表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めちゃくちゃ強い100歳  作者: めかぶ
6/15

第6話『巨大兵器襲来。ワシは死にたい』

今回は過去最高の危機!?涙してください。泣けるシーン…うーん。

ズゥゥゥーーン。


ズゥゥゥーーン。


ズゥゥゥーーン。


地は揺れ、建物は崩壊し、人々が逃げ惑う。


7月21日。土曜日。学校は夏休みに突入し、皆それぞれが一夏の思い出を作ろうと意気込んでいた。

更に、この日は毎年恒例の花火大会当日。街中が張り切ってこの日のために準備を行ってきた。


しかし、その日に奴は現れた。


『こちら中継の河合桃です!アカ市で突如出現した“超巨大兵器”は、たった今、サタ市に到達したもようです!』


謎の超巨大兵器“モスタンク2000”。体長約600メートル、超ヘビー級兵器、マンモス型の移動式ロボットである。外側を金属の鎧で固めており、鼻部分に巨大レーザービーム砲、顔と横腹部分に多数のキャノン砲、他にも多数の武器が装備されている。


ズゥゥゥーーン。


ズゥゥゥーーン。


ズゥゥゥーーン。


ガラガラガラガラ…。


一歩一歩、ビルや建物を破壊しながら前進し続ける。


「うわぁぁぁぁ!!!」


「早く逃げろぉ!!」


「誰かぁ!私の、私の息子を助けてくださぁい!!誰かぁぁ!」


街はかつてないほどの被害を受け、人々が恐怖と絶望の淵に立たされていた。

そんな中、その街に建つあるビルの屋上から、前進し続ける巨大兵器を眺める者が…。


「お兄ぃ、今日の花火大会、チューシになっちゃうのかなぁ?」


「んな、バカなこと言ってんなリア。ぜってぇ花火上がらせてやっから心配すんな」


「んー、でもあんなおっきなゾウさん出てきちゃったら、お祭りどころじゃなくなっちゃうでしょぉ?」


「花火がある限り、花火は上がる。お祭り会場だって被害にはあっちゃいねぇんだからよぉ」


ある2人兄妹だ。6歳の妹リアと、23歳の兄カルロス。リアは近くの小学校に通っている小学生で、カルロスはある秘密組織のエージェントとして戦う兵士。

リアは小さなハーフツインに、花柄のワンピース。お目々がパッチリのキュートな顔立ちだ。対する兄のカルロスは、黒いTシャツにカモフラージュ柄のズボン。無造作に跳ねた黒髪に鋭い眼力、さらに黒いローブを羽織っており基本的に暗めの格好をしている。大きなガトリングガンを肩にかけ、腰には手榴弾。懐には数種類のピストルを備え、巨大兵器モスタンク2000に負けず劣らずの重装備だ。


「リア。お兄ぃがお仕事から戻ってくるまで、絶対ここから離れるなよ?いいな?」


「うん。分かった!」


「よーし、いい子だ」


リアの頭を優しく撫で、カルロスは巨大兵器へと視線を移した。


「さぁて、仕事にかかるか…」


カルロスの目つきが変わった。

ベルトについた機械をいじり、姿勢を少し落とす。すると、腰の方から小型のジェット噴射機が現れ、一気に高圧ガスが発射された。

シュゴォォォ!!と物凄い音を立て、カルロスはビルから巨大兵器の方へ真っ直ぐ飛び去っていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



シュゴォォォ!!


ジェットでカルロスが巨大兵器の正面まで飛んできた。


「こちらカルロス。いま敵の正面に到着した」


『こちらC1。了解した。遅かったなカルロス!もうやられたかと思って、天に手ぇ合わせちまったよ〜』


サポーターのC1だ。

基地本部にて敵のデータを分析し、無線を使ってカルロスのサポート役に徹する立場にある。

見た目は若干小太り気味だが、常に着ている白衣が博士っぽく、丸いメガネをかけている。一見、頼り無さそうにも見えるが、実力は本物だ。


「おい冗談はよせ。俺がこんな所でくたばる奴だとでも思ってんのかぁ?」


『俺としてはくたばってくれた方が、仕事も減るし、楽なんだけどよぉ』


「よーし、戻ったらテメェのケツ穴に花火ぶち込んでやっから覚悟しとけぇ!」


『はっはっは、それは勘弁だ!まっ、いつものノリはここまでにして…。奴の弱点は頭頂部のガラス部分だ。そこがおそらく操縦席になってるはずだ』


「そこを狙うんだな?」


『ああ。いっちょ、ぶちかませぇ!!』


「了解した!!」


シュゴォォォォォォ………。


ゴオォォォォォォォン!!!!!


カルロスのジェットが勢いを増し、一気に巨大兵器の頭上へと上昇する。

ある程度上昇し、下を向くと、確かに兵器の頭頂部にガラス部分があった。


「あそこだな…」


ガラスが少々暗いため、中の様子は見えない。操縦者は人間か、はたまたエイリアンの類か、外からでは確認できない。そこでカルロスは、肩に下げたガトリングガンを手に取り、操縦席であろう場所に銃口を向けた。


「第1段階、開始」


ズダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!


ガトリングガンの銃口がぐるぐると回転し、大量の銃弾が撃ち込まれる。

全弾ガラスに命中するが、思った以上に頑丈で、割れた様子もヒビが入った様子もない。


「こいつで穴を開けれないとはな…」


『どうやら、防弾は過去最高に固いかもしれないな』


すると、巨大兵器のキャノン砲と、4つのミサイルが一気に発射された。


ドォォン!ドォォン!ドォォン!


ボシュゥゥゥゥ……ボゴォォォォォォン!!!!!


スドォォォォォン!!!!


ミサイルにより街の至る所が爆発、キャノン砲が命中した建物や道路は崩壊した。


「おいおいマジか。無駄口叩いてらんねぇーな!」


『カルロス。FB弾に変更だ。攻撃部分を変える』


「了解」


ガトリングガンの手持ち部分に4種類のスイッチがあり、FBと表記されたスイッチがOFFになっている。


「FB弾、起動」


それをONに変更し、ガトリングガン内部から弾の装填音が聞こえる。


「さぁ、第2段階だ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーー



その頃、地上では。


1人の女性がずっと叫んでいた。


「誰かぁぁ!!私の息子を助けてくださぁい!!車の中に閉じ込められているんです!!誰かぁぁ!!」


車が走行中、飛んできた瓦礫に潰されてしまい、母親はなんとか自力で出てきたものの、後部座席に座っていた4歳の息子は自力で脱出することが出来ず、閉じ込められてしまっていた。


しかし、巨大兵器が一歩一歩こちらに近づいてくるため、周辺には誰もいなくなっていた。


「誰かぁぁぁぁ!!!」


ズゥゥゥーーン!!


「はっ…!?」


もう直ぐそこまで近づいてきている。

もうダメなのか、と諦めかけた。

その時…。


ズゥンッ!


「息子さんはどこですかぃ?」


ギルじいが何処からともなく飛んできた。

母親はギルじいを見るなり目を大きく開き、すぐに正気に戻った。


「こ、ここです!この車の中です!」


母親の直ぐ側にある潰れた車。ギルじいはその中を覗く。すると、確かに子供が乗っているのが見えた。瓦礫で扉が歪み、屋根に押し潰されかけてるため、自ら出てこれないようだ。


「大丈夫じゃ。お爺ちゃんがいま出してやるからのぉ」


ギルじいは中の子供に優しく微笑み、瓦礫に手を伸ばした。


ガコォ!


大きな瓦礫を片手で持ち上げ、車の屋根をバキッと外した。

すると、子供の姿が現れたため抱き抱えて母親の元へ。


「はっ!リュウくん!リュウくん!良かった…、本当に良かった…!」


「…ママ…?ぼく…つよいから…だいじょおぶだよ…?」


息子は弱りながらもニコッと笑い、母親を元気づけた。

そこに救急隊員が駆けつけ、息子は一旦保護された。


「ありがとうございます!長命スギルさん!」


一人の救急隊員がギルじいに頭を下げる。

ギルじいはチラッと振り返った。


「ワシは単なる老いぼれ。助かったのはあの子自身の生きようとする信念のおかげじゃ。ほれ、さっさと行け。あの子の手当てが先じゃろがい」


「は、はぁい!!」


救急隊員はもう一度頭を下げ、急いで走っていった。

その後ろ姿を見送り、ギルじいは巨大兵器へと視線を移した。


「はぁ…。なんじゃいコリャ。デカすぎじゃろ。…まぁええ。ワシを殺せるほどの力はあるんじゃろぅのぉ?」


ギルじいは眉を尖らせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ