」
ふわまろのセリフに、わかばちゃんと2人して首をかしげる。
「しゃーないなぁ、ハルのために質問コーナーを開設したろ。」
こころなしか、ふわまろがドヤ顔した気がした。
「ほな、『ふわまろ師匠よろしくお願いします。』って言ってみ。」
「その前に、聞いてもいい?」
「なんやハル、さっそく質問かいな。1つだけならええで。」
「ふわまろは、モンスター? 精霊? どっち?」
「そこからかいなぁ~!」
ふわまろが、頭を抱えた気がした。




