表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めちゃくちゃ強い100歳  作者: めかぶ
1/15

第1話 『ワシは死にたい』

めちゃくちゃ強くなった老人の生き様に、涙してください。特に泣けるシーンは無いですが。

平日の真昼間。公園のベンチに腰掛けながら空を見上げる一人の老人がいた。


「ワシ、早く寿命尽きんかのぉ」


こんな言葉をほぼ毎日呟いている。

彼の名前は長命スギル(ちょうめい・すぎる)。近所の子供たちからは“ギルじい”と呼ばれている。ただ、本人は嫌がっている。


「あっ!ギルじいだ!」

「なんだ!ギルじい今日も居んのかよ!」

「ほんと暇なんだな!」


学校を終えた子供たちが走って公園に入ってくるや否や、ギルじいに気づいた。


「ギルじい今日も寿命尽きるの待ってるのか!?」


少年の一人がギルじいに近づき問いかける。

すると、ギルじいは空を見上げたまま小さくため息をついた。


「はぁ…、そうじゃ。お前らみたいなガキンチョと違って、ワシはもう100年も生きとる。もう特にやり残したことも無い。無駄に長生きするぐらいなら、いっそ死んで新しい生命として生まれ変わったほうが余程楽しかろうにのぉ」


ギルじいがボソボソとそんな事を口にしていると、子供たちはゲラゲラと笑いだした。

人生の大先輩に対して非常に失礼な態度だと感じるかもしれないが、これがギルじいに対しての子供たちのいつもの反応なのだ。

しかし、それも仕方のないことなのである。

なぜなら、、、


「あははははははは!!ギルじいが死ねるわけないじゃん!?だってギルじいめちゃくちゃ強すぎるんだもんよぉ!!」


そう。ギルじいこと長命スギル。彼はこの世界で最も強い、所謂“めちゃくちゃ強い100歳”なのである。


「黙れガキンチョめ。ワシは何がなんでも死んでやるぞ」


ギルじいは不機嫌になり、トボトボと公園を去っていった。


帰り道、ギルじいの目の前に突如怪物が現れた。

長い舌をペロペロと出しながら、シャシャシャーと鳴くヘビ型の怪物“スネークヒューマン”だ。


「お前に毒を打ち込んで、苦しんでいるところを丸呑みにしてやるシャァーーー!!!」


スネークヒューマンは間合いを図ることもなく、目の前を歩くギルじいに飛びかかった。


「無駄じゃ、ヘビもどき」


飛びかかってきたスネークヒューマンを何事もなく交わし、首を掴んでそのまま地面におもいっきり後頭部から叩きつけた。


メキャッ!


鈍い音が鳴り響き、スネークヒューマンは地面に倒れこんだまま動かなくなった。ギルじいはそんなスネークヒューマンをチラッと見るや否や、そのままその場を立ち去っていった。


「めちゃくちゃ強い100歳だぞ、ワシは。相手を選べ、このたわけが」


これがギルじい。めちゃくちゃ強い100歳なのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ