ロイとセイ
勢い余って、弾き飛ばしてしまった男の子に謝って手を差し延ばしたら、睨まれた。
ほんと、ごめん。あ、男の子って言うのは変か。
さっき、わかばちゃんと話していた時に驚いたんだけど、こっちでは成人するまで性別が無いんだって。
「成人って何歳?」って聞いたら・・・
「おっきくなった時」って言われちゃったけど。
微妙に話が通じない気がするけど、生後3日だからしょうがない。
おっと、今はそれどころじゃないや、怪我をしていないか見ていると、弾き飛ばした子がいきなり立ち上がって、
「俺はロイ、お前、俺のパートナーになれ。」
《パートナー?》
《精霊と人が契約すると、パートナーになるの》
《わかばちゃん、この子と契約するの?》
《しない、もうハルと契約してるから。》
ふーん、契約は1人1精霊なんだ。
「ごめん、もうパートナーがいるから。」わかばちゃんの念話は聞こえないだろうから代わりに答える。
「他に精霊は見ていないのか?」ロイが聞いてきた。
《わかばちゃん、他の精霊って近くに居るの?》
《居ない。》
「近くには居ない。」
僕の答えにロイはもう一人の子と何か話してる。
ロイは小学生低学年ぐらいかな?
くせのない黒髪(光に透けると藍色?)で短め、瞳は蒼い。
なんと剣を持っている。
剣と魔法と冒険って感じだね。
もう一人の子は・・・、
赤みを帯びた茶髪(光に透けると苺みたい。)を腰まで伸ばして、瞳は茶色。
この子は弓を持っている。
ロイと同じかちょっと年下って感じ。
《こんな小さな子が2人だけでダンジョンなんて・・・》と考えてたら。
《加護を得るために、ここに来る人族は多いよ。》だって。
「おい、お前 今のパートナーを解除しろ。」
・・・はい? ロイはかなり偉そう。何この子。感じ悪い。
「断る! それに、僕はお前じゃなくて、ハルだ。」
二人がにらみ合っていると、もう一人の子が
「私は、セイ と言います。冒険者になりたての6歳です。」っと自己紹介をし始めた。
ある意味、大物?
冒険者って言うことは、ギルドとかあるのかなぁ・・・なんて関係ないことを考えていたら
《ハル、血の匂いがする。ロイの膝。》
あ!
「ロイ、ごめん。膝に怪我してるね。治療しなきゃ。」ここは、僕が大人になって・・・って、僕とぶつかって怪我したんだ。
「こんな傷、なめておけば治る。」なんて言い出した。
ロイ、・・・それは古いよ。
体格差があるので、ひょいってロイを 『お姫様だっこ』して、水辺へ急ぐ。
バイ菌が入る前に洗った方がいいからね。わかばちゃんの念話で近くに水辺があることも確認したし。
目の前に、どっかで見た泉が・・・・。
周りを見渡して何も居ないことを確認。
泉の水で流したら、膝に小石が食い込んでる。痛そう。
「うわぁ、まだ血が出てるね。怪我に効く薬草とか生えてないかなぁ・・・。」
「だから、こんな傷、なめておけば治る。それより、俺と契約しろ!」
意地を張るロイに、ムカついたので、膝をベロォンってなめてやったら、固まっていた。
《ハル、私の葉っぱを水に入れて、その水で洗えば傷が治るよ》
わかばちゃん、ナイスアシスト。
魔法の世界っていいね。本当に治ったよ。さっきなめたとき鉄の味がしたから、まだ傷口ふさがってなかったはずなのに。




