第九話 ステージ1 クリア
ザ、ぁアアアアーー……。
ボンドが放った白い砂が宙に舞い上がった。
そして、真っ暗な空間に。
一斉に降り注いだ。
その様子をリナも、目で追った。
ゴク! と生唾を飲み込んで。
目を見張った。
ザラ。
ザラザラザラーー……。
白い砂が何もない場所の、ある一か所に。
降り注がれると。
凹凸を作った。
それは広くーー平らな路だ。
「!?」
それにリナも驚きの表情になった。
「ほぅらな! 俺の勘は当たるんだよ!」
ボンドがくるんと、身体を左右に回した。
そして。
腕を曲げて拳を握った。
「よし。あ、お前も砂握って来いよ」
「! わ、分かった!」
リナも、白い砂に手を伸ばして握った。
◆
路は真っ直ぐではなかった。
むしろ、短い距離なのに長く感じるほどに。
うねっていた。
途中で、予備の白い砂がなくなり。
何度も、何度も、何度も。
戻ったことの方が余計に体力を奪った。
「づ。疲れた……はぁ」
「ああ、でも。まァ、ようやく、ここにまで来れたな」
路の前で腰を下ろしていたリナに、
「って。言ってもーーこの先に居るかもしれないけどな」
ボンドが、素っ気なく言う。
「居てくれなきゃ困る!」
「だなァ」
ボンドも、リナの言葉に苦笑した。
「じゃあ。行こうぜ」
「うん! 行こう!」
先に行くと。
徐々に道幅が狭くなっていった。
至って、どこにでもあるような。
普通の白い通路になっていった。
灯りは二人が進むごとにーー自然と点くようになっている。
ただ、明るい分ーー不安は拭えない。
二人が居る場所を容易に知られてしまい。
襲われる可能性もあるからだ。
「っつ!」
リナの顔に汗が伝う。
緊張からだ。
「おい。今からそんなんじゃあよォ。神経もたないだろぅ?」
「! ぁ、あんたと違って私は! こんな近況に陥ったことはないのよ!」
「《人類》だもんなァ。お前」
「平和な島に産まれたのよ! ゲームでしか味わったことないわよ!」
声を荒げるリナの腕をボンドが引っ張り、
「!?」
壁にリナを貼りつけにした。
リナの目も驚きで丸くなってしまう。
「あのよー~~ちったぁ! 静かに出来ねェの?!」
「ぇ、あ……」
「そんなにギャーギャー言ってたら、来るかもしれないだろぅが!」
リナの顔にボンドが近づけさせた。
「返事!」
「っは、はい!」
しかし。
態勢を戻そうとしないボンド。
「っちょ、いい加減に離れてよ」
じと目でリナも、ボンドを見た。
それに。
「あ! ぁあ! っそ、そぅだな!」
ボンドも、ようやく離れた
だが。
ボンドの心配も他所に。
何も起こらず、襲われずに。
「「管理室」」
大きな鉄の扉がーー姿を現した。