ふわもふまろん
「ばーちゃん、心配しているだろうなぁ・・・。早く帰らなきゃ。」
「ハル? どうしたの。」
「なんでもない、今日は森へ行って帰り道をさがさないとね。」
「帰り道? ハルは何処かへ行っちゃうの?」
「何も言わずに、外泊したから。心配してると思う。」
「私はどうするの?」
あれ? もしかして、わかばちゃん怒ってる?
「ハルは私が居ないと何もできないでしょ。何にも知らないんだから。」
むー。いきなりどうしたの? って戸惑いと、光合成すら知らない、わかばちゃんに『何にも知らない』扱いされて、ムッとした。
「何も知らないわけじゃ・・・」って話している途中で、わかばちゃんが
「だいたい、あんな小さな蜘蛛に怖気づいているようじゃ、1人でいたらすぐに死んじゃうわよ。」
って、あー、それを持ち出すんだ・・・。
「別に1人でも、平気だし。・・・武装解除。」
気が付いたら、森に飛び出していた。
「わかばちゃんの、分からず屋。気分屋のアンポンタン。」
怒りにまかせて進んでいると、木の枝で顔に傷を作ってしまう。
「っつ、痛っぁ・・・。」
地味に痛いので、怒りが収まらずそのまま、ずんずん進む。
と、ぼふっと何かやわらかいものに顔から突っ込んだ。
見ると、白い毛布のような、真ん丸い塊が浮いていた。
「ふわまろ!」思わず叫んだその物体は、数年前に流行った『妖精寓話』に出てくる、栗の妖精、『ふわもふまろん』にそっくりだった。
「うわー、うわー、ふわまろだ! ふわまろ。」思わず、感動。
「僕ね、『妖精寓話』の中で、ふわまろが一番好きだったんだよ。」と、テンション高く話しかける。
その場に浮かぶ、白い塊に話しかける。
「あ、ごめん汚しちゃったね。」よく見ると真っ白な塊に、血の汚れが・・・。
さっき、ぶつかったときにつけちゃったようだ。
すると、汚れた部分が中側に入っていったかと思うと、ふぁさっと元に戻った。
血の跡もきれいに消えていた。
「うわー、ふわまろは凄いなぁ。」一瞬できれいになったふわまろを見て、感心していると、
ぼふって、ふわまろが顔に突っ込んできた。
おう! ふわもふだぁ・・・・。でも、また汚れると気づきあわてて離れようとしたら、ぽうぅって光って痛みが無くなった。
「凄いなぁ、ふわまろは癒しの魔法が使えるんだね。」
ふわまろは、八の字ダンスを踊ってる。あれ? 蜂?
「ふわまろは、精霊? モンスター?」
ぼふって、また突っ込んできたけど、今度は手でキャッチしたよ。
顔面にぶつかった後だったけど。




