見えない壁
「ふわまろが居るってことは、やっぱり僕の世界とは違うってことだよね。」独り言を口にしながら、ふわまろをモフモフしていたら、頭が冷えた。
洞窟へ戻って、わかばちゃんに謝ろう。
起きてもまだ、洞窟だったから・・・。不安だったんだと思う。
僕は、洞窟へ戻りながら考える。
洞窟の土の家には誰も居なかった。
わかばちゃんは、どこだろう?
とりあえず、リュックを葉っぱのベッドに降ろしてこの階を探索する。
1階は蟻の巣みたい。トンネルのような通路が無数にあって、その先がそれぞれ明るくなっている。
外へそのまま、続いているような坂道もある。
ふわまろを抱いたまま、そのうちの1つに向かった。
あたりを見回しても、森・森・森・・・。
戻って、違う道へ。
やっぱり、森・森・森・・・。
ちょっと、凹んだけど今度は、反対側の通路にしよう。
やっぱり、森・森・森・・・。
こ、今度はあの入口の近くに岩がある通路にしよう。
途中で道が曲がっていて、先が見通せない。
明るいから外にはつながっていると思うけど・・・。曲がり角でヤツが出てきたらヤだな。
なんて考えていたら、とおり過ぎてしまった。
あれ? もう一度近づく・・・。
なんか、先に先に進めない?
意識していると『ふにぃん』、って感じで中に入れない・・・。
あれ? 何でだろう。首をかしげていると声がした。
「そっから先は、迷い人の里につながってるから通れへんよ。」
「わかばちゃん?」あわてて、振り向いたけど誰も居なかった。
あれ? でも、声も違った。
・・・。もしかして、ふわまろ?
ふわまろは、毛布と栗の木の間に生まれた妖精。少なくとも『妖精寓話』ではそうだった。
じゃぁ・・・、やっぱりさっきの声はふわまろ?
「ハル キライ」
今度こそ、
「わかばちゃん」笑顔で振り返った僕の目の前には、しかめっ面のかわいい精霊が居た。
「ごめん、わかばちゃん。さっきは八つ当たりだった。僕が悪かったよ。ごめんね。」
一生懸命謝ったんだよ、でも、わかばちゃんのしかめっ面はそのまま。
その時、ふわまろがフワフワわかばちゃんの方へ飛んで行って、そのまま、ぼふって体当たりした。
「わー、ふわまろ駄目だよ。」
わかばちゃんの顔がもっと、しかめっ面になった。
行き成り何してんの? わかばちゃんが土魔法で、ふわまろを天井に弾き飛ばした。
さっと、よけたふわまろ。さっきまでと違い動きが素早い。
じゃなくて、なんで2人で攻撃しあってるの?
「あ、あのさぁ、2人とも、ちょっと待って・・・。」僕の声は2人に聞こえてないみたい。
わかばちゃんの土壁に、ふわまろの風魔法がぶつかって、僕は弾き飛ばされた。
「痛たたたぁぁ・・・。」壁にぶつかった拍子に、杖(今は枝に戻ってる)が手から離れた。
何の気なしに杖を拾いに向かって、気が付いた。
あの、入れなかった通路に立っていることを。
杖を拾って、外に目を向けたらアスファルトの道路が見えた。
2人の喧嘩のことなんか、すっかり忘れて、思いっきり走ったよ。
やっぱり、道はアスファルトだ。しかも周りの景色に見覚えがある。
アスファルトの道を駆け上がった。息が苦しかったけど足は止めなかった。
見覚えのある家が見えてきても走り続けた。
「ばーちゃん、ごめん。」と叫びながら玄関を開けようとしたら、鍵がかかってた。
勝手口に回った、ドアに鍵はかかってなかった。
「ばーちゃん、ごめん。」靴を蹴り飛ばして家に転がり込んだ。
けど、居間には昨日の朝のメモがそのままになっていて、誰も居なかった。
TVを付けたけど、行方不明のニュースはやってなかった。
あれ? このニュース昨日の日付言ってない?
急いで、スマホの電源を入れた。昨日の日付だ。時間だけ2時間たってた。
??? なにがなんだか、わからない。
ふと気づくと、まだ枝を持っていた。
「精霊武装」
何も起こらない。
予備の手提げ袋に、ペットボトル・おにぎり・タオルと小刀を入れ、スマホを持って家を出た。
さっきと、逆に道を駆け下りた。
洞窟の入り口は、あった。
スマホの電源を入れ、明かり代わりにして入っていったけど・・・。
ちょっとした空間はあったけど、土で作った家もリュックもなかった。
わかばちゃんも、ふわまろも居なかった。
そのまま、家に戻った。
なんとなく、お風呂に入った。疲れていたから。
着替えて布団にもぐりこんでひと眠りしたら。ばーちゃんが帰ってきてたみたい。
起きた時には、誰も居なかった。
お昼はラーメンを作って食べたよ。




