第17話:再会
晶と別れた疾風は、階段下のトイレに行き、さっさと用を済ます。そして洗った手の水をハンカチで拭いながら晶の元へ戻ろうとカフェへ足を向ける。
「何、食うかな……あっちで腹が鳴ったら恥だし」
ブツブツと独り言を呟いてた疾風は、ポケットにしまおうとしたハンカチを落としてしまう。
「やべ……」
急いで拾い上げようと手を伸ばした疾風だったが、それよりも一瞬早く誰かがハンカチを拾い上げた。
「すみません、ありがとうございます」
拾い上げてくれた相手に礼を言い、相手が差し出してくれたハンカチを受け取ろうとした疾風だったが、その相手をみて思わずその場に固まってしまう。
「どういたしまして。……………何? その顔は…………」
「凛!! お前こそ何でこんな処に…………」
疾風は、伸ばしかけていた手を引っ込め、後に下がり凛との距離を開ける。
「私だって電車くらい乗るわ。いらないの? これ」
拾ったハンカチをヒラヒラと振る凛の表情や態度を見て疾風は、困惑する。あの日、確かに凛は自分達に宣戦布告してきたのだ。それなのにこの態度は何なのだろうか。
「どういうつもりだよ」
「どういうってどういう意味?」
疾風の問いかけに凛は、不思議そうに首を傾げる。
「だから…………」
苛立ち半分、脱力半分な訳の分からない事態に疾風は、途方にくれてしまう。そんな状況から疾風を救ってくれたのはやはり晶だった。
「疾風! 何をしてるんですか!」
「いや、何って…………」
「別に。これを拾ってあげただけ」
疾風の横に駆け寄った晶は、凛との距離を取りつつ彼女を睨みつける。
「どういうつもりです? 宣戦布告した相手に軽々しく接触してくるなど」
晶の言葉にやっと合点が行ったのか凛は、一人頷く。
「そういう事。だって私達は光輝の一部勢力に宣戦布告したのであって疾風にしたわけではないもの。それに私は疾風が好きだから」
「はい!?」
いきなりの凛の爆弾発言に疾風は尚更混乱する。しかし、そんな疾風を放置して晶は会話を進めていく。
「ではこちらに敵対する意思はないと」
「今の処は。もし、疾風達があの愚かな人間達に加担するというなら手加減はしないけど」
「愚かな人間達ね…………。もし、そちらに時間があるのでしたら一緒にそこでお茶でもしませんか?」
「あなたと?」
思い切り嫌そうな顔をする凛を見て晶は苦笑する。
(何でしょう、彼女はこの間の印象と今の印象がかなり違い過ぎますね)
「疾風とならお茶してもいいわ」
そう言って凛は、疾風に微笑む。その微笑みは、まるで花が咲いたような可憐な笑み。
「もちろん。もれなく疾風も着いてきますよ」
晶の提案に少し考えるそぶりを見せた凛だったが、すぐに混乱して固まっている疾風の腕に手をかける。
「じゃあ、行きましょう? 疾風」
そう言って半ば疾風を引きずるように凛はカフェへと向かう。そのあとを追いながら晶は、凛の様子をじっと注意深く見つめていた。